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森川那智子のゆるるんヨガdeほっ! ゆるゆるセルフケア 108

感情にいい悪いはありません <膝立ちで胸を開閉するポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2016年12月
更新:2016年12月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)など著書多数。近著に『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)

怒りの感情を感じること自体に、ためらいを感じる人は少なくありません。「こんなこと感じたり思ったりするのは良くない」と価値判断して、ブレーキがかかるのです。でも、どんなことを思っても、思うだけなら良いも悪いもありません。たとえ憎い、殺したいというような激しい怒りも、思っているだけなら良いも悪いもありません。

しかし、憎い、殺したいというような強い怒りの感情は、心の内側にただ抱えているだけでもきついことです。ひどいことを考えるとそれだけで、何か悪いことが起こりそうな気がするという人もいます。ですから心はなるべくそのような激しい情動は感じないようにして、心を防御することがあります。

自分の気持ちを上手に表現することは、健全な対人関係をつくるうえで重要なスキルであることは言うまでもありません。でも、そもそも自分の気持ちに気づいていなければ、表現しようもありません。怒りを感じないようにしていると、気づかないまま鬱積して感情を爆発させたり、理不尽な行動や身体の不調になって現れたりします。

Kさんは乳がんになって、はじめて、「我慢しすぎちゃったかな」と思ったそうです。夫を立て子どもを育て、夫の両親の面倒もみてきて20数年、今時ないような良妻賢母をやってきました。当時は、それが当たり前で、我慢しているという意識もなかったといいます。

がんになりやすい性格?!

患者会でがんになりやすい性格があることを知りました。『がん性格 タイプC症候群』(L・テモショック、H・ドレイア著)によると、

1 怒りを表出しない。過去においても現在においても、怒りの感情に気づかないことが多い。

2 ほかのネガティブな感情、すなわち不安、恐れ、悲しみも経験したり表出したりしない。

3 仕事や人づきあい、家族関係において、忍耐強く、控えめで、協力的で譲歩を厭わない。権威に対し従順である。

4 他人の要求を満たそうと気をつかいすぎ、自分の要求は十分に満たそうとしない。極端に自己犠牲的になることが多い。

などの特徴があるということです。

自分は全部これに当てはまるとKさんは思いました。ところがそう言われても、習い性になっているので、なかなか変えられない。どうしたら変えられるのか、そのとっかかりさえよくわからない。がんの再発リスクを下げるためには変わらなくてはと思うと、それはそれでストレスでした。

わたしはヨガをより繊細に、「今、自分がどう感じているか」、自分の内部とのコミュニケーションを高めるようなやり方で行うことを提案しました。良いとか悪いとかはいったん脇に置いて、今感じていることを感じているままに感じる練習です。感情だとブレーキがかかる人も、体の感覚だと落ち着いて受け止めることができます。

とくに何も感じないというのも、体験の一部なので、それでいい、「Let it be」です。

今月紹介する「膝立ちで胸を開閉するポーズ」。

具体的に説明すると、頑張ればもっとやれるというところの手前まで、目いっぱいの50%くらいのところでキープし、その状態でできるおだやかな呼吸を4呼吸行います。

自分の、今している呼吸に注意を向けて、呼吸とともに自分の胸郭、肩甲骨、胸筋などがどう動き、それをどう感じるのかに丁寧に注意を向けていきます。②、③では吸う息で胸に息が満ちていくプロセスをたどっていき、④、⑤では吐く息で胸が閉じられていくプロセスをたどっていきます。

<膝立ちで胸を開閉するポーズ>

❶胸の前で両掌を上に向け、指を写真のように交差させる。手指の根元までがっしり交差させるのではなく、少し浅めに緩やかに組むといい。

❷膝を腰幅にして膝立ちになり、組んだ両手を頭の後ろに置く。

膝立ちで胸を開閉するポーズ1
膝立ちで胸を開閉するポーズ2

❸ゆっくり息を吸いながら、肘を開いて胸を広げ、顎を少しずつ上げ、喉を伸ばし、視線を上方に。頭は軽く手に重さを預け、手は頭を軽く押し返す感じで。この姿勢のまま4呼吸。吐く息とともにゆっくり②に戻し、

❹胸に両手を軽く置く。

膝立ちで胸を開閉するポーズ3
膝立ちで胸を開閉するポーズ4

❺息をゆっくり吐きながら、背中を丸めながら両手を前にゆっくり押し出す。このとき左右の肩甲骨の間隔は広げて、両腕と胸の間で大きなボールを抱えているようなイメージ。この姿勢のまま4呼吸、吸う息で④に戻す。腹部はリラックス。

❻腰を下ろし正座になるか、楽な姿勢でくつろぐ。以上を2セット

膝立ちで胸を開閉するポーズ5
膝立ちで胸を開閉するポーズ6

 

インストラクタープロフィール 今月のモデルはがんサバイバーのためのヨガ指導を各地で積極的に行っている、ご自身もがんサバイバーのヤマダリエさん。11月から「こころとからだクリニカセンター」で、毎週水曜日、夜6:30から「リボンヨガ2」というクラスを新設しました。がんサバイバーヨガのインストラクターの方にはすぐに役立つ内容テンコ盛りです。

●こころとからだクリニカセンター PC www.kokokara.co.jp/ 携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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