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患者のためのがんの薬事典

アイソボリン注・ロイコボリン錠(一般名:レボホリナート、またはホリナート)
5-FUの効果を増強するアイソボリン、ロイコボリン。
抗悪性腫瘍“補助剤”として、現代の大腸がん治療に欠かせぬ存在

文:水田吉彦 日本メディカルライター協会(JMCA)
発行:2007年11月
更新:2014年2月

  

5種類のホリナート

ロイコボリン錠とアイソボリン注

大腸がんの関連学会では、ホリナートという薬剤名を耳にしないときがありません。それほど、ホリナートは現代の大腸がん治療に、欠かせない存在となっています。

それ自体は抗がん剤でなく、抗がん剤の副作用軽減や、作用増強に用いられる“補助剤”です。一般名(化学名)には、ホリナートとレボホリナートの2種類があり、商品名としてはアイソボリン、ロイコボリン、ユーゼルなどがあります。飲み薬と注射剤の違いもあり、全体として用途別の5種類に分類されます(表)。一般の方には理解しづらい面もあるでしょうから、基本的な事柄を整理しておきたいと思います。


[ホリナート分類]

商品名 一般名 剤型 効能効果
ロイコボリン錠5mg ホリナート 錠剤 葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減
ロイコボリン注3mg ホリナート 注射剤 葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減
ロイコボリン錠25mg ホリナート 錠剤 テガフール・ウラシルの効果増強
ユーゼル錠25mg ホリナート 錠剤 テガフール・ウラシルの効果増強
アイソボリン注25mg レボホリナート 注射剤 フルオロウラシルの効果増強

葉酸とは何か

ホリナートの本質は、栄養成分の1つである“葉酸”です。ヒトは、この葉酸を体内で作り出せないことから、食事によって摂取する必要があります。1941年に、ほうれん草の葉から発見・単離(混合物から純物質を分離すること)されたことを受けて、葉酸と呼ばれるようになりました。

葉酸は、細胞内におけるDNA(遺伝子)合成で重要な役割を果たし、タンパク質の合成に不可欠な要素です。そのため、急速な細胞分裂や組織形成を行う胎児の成長過程では、必要不可欠な栄養素とされ、米国や日本の専門家組織は妊婦に対して、1日0.4ミリグラムの葉酸摂取を推奨しているほどです。

抗がん剤治療に併用されるホリナートは、こうした葉酸を化学合成にて製造したものです。食品に含まれる葉酸の100倍ほどの量が、がん治療では1日に服用されています。

低用量ホリナートの目的とは

ホリナートには低用量と高用量の2種類が製剤化されているのですが、はじめに、低用量ホリナート製剤の使用目的から解説します。飲み薬であるロイコボリン錠5ミリグラムと、注射剤であるロイコボリン注3ミリグラムがそれです。

DNA合成を阻害する抗がん剤(とくに葉酸代謝拮抗剤)治療では、正常な細胞もダメージを受けるために、いわゆる“毒性が高い”と表現されます。一方、低用量のホリナートは、損傷を受けた正常細胞が立ち直るのを手助けします。医療現場では、ロイコボリン救済療法などとも呼ばれます。

血液の腫瘍に対して行われる抗がん剤治療、すなわちメトトレキサート療法、CMF療法、M-VAC療法、またはメトトレキサート・5-FU交代療法などにおいて、ホリナートによる毒性軽減が期待できるとされています。

抗がん剤を服用している期間内、低用量のホリナートが投与され続け、抗がん剤の副作用が強い場合に、ホリナートの増量や投与期間延長などが考慮されます。状況に応じて、錠剤と注射剤の使い分けがなされます。

高用量ホリナートの目的とは

次に、高用量ホリナート製剤の使用目的を説明します。飲み薬であるロイコボリン錠25ミリグラムと、ユーゼル錠25ミリグラム、および注射剤であるアイソボリン注25ミリグラムとがこれに該当します。 前述の低用量ホリナートと異なり、大腸がん治療で主に用いられる5-FUの効き目を強化する目的で併用されます。低用量ホリナートが、正常細胞の側に立って、これを守ろうとするのに対し、高用量ホリナートは抗がん剤と二人三脚で、がんを攻撃するために働くのです。

専門家は、飲み薬のロイコボリン錠25ミリグラムとユーゼル錠25ミリグラムを“ホリナート”といい、注射剤であるアイソボリン注25ミリグラムを“レボホリナート”と呼んで区別します。経口投与の5-FU製剤には、ホリナート(錠剤)を併用し、注射剤のフルオロウラシル製剤には、レボホリナート(注射剤)を併用するのが一般的な考え方です。

大腸がん治療ガイドラインでは

近年、厚生労働省事業の一環として、大腸癌研究会により「大腸がん治療ガイドライン」が定められました。日本癌治療学会も、本ガイドラインを推奨しています。このガイドラインから、高用量ホリナートに関する記述をみてみましょう。

まず、術後補助化学療法における「5-FU+ホリナート」の有用性が述べられています。大腸がんの治癒切除がなされた後に、再発予防を目的として行われる抗がん剤投与が、術後補助化学療法と呼ばれます。

ガイドラインでは、5-FUとホリナートを併用することが、結腸がんの術後補助化学療法において、確立した標準的治療であることを明示しています。この場合の5-FUとホリナートは、ともに飲み薬が汎用されています。

次に、切除不能と判断された転移・再発大腸がんに対して、がん進行を遅らせる目的から、5-FUとレボホリナートを含む処方(ともに注射剤)が推奨されています。国内第3相試験の結果、生存期間の延長を認め、かつ国内で使用可能なレジメン(メニュー)が幾つかあります。FOLFOX(点滴5-FU、レボホリナート、オキサリプラチン併用)、FOLFIRI(点滴5-FU、レボホリナート、イリノテカン併用)、IFL(急速注5-FU、レボホリナート、イリノテカン併用)、および5-FUとレボホリナートを併用する幾つかの方法がそれです。詳しくは、研究会のホームページをご参照ください。


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