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患者のためのがんの薬事典

レブラミド(一般名:レナリドミド水和物)
多発性骨髄腫を長期に抑えると期待の新薬

取材・文:がんサポート編集部
発行:2010年10月
更新:2014年1月

  
写真:レブラミド(一般名レナリドミド水和物)

多発性骨髄腫の薬物療法は、新薬が次々に登場したことで大きく進歩しました。2010年7月、多発性骨髄腫に対する効果の大きいレブラミドが発売され、治療成績のさらなる向上が見込まれています。レブラミドは、手足のしびれなどの副作用が少ない経口剤で、QOL(生活の質)の改善にも役立つと注目されています。

薬物療法の治療成績が大きく向上している

多発性骨髄腫は血液のがんの1つです。赤血球や白血球といった血液細胞は、骨髄中の造血幹細胞が分化することによって作られます。多発性骨髄腫は、造血幹細胞がBリンパ球(白血球の1種)に分化する途中の「形質細胞」の段階でがん化して骨髄腫細胞となり、無秩序に増えていく病気。骨髄腫細胞が体中の骨髄に広がっていくと、正常な血液細胞が減ったり、骨が破壊されたりして、貧血や骨折といったさまざま症状が現れます。日本の推定患者数は11,000人。再発・進行を繰り返し、完全寛解(症状がなくなること)を期待しにくいとされてきました。

今のところ、多発性骨髄腫の完全寛解を期待するなら、大量化学療法+自家造血幹細胞移植()を受けるしかありません。ところが、この治療を受けるには、65歳未満で心肺機能が正常といった条件が必要。

多発性骨髄腫は、60歳以上の人に好発するので、この治療を受けられる患者さんは全体の2割程度です。それ以外のケースでは、薬によって進行を抑え、長期生存を目指す治療法が選択されます。

多発性骨髄腫の薬物療法は、以前は十分な効果が得られませんでした。しかし最近、サリドマイド(一般名)、ベルケイド(一般名ボルテゾミブ)といった新薬が続々と登場し、状況は一変しました。それらの薬を代わりがわりに使い、進行を長く抑えられるようになったことで、多発性骨髄腫の薬物療法の治療成績は大きく向上しています。

さらに、今年7月には新たな治療薬として、レブラミド(一般名レナリドミド水和物)が発売されました。レブラミドは、海外ではすでに多発性骨髄腫の治療で幅広く使われています。日本では再発、または難治性(初回の治療が無効)の多発性骨髄腫に用いられます。

大量化学療法+自家造血幹細胞移植=大量の抗がん剤でがん細胞を死滅させてから、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞を体に戻す治療法

無増悪期間が3倍近く延びた

レブラミドは、サリドマイドと構造が似ていますが、サリドマイドとは異なる物質です。くわしくわかっていないこともありますが、さまざまな薬理作用を持つと考えられています。たとえば、骨髄腫細胞を自滅に追いやったり、サイトカイン(生理活性物質)の産生を調節して、免疫細胞を活性化したりする働きにも優れています。こうした働きによって、多発性骨髄腫を安定的に抑えると考えられています。

欧米では、再発、または難治性の多発性骨髄腫の患者さん約700人のうち、半数をデキサメタゾン(一般名)単独投与群、もう半数をレブラミド+デキサメタゾン併用投与群に分ける第3相臨床試験が行われました。デキサメタゾンは、多発性骨髄腫の治療に使われる副腎皮質ホルモン剤(日本では今年7月に「レナデックス」という製品名で発売)です。

その結果、無増悪期間(がんが悪化しなかった期間)中央値は、デキサメタゾン単独投与群が4.6カ月だったのに対し、レブラミド+デキサメタゾン併用投与群が13.4カ月と3倍近く延びたのです。奏効率(一定の効果が現れた患者さんの割合)も、デキサメタゾン単独投与群が21.9パーセントだったのに対し、レブラミド+デキサメタゾン併用投与群は60.6パーセントで、しかも、治癒に近い効果のあった患者さんが少なくありませんでした。

[多発性骨髄腫の無増悪期間を延ばしたレブラミド(海外第3相臨床試験)]
図:多発性骨髄腫の無増悪期間を延ばしたレブラミド(海外第3相臨床試験)

Dimopoulos M, et al. Leukemia. 2009;23:2147-52.

[多発性骨髄腫に対するレブラミドの奏効率(海外第3相臨床試験)]
図:多発性骨髄腫に対するレブラミドの奏効率(海外第3相臨床試験)

Dimopoulos M, et al. Leukemia. 2009;23:2147-52.

骨髄異形成症候群の薬としても承認された

レブラミドは経口剤で、自宅や外出先で服用できるのが利点といえるでしょう。成人は通常、25ミリグラムを1日1回、3週間服用し、1週間休薬することを繰り返します。デキサメタゾンを併用します。

さらに、レブラミドは副作用が少ないのも大きな特徴。既存の多発性骨髄腫の治療薬で頻発する、しびれなどの重い神経障害は見られません。副作用としては、血球減少が多く見られるほか、深部静脈血栓症()も報告されていますので、専門医に相談して対策をしっかりとりましょう。

動物実験の結果から、レブラミドを摂取すると、胎児に奇形が生じるおそれのあることもわかりました。そこで、レブラミドの胎児への曝露を避けることを目的に、「レブメイト」というレブラミドの適正管理手順が作成されました。レブラミドにかかわる患者さん、医師・薬剤師の方は、この手順をきちんと守らなければなりません。

レブラミドは値段が高いのが難点。薬剤費は1日当たり約4万4千円、1カ月当たり90万円以上かかります。ただし、高額療養費制度を使えば、多くの人は1カ月当たり10万円以下の自己負担ですみます。

レブラミドは、ほかのがんへの効果についても注目されています。今年8月には、血液のがんの1つである骨髄異形成症候群のうち、5番染色体()長腕部に欠失があるタイプの治療薬として承認されました。今後は、白血病、悪性リンパ腫などの治療薬としても大いに期待されています。

深部静脈血栓症=体の深部にある静脈内で血の塊ができる病気。エコノミークラス症候群とも呼ばれる
染色体=遺伝子の集合体で細胞核に含まれており、1番から22番(性染色体を除く)まである

ホームページを見れば、レブメイトのくわしい内容がわかります。また、レブラミドの治療を受けられる病院(公開許可が得られた病院のみ)の情報もあります


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