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患者のためのがんの薬事典

OC-ヘモディアオートIII
大腸がんの早期発見に役立つ便潜血検査薬

取材・文:星野美穂
発行:2010年3月
更新:2014年1月

  
写真:OC-ヘモディアオートIII

大腸がんは、ここ数年で急速に死亡率が増えており、将来日本人のがんの死亡原因のトップになるだろうと予測されています。
日本の大腸がんの集団検診で行われている便潜血検査は、大腸がんの早期発見に貢献している検査です。
今回紹介する「OC-ヘモディアオートIII」は、免疫学的な抗原抗体反応を利用して便中に血液が混入していないかを調べるラテックス凝集反応を測定原理とした便潜血検査薬です。

食事や薬の影響を受けない免疫学的便潜血検査

胃や腸などの消化管の内側がなんらかの原因で出血すると、血液が便に混入します。大量の出血があった場合には、便に血液が付着したり、便の色が黒っぽくなるなどの変化で肉眼的に判断できますが、微量の血液の混入はわかりません。便に混じった微量の血液を判定するために行われるのが、便潜血検査です。主に、大腸がんのスクリーニング(ふるいわけ)検査として行われます。便潜血検査で陽性反応が出た場合、その原因を探るためにより詳しい精密検査を受ける必要があります。

01年に発売されたOC-ヘモディアオートIIIは免疫学的便潜血検査を行うための検査試薬(体外診断用医薬品)で、現在、病院や検査センター、検診機関などで広く使われています。

便潜血検査には、化学反応を用いて行う「化学的便潜血検査」と、生体の抗原抗体反応を利用して測定する「免疫学的便潜血検査」があります。

化学的便潜血検査は、非常に微量な血液に反応する一方、食べた肉や緑黄色野菜、鉄剤などにも反応してしまうため、検査前に厳格な食事制限が必要となります。また、目視で判定を行うため、人により検査結果にばらつきが出ることもあります。

一方、免疫学的便潜血検査は、人の血液中にあるヘモグロビンのみに反応するため、食事や薬の影響を受けないという特長があります。判定は機械で行うため、検査する人の判断といった環境の影響を受けることはありません。

正しい検査を行うために正しく便を採取する

便潜血検査は、大便のとり方がポイントとなります。

看護師や検査技師などの医療専門職が検体(検査に必要な材料)を採取する医療施設の検査と異なり、便潜血検査は検査においては素人である健常者が便を採取しなければならないからです。便は固形であるため、たとえ血液が付着していたとしても均一ではありません。採取する部分によっては、血液が入らないこともあります。

正しい便潜血検査を行うには、正しく便を採取することが大切なのです。

[便潜血検査――正しい大便のとり方]
図:便潜血検査――正しい大便のとり方

まず、どこから便をとるかです。採便容器には、キャップに採便用の棒がついています。この棒で、便の表面をまんべんなくこすりとります。

小腸から送り込まれた内容物は、結腸で水分を吸収します。このとき、便はまだ柔らかく、結腸で出血した血液は便の内外に混入します。結腸で作られた便を貯めておく直腸では、便はある程度固まっており、ここで出血した血液の大部分は便の表面に付着します。

そのため、表面の血液を採取すれば、結腸・直腸のどちらの出血も判明するというわけです。

便潜血検査は、1日分の便を採取する1日法と、2日分の便を採取する2日法があります。少しでも発見のチャンスを増やすという意味で、2日法が推奨されています。

ただし、検体の量をたくさんとったからといって、正しい判定ができるわけではありません。1回に採取する便の量は、採取棒の先端の溝が埋まるくらいで十分です。量が多すぎると、本当は陰性であっても陽性と判定されてしまうこともあります。

また、便が水に浸かると正しく検査ができないため、便が水に浸からないような工夫も必要です。OC-ヘモディアオートIIIの採便セットには、便器に敷いて使用する「トレールペーパー」が付いていますので、このような採便シートを利用するのもよいでしょう。

保存方法も大切です。検体を温度が高い場所に置いておくと、血液中のヘモグロビンが劣化し、陰性と判定されてしまうことがあるからです。

ですから、採取した検体は、冷蔵庫などに保管しておくことが勧められます。

大腸がんの死亡率を約7割も下げる検査

写真:便潜血測定装置(画像はOCセンサーDIANA)
便潜血測定装置(画像はOCセンサーDIANA)

大腸がんの死亡率は、この20年で2倍以上増加しています。女性に顕著で、03年には女性のがん死亡率のトップになりました。

便潜血検査による大腸がん検診は、大腸がんを早期に発見し、死亡率を下げることができるということが、厚生労働省(厚労省)の研究で明らかになっています。

厚労省が40歳から59歳の男女約4万人を13年間追跡した調査によると、便潜血検査による大腸がん検診を受けた人は、受けていない人より大腸がんによる死亡率が約7割も低下しているという結果が出たのです。

また、大腸がん発見時の進行度は、検診受診ありの人では、大腸がんが早期に発見される可能性が高くなり、逆に進行してから診断される危険性は半減しているという結果も出ています。

つまり、大腸がん検診を行うことは、大腸がんによる死亡率を下げることにつながるのです。

しかし、課題は検診受診率の低さです。

40~74歳の大腸がん検診受診率は、男性は27.5パーセント、女性は22.7パーセントという低さです(平成19年国民生活基礎調査)。女性の低受診率は、職場検診を受ける機会が少なく、市町村などが実施するがん検診も受けていない人が多いためと推測されています。

大腸がんの死亡率を低下させるためには、より多くの人が検診を受診し、大腸がんの早期発見、早期治療につなげることが大切です。


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