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これだけは知っておきたい!胃がんの基礎知識 抗がん剤の研究が進み、進行がん治療にも希望が!

監修●山口俊晴 癌研究会有明病院副院長・消化器センター長兼消化器外科部長
取材・文●半沢裕子
発行:2009年4月
更新:2019年8月

  
山口俊晴さん
癌研究会有明病院副院長・消化器センター長兼消化器外科部長の
山口俊晴さん

胃がんはがんの中でも治りやすい病気の1つで、「切ったら終わり」というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。確かに早期で発見した場合、基本的には外科手術で治る。ただし、早期で発見される人は、現在全体の約半分。残りの半分は、進行がんの段階で発見される、まだまだ怖い病気だ。


胃がんは胃のいちばん内側の「粘膜」にできるがん

胃は食べ物を胃液と混ぜ合わせて溶かし、少しずつ十二指腸に送り出す臓器です。食道から続く部分を噴門部、袋状になった部分を体部、十二指腸に続く出口付近を幽門部と呼びます。

[胃の位置と構造]
図:胃の位置と構造
出典:胃がん治療ガイドラインの解説 日本胃癌学会編(金原出版)より改変

胃の壁は5つの層に分かれていて、いちばん内側で食べ物に接する層は「粘膜」。真ん中にあり、胃を動かすのが「筋層」、いちばん外側にあり、胃全体を包んでいるのが「漿膜」で、粘膜と筋層の間に「粘膜下層」、筋層と漿膜の間に「漿膜下層」があります。

胃がんは基本的に、いちばん内側の粘膜にできます。粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞になり、増殖して大きくなるのです。発見可能な5ミリくらいになるまで何年もかかるため、初期に胃がん特有の症状(詰まる、吐血など)が出ることはありません。

しかし意外にも、早期胃がんの半分には、胃痛など何らかの症状があります。胃潰瘍が検査のきっかけになり、がんが発見されることは多いのです。もちろん、中には純粋に胃潰瘍のみができているという人もいますが、じつは胃がんのできたところは潰瘍ができやすく、この潰瘍による症状がきっかけで検査をして発見されることが少なくないのです。

[胃の壁の構造]
図:胃の壁の構造
[胃壁深達度(T1~T4)]
図:胃壁深達度(T1~T4)

出典:胃がん治療ガイドラインの解説 日本胃癌学会編(金原出版)より改変

がんのところにできた潰瘍は治りますが、またすぐ潰瘍になります。これをくり返すうち、がん細胞は粘膜下層へ、さらに下へと潜り、進行がんになっていきます。

胃潰瘍のような症状がある場合、内視鏡検査を受けることは、がん発見の意味でも大事です。胃がんは早期発見、早期治療であれば、完治も望めるうえ、体へのダメージの少ない治療ですむ可能性があります。

ただし、進行がんでも打つ手はありますし、今日、症状を和らげる緩和ケアは、完治する早期がんまでふくめ、すべての患者さんに、治療の最初から行われています。ご自分の病状を理解し、可能な治療を行いながら、できるだけ健康時と変わらない生活を続けていただければ、と思います。

40歳になったら、1年に1度は内視鏡検査を

では、胃がんの治療法は何をもとに決められるのでしょうか。大きく分けて、

(1) がんが胃の壁のどこまで達しているか(深達度といいます)。

(2) 転移の程度

の2つをもとに決められます。この2つについて正確に知るための検査には、主にCT(コンピュータ断層撮影)と内視鏡検査があります。CTでは、リンパ節転移やほかの臓器への転移が確認できますが、進行がんでは深達度も推定できることがあります。内視鏡検査では、がんのある場所と広がりが確認できるほか、がんの深達度が推定できます。とくにここで強調しておきたいことは、内視鏡検査の重要性です。現在、胃がん検診においては、レントゲン検査が推奨されていますが、レントゲン検査だけでは、必ずしも早期の胃がんは見つかりません。やはり内視鏡検査が必要です。進行している状態で見つかった患者さんの中には「毎年レントゲン検査で調べていたのに……」という人も中にはいらっしゃいます。確かに、スキルス胃がんなど、内視鏡検査では必ずしもわからないがんもありますが、ご両親が若い頃に胃がんにかかったなど、比較的リスクの高い人はもちろんのこと、40歳を越えたら、少なくとも1年に1度は内視鏡による検査を受けてほしいと思います。

[胃がんの治療法決定までの流れ]

図:胃がんの治療法決定までの流れ

出典:胃がん治療ガイドラインの解説 日本胃癌学会編(金原出版)より改変


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