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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第1回 緊張と弛緩のバランス

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2018年6月
更新:2018年10月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

このところの天気の変わり方はまるでジェットコースターのようです。今年に入ってからとくに酷くなっています。確か正月三が日は、これはまさしく温暖化かというくらいポカポカ陽気が続きました。そのあと急に寒くなって、寒いとなったら例年よりずっと寒くなりました。

東京では4月に最高気温が25度以上の夏日が8日もあり、統計開始以来最多を記録しました。春なのに暑いとなると夏の暑さになり、初夏なのに肌寒くなると暖房が欲しくなる寒さです。昨日と今日とで、あるいは1日のうちで寒暖が大きく変わって、「とてもついていけない」とぼやきが出ます。

こんなとき、つまり体がとてもついていけないというようなときですが、眠っている間に私は布団の中で、やたらと何度も大きく伸びをしているらしいのです。らしいというのは眠っているからよく覚えていないのですが、朝、眠りが浅くなってくると、やたらと伸びをしているのです。

伸びをしながら、朝だから伸びをしているのではなくて、眠っている間もずっとしていたその連続線上にある伸びだとわかります。両手を頭の上にグーっと伸ばして、足のつま先までグイグイ伸ばし、その直後ぐったりさせます。ときには連続して2、3回やってます。

少しずつ目が覚めてきて、意識がはっきりしてくると、〝気持ちいい〟がわかってきます。肩甲骨の周辺が気持ちいいのです。

〝眠ている間にヨガしているらしい〟に気づいたのは、ヨガを始めて半年くらいたったあたりでしょうか。寝相が劇的に悪くなりました。ゴロゴロ動き回って無意識のうちに体を調整してくれています。もちろんこれは正確に言えばヨガではありません。ヨガをするようになって、いつの間にか身についたセルフケア的な体の動きです。

マインドフルネスはヨガ体験の中核

今月から「マインドフルネス」(今という瞬間に注意を向けること)という視点から〝こころとからだと気づき〟について書いていきます。

マインドフルネスはヨガ体験の中核をなすものです。近年では、マインドフルネスはメンタルヘルスへの有効性についてエビデンス(科学的根拠)が蓄積されています。

ヨガポーズ法について、繰り返しになりますが、基本をおさらいします。これは日本にヨガを紹介した第1人者である佐保田鶴治師も繰り返し言っていたことです。

 1)呼吸とともに、ゆっくり意識的に動作する
 2)余分な力を抜き、動作に伴って引き起こされる内部感覚に注意を向ける
 3) 一定時間(通常は4~8呼吸)、ポーズを保ち、留まる
 4) ポーズをほどいたら、楽な姿勢でリラックスし、ポーズの余韻を味わう

ヨガポーズは、見た目にインパクトがあるものが少なくないので、「余分な力を抜き」「内部感覚に注意を向ける」などはスルーされがちです。

写真で紹介されているポーズやインストラクターのやっている体の動きに目が奪われ、目いっぱいそれに近づけようと頑張ってしまいます。たいていの場合、頑張っていることに気づけません。「余分な力」とは、その瞬間のどこの何を指すのか、気づかないものなのです。気づきがあれば、それは余分な力ではなくなります。

「ある動作を意識的に行う」ですから、随意筋(ずいいきん)を操作して動作します。しかし、それが目いっぱいにならないように、呼吸を同調させます。しかもその呼吸も、「静かに吸いながら」とか、「ゆっくり息を吐きながら」あるいは「穏やかに呼吸をしながら」とか、形容動詞をプラスさせます。

こういうのは、大方聞き流されます。「静かに息を吸う」とはどれくらいのことかといろいろ考えてしまうより、聞き流していいのです。いろいろ考えてしまうと、動作にともなって引き起こされる「内部感覚」が、上の空になります。でも、こうした細部の気づきがマインドフルネスなのです。ドンマイの反対なのですから。

日本語では「念」、サンスクリット語では「サティ」です。不思議なことに、念という言葉やサティという言葉より「マインドフルネス」のほうが、馴染みがあります。

実際にマインドフルネス・ヨガをやってみましょう。

椅子に腰かけて、左足の腿の上に右足を乗せます。左手の指を右足の指と1本1本交互に深く交差します。右利きの人は反対側で始めたほうがわかりやすいかもしれません。

最初は、手指は足指を、足指は手指を、互いにギューッと、息を穏やかに吐きながら握ります。どんな刺激が内部に起きているかに注意を向けながら行います。つまり強すぎず、気持ちがいい、というぐらいの強さまで握ります。

今度は、足のほうはなるべくリラックスします。膝や足首から力を抜いて、手で足をギューッと握ります。すると足は手指の柔らかさとか温かさも感じるかもしれません。別の気づきがあるかもしれません。どちらにしても、さっきより内部感覚の受容性が少し高くなっているのではないでしょうか。とくに何も変化を感じなくても、それはそれで「いいのだ」なのです。「そういうこともあるのかな」でスルーしてください。

今度は手、腕、肩、の力を抜きます。そして、足指で手指をギューッと穏やかに息を吐きながら握ります。手が握られている感覚に、気持ちを向けます。足指のゴツゴツした感じが感じられるかもしれません。

このエクササイズの間、あれこれ考えてしまう瞬間もあり、これでいいのかと思う瞬間もあり、内部の感覚に注意を向ける瞬間もあり、それらを交互に行きかいながら左右の足で丁寧にやって3分。

少しだけ普段と違うこころとからだの気づきがあったかもしれません。

「よくわからないなあ」と思っても、それでいいのです。今という瞬間に留まることは、少しばかりトレーニングが必要なのです。また、明日やってみてください。

 

●こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
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