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心身の苦痛は我慢せず医療者に訴える
治療前後から始まる痛みや息苦しさは改善できる!

監修:田中桂子 静岡がんセンター緩和医療科医長
取材・文:池内加寿子
発行:2007年7月
更新:2013年4月

  
田中桂子さん
静岡がんセンター
緩和医療科医長の
田中桂子さん

肺がんでは、治療前後の早い時期から多くの患者さんが痛みや息苦しさ、倦怠感などの苦痛を感じている。
エビデンスに基づく治療法、セルフケア法にはどんなものがあるのか、緩和医療の第一人者・静岡がんセンター緩和医療科医長の田中桂子さんにうかがった。

緩和ケアは治療の早期から、つらさがあればスタート

静岡がんセンターでは、緩和医療科や精神腫瘍科の医師、がん専門看護師、心理療法士、薬剤師による緩和ケアチームが他科と連携しながら、緩和治療やケアにあたっています。肺がんでは、どんなときに緩和ケアが必要となるのでしょうか。同センター・緩和医療科医長の田中桂子さんはこう説明します。

「肺がんの場合は、手術後の痛み、抗がん剤治療による吐き気やしびれ、放射線治療による皮膚炎や脱毛の悩みなど、治療の早期からいろいろな苦痛を感じやすいものです。また、病状の進行によっても痛みや息苦しさ、倦怠感などが出てくることがあります。精神的な落ち込み、経済的な悩みなどがある方もいらっしゃるでしょう。治療の時期や病状の進行にかかわらず、つらさがあるときにはいつでも緩和ケアの出番です。病状が進行してきた場合は、つらくない状態でより長く過ごせることを目指して、せきやたんを減らす、呼吸を楽にするなど、緩和的治療や症状緩和ケアの割合が増していくことになります。なお、緩和ケア病棟に入院する場合でも、それで終わり、ということでは決してなく、症状が軽快して退院する方もたくさんおられます」(田中さん・以下同)

患者さんの中には、体の痛みや息苦しさがあっても、医師に弱音を吐くと次の抗がん剤治療をしてもらえないのではないか、見捨てられるのではないか、と我慢してしまう方もあるそうですが、それは得策ではありません。

「痛みを我慢しながらでは、抗がん治療はうまくいきません。患者さんの苦痛は、検査ではわからないもの。抗がん治療を続けながら積極的に痛みや息苦しさをとってほしいということをぜひ、担当医やナースに伝えましょう。それでも解決しないときは、病院の相談窓口、ソーシャルワーカーなどに相談したり、セカンドオピニオンを求めたりするのもよいかもしれません」


緩和ケアとは――WHOの定義

「緩和ケア」とは根治治療が見込めなくなった人へのケアではなく、「つらさがあったときからスタートするもの」と WHOで2002年に新しく定義し直されました。田中さんによると、大切なポイントは、(1)患者さんだけでなく家族も対象として、(2)がんと診断がついた前後の早期から、(3)生命の長さも含めた生活の質をよりよくしていくために、(4)身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな(霊的・魂の)4つの側面から見ましょう、という4点です。

「治療中の患者さんのところに緩和ケアチームが伺うと、“向こうの世界に引きずり込まれてしまうのではないか” “まだまだお世話にならなくて大丈夫です”と敬遠される方もありますが、治療ができなくなったら緩和ケアという二者択一ではなく、治療と緩和ケアは補い合いながら進めていくもの。体だけでなく心の苦痛などトータルな痛みを軽減し、QOL(生活・生命の質)を改善することを目的にしています。私たち緩和ケアチームは、患者さんやご家族、担当医のご希望があれば、治療やケアを提供し、お手伝いをさせていただきたいと思っています。治療や入院の初期からつらさを我慢せずにぜひご相談ください」(田中さん)


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