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併用療法の臨床試験も進行中
期待が高まる免疫療法 いよいよオプジーボが承認!
新しいタイプのがん治療薬である、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボに対し、2015年12月、肺がんへの適応拡大が承認された。待ち望まれた薬剤だけに期待が高まるが、具体的にはどんな症例に使われ、どんな効果が見込めるのだろうか。また、副作用はどの程度あるのだろうか。その使われ方と今後の見通しについて話を伺った。
免疫細胞を抑制するがんの働きを阻害
新たに免疫チェックポイント阻害薬*オプジーボが標準治療で使えるようになったのは、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんだ。国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の神田慎太郎さんは次のように語る。
「長い間、抗がん薬の*タキソテールしかなかったところに、効果の見込める新しいタイプの薬剤が登場したのですから、間違いなく大きなトピックスです」
がんの治療薬には抗がん薬、分子標的薬、ホルモン薬などがあるが、免疫チェックポイント阻害薬はこれらと違った作用機序(メカニズム)を持つ新しい薬剤として注目され、世界各国で開発が急がれている。
免疫細胞は体内の異物を攻撃して排除する。がん細胞も細胞数の少ない早期には免疫細胞に排除されることが多い。しかし、免疫細胞は活性化し過ぎると自己の細胞を攻撃する自己免疫反応を起こすため、その表面には免疫反応を抑制する分子も備わっている。このブレーキ役が、免疫チェックポイントと呼ばれるものだ。がん細胞の中には免疫チェックポイントに働きかけ、免疫反応を起こさせないようにしている分子がある。そこで、この分子の作用をブロックし、免疫細胞の本来の力を発揮させ、がん細胞を攻撃できるようにするのが免疫チェックポイント阻害薬だ。
様々な臨床試験の結果から、免疫チェックポイント阻害薬は、複数のがんで効果が得られることや、抗がん薬と比べて副作用が少ないことがわかり、大きな期待が寄せられている。
*オプジーボ=一般名ニボルマブ *タキソテール=一般名ドセタキセル
PD-1をブロックし、奏効率はタキソテールの倍
肺がんの適応になったオプジーボは、PD-1という受容体とがん細胞に発現するPD-L1抗体の結合をブロックし、免疫の働きにブレーキがかかるのを阻害する薬剤だ(図1)。
日本では2014年、世界初の抗PD-1抗体として切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)に対して承認された。そして2015年12月、切除不能な進行・再発の非小細胞がんにも適応になった。
その根拠となったのは、非小細胞肺がんに対し海外で行われた2件の第Ⅲ(III)相試験。非小細胞肺がんの中でも扁平上皮がんを対象とした試験(Checkmate017、図2)では、標準治療のタキソテールと比較して死亡リスクが41%低減し、全生存期間(OS)が延長した。1年生存率はオプジーボ群が42%、タキソテール群が24%、OSの中央値はオプジーボ群が9.2カ月、タキソテール群が6.0カ月、奏効率はオプジーボ群で20%、タキソテール群で9%という結果だった。
非扁平上皮がんを対象とした試験(Checkmate057、図3)では、タキソテール群と比較して死亡リスクが27%低減し、1年生存率がオプジーボ群で51%、タキソテール群で39%、OS中央値がオプジーボ群で12.2カ月、タキソテール群が9.4カ月、奏効率がオプジーボ群で19%、タキソテール群で12%という結果だった。
これらの結果は日本国内で行われた第Ⅱ(II)相試験(扁平上皮がんに対するONO-4538-05試験と、非扁平上皮がんに対するONO-4538-06試験)でも確認されたが、海外の第Ⅲ(III)相試験より日本のデータのほうがむしろ好成績だ。つまり、日本人にはより効きやすいと思われるのだそうだ。
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