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患者のためのがんの薬事典

アーゼラ(一般名:オファツムマブ)
慢性リンパ性白血病に単剤で使用する抗体薬

取材・文 ●柄川昭彦
発行:2013年9月
更新:2014年1月

  

化学療法の進歩により、慢性リンパ性白血病の治療成績は向上しつつあります。しかし、抗がん薬治療では効果がなかったり、1度は効果が現れても再び悪化することがあります。こういった場合の治療薬として、分子標的薬「アーゼラ」が登場しました。アーゼラは抗体医薬品であり、正常細胞にもダメージを与える従来の抗がん薬とは作用メカニズムが大きく異なります。


この病気に対する日本で最初の抗体薬

■図1アーゼラの作用

白血球にはいろいろな種類がありますが、リンパ球はその1つで、細菌やウイルスから体を守る役割を果たしています。慢性リンパ性白血病は、このリンパ球に異常が生じ、異常なリンパ球が増える病気で、血液のがんである白血病の1種です。

異常なリンパ球が増えると、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下し、感染症が起こりやすくなります。また、正常な血液をつくる機能が低下するため、貧血や血小板の減少といった症状が現れます。

慢性リンパ性白血病と診断された場合、現れる症状や病期によって治療方針が決められます。初期で症状が見られなければ経過観察、症状が現れていれば治療が開始されます。

治療の基本は化学療法です。化学療法は進歩しましたが、すべての患者さんに効果的なわけではありません。また、いったん効果が現れても、それが効かなくなることもあります。

このような場合に使用する治療薬として、新しく登場してきたのが「アーゼラ」です。この薬は、分子標的薬の1種で、免疫の働きにかかわる「抗体」を主成分とする抗体医薬品であることが特徴です。そのため、従来の抗がん薬とは作用が異なります。

アーゼラの作用について説明しましょう。

慢性リンパ性白血病のがん化したリンパ球には、細胞の表面にCD20という分子が存在します。CD20は、細胞の外側に大小2つのループをもっており、抗体であるアーゼラは、これら2つのループに結合します。すると、これを目印に免疫細胞が集まって、がん化した細胞を攻撃します(図1)。

このようにして、アーゼラは白血病細胞に対して治療効果を発揮するのです。

アーゼラ=一般名オファツムマブ

70%の患者さんに効果が認められた

いくつかの臨床試験が行われていますが、ここでは日本人(9人)と韓国人(1人)を対象に行われた第Ⅰ/Ⅱ相試験を紹介します。これらの患者さんは、過去に化学療法を受けたが効かなかったか、あるいは治療後に再発した人たちです。

第Ⅰ相試験では、2000mgを投与することに対する忍容性が調べられました。これが確認できた段階で、第Ⅱ相試験に進み、有効性が調べられました。この臨床試験では、奏効率70%という結果が出ました。

効果が現れるまでの期間(中央値)は、8.1週間。だいたい2カ月ほどで、効果が現れてくることになります。

投与回数は計12回 治療は半年で終了する

■図2 アーゼラの投与スケジュール

アーゼラによる治療は、単剤で、決まったスケジュールに則って行われます。投与回数は全部で12回。このうち1回目から8回目までは、毎週投与します。その後、4~5週間あけてから、9回目以降の投与を、4週間間隔で行います。合計で24~25週。ほぼ半年間の治療ということになります(図2)。

アーゼラは点滴で投与する薬ですが、少量ずつゆっくり投与するため、1回の治療にかなり時間がかかります。ゆっくり投与するのは、「インフュージョンリアクション」という薬剤注入に伴う反応が起きやすいためです。日本人と韓国人を対象とした臨床試験では、患者さん全員に何らかのインフュージョンリアクションが起きています。

熱っぽい、息苦しい、寒気がする、めまいがする、発疹が出る、頭痛がするなど、さまざまな症状が現れ、ときに重篤な症状に発展することがあります。これらを防ぐために、アーゼラを投与する前には、ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬が投与されます。1回目と2回目の治療では、3剤を必ず投与します。3回目以降では、ステロイド薬を加えるかどうかを、医師が判断します。

とくにインフュージョンリアクションが起こりやすいのは、1回目の治療です。そのため、投与量は、1回目は2回目以降に比べてかなり少なくなっています。2回目以降は2000mgですが、1回目はわずか300mgです。

このように、1回目の治療には時間がかかり、インフュージョンリアクションによるさまざまな症状が現れる可能性があるため、入院し、しっかりとした管理の下で治療が行われるのが一般的です。2回目以降は、外来で行われることも、入院で行われることもあります。

B型肝炎ウイルスのチェックが大切

その他の注意点として、アーゼラによる治療がきっかけとなり、B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアだった人に、肝炎が現れてくることがあります。アーゼラ投与前のB型肝炎ウイルスのチェックも非常に大切です。

副作用はありますが、アーゼラによる治療は期間が決まっています。副作用をうまくコントロールし、最後まで行き着くことが効果につながります。

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