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患者のためのがんの薬事典

キロサイド/サイトサール(一般名:シタラビン)
大量療法で、再発・難治性の急性白血病、悪性リンパ腫に効果を発揮

監修:畠清彦 癌研有明病院化学療法科部長
発行:2006年11月
更新:2019年7月

  
写真:キロサイド(一般名シタラビン)

幅広いがんに適用がありますが、現在は主に急性白血病や悪性リンパ腫に対する治療薬として使用されています。
通常の用法のほかに、大幅に投与量を増やした大量療法も行われています。非常に強力な治療となり、副作用の問題はありますが、急性白血病での寛解導入療法、地固め療法、悪性リンパ腫での救援療法などで有効な薬剤です。

急性白血病の治療薬として登場

シタラビン(商品名はキロサイドまたはサイトサール)は、「代謝拮抗剤」に分類される抗がん剤で、1959年にアメリカで開発されました。

急性白血病に対して効果を発揮し、1971年には日本でも販売が開始。1973年には、消化器がん(胃がん、胆道がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸がん、直腸がん等)、肺がん、乳がん、女性性器がん(子宮がん、卵巣がん等)に対しても、他の抗がん剤と併用する場合に限り、効用が追加承認されました。また、1984年には、膀胱がんへの使用も認められています。

代謝拮抗剤は、細胞が増殖する際に必要な代謝物質に似た構造を持っています。がん細胞が正常な代謝物質と間違えて取り込むことで、DNAとタンパク質の合成を阻害し、分裂・増殖を防ぐという働きを持っています。シタラビンは、この代謝拮抗剤のうちの「ピリミジン系代謝拮抗剤」、さらに「シトシンアラビノシド系化合物」という種類の薬剤に分類されます。

血液がんに対して確立された大量療法

1980年代に入ってから欧米において、再発・難治性の急性白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病)と悪性リンパ腫に対して、シタラビンの大量療法が行われるようになりました。これは、文字通り、シタラビンの量を通常よりも10~20倍も多く投与する強力な治療で、通常用量では効果が期待できなくなった場合などに行われます。

欧米で効果が認められ、血液がん治療の有効手段として確立したことを受け、日本でも、2000年に使用承認がされています。急性リンパ性白血病と悪性リンパ腫に用いる場合は、他の抗がん剤との併用でのみ認められています。

通常の用法では、1平方メートル当たり100~200ミリグラムを点滴で投与しますが、大量療法の場合はこれを1平方メートル当たり2~3グラムまで増量します。

主な副作用、大量療法の注意点

シタラビンの主な副作用としては、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状がもっとも多く、そのほか、腹痛・下痢、口内炎、発疹、倦怠感、肝障害、発熱などが現れることがあります。他の抗がん剤との併用時には、消化器症状に加えて、白血球減少などの血液障害も比較的高い頻度で起こります。また、重大な副作用としては、骨髄機能抑制、ショック、消化管潰瘍・出血などの消化管障害、間質性肺炎、急性心膜炎、心のう液貯留などが起こる可能性があります。

シタラビン大量療法の場合は、当然これらの副作用は通常用法よりも強く出、非常に厳しい治療になります。また、前記に挙げたものの他に、シタラビン大量療法に特徴的な副作用として、結膜炎などの眼症状や、発熱、筋肉痛、骨痛などを引き起こす「シタラビン症候群」と呼ばれる症状が出ることがあります。

その他にも、高ビリルビン血症(黄疸)を伴う肝障害、不整脈、心不全、言語障害・運動失調・白質脳症等の中枢神経系障害、肝膿瘍、急性膵炎、肺浮腫、有痛性紅斑など、さまざまな重篤な副作用が報告されています。このため、シタラビン大量療法の際は、常に副作用に対応できるよう、熟練した医師の下での慎重な投与に加え、感染予防のために無菌室などの無菌状態に近い状況で治療を行う必要があります。

急性白血病、悪性リンパ腫に対する投与法

シタラビンは広範囲のがんに適用がありますが、固形がんに対しての使用頻度はそれほど高くなく、主に血液がんで重要な役割を担っています。故にここでは、使用頻度の高いがんとして、急性白血病、悪性リンパ腫治療における主な投与法について紹介します。

急性骨髄性白血病の化学療法に用いられる代表的な抗がん剤で、初発時の治療(寛解導入療法)としては、シタラビンとイダマイシン(一般名イダルビシン)またはダウノマイシン(一般名ダウノルビシン)と組み合わせた2剤併用療法が標準的に行われています。

また、寛解後に残っているがん細胞を叩くための地固め療法で、シタラビンの大量療法が行われています。また、急性リンパ性白血病の地固め療法では、多剤との併用で用いられています。

悪性リンパ腫では、第2の手として用いられることが標準的です。非ホジキンリンパ腫では、現在、CHOP療法、またはそれにリツキサン(一般名リツキシマブ)を加えたR-CHOP療法が第1選択として用いられています。それ以外にもいくつか薬の選択肢はありますが、これら初期治療が奏効しなかった例や、寛解後に再発した例に対する救援療法(サルベージ療法)として、EPOCH療法と呼ばれる多剤併用療法の他、シタラビン大量療法を含んだ、ESHAP療法、CHASE療法が行われています。

[再発・難治性急性白血病に対するシタラビン大量療法の臨床試験結果]
完全寛解率 部分寛解率 寛解率(「部分寛解」以上)
46.2%(18/39) 5.1%(2/39) 51.3%(20/39)

[各がんに対する臨床成績(多剤併用療法)]
疾患名 有効率(消失・縮小) 有効以上例数/症例数
消化器がん 41.00% 68/166
肺がん 26.60% 17/64
乳がん 33.30% 4/12
女性性器がん 65.60% 21/32
全体 38.70% 128/331
膀胱がん
(単独膀胱内注入)
(マイトマイシンC併用)
 
30.60%
61.30%
 
11/36
92/150


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