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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第6回 自分と闘わない <ボディ・スキャン椅子姿勢/仰臥姿勢>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2018年11月
更新:2018年11月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

ちょっとした体調の変化も、再発や転移の兆候では? と不安になるのは、がんサバイバーにとってごく普通の思考パターンです。なるべくストレスのない生活を送りたいと思っていても、一旦不安になると不安に圧倒されそうになったり、気分が落ち込んだり、ちょっとした行動も億劫になったりします。

そんなときヨガを行うと、そのマインドフルネス効果によって不安から一旦離れられるチャンスになる、心のバランスを回復するきっかけになる、という話を先月号でしました。

でも、気分が沈みがちなときは、いいとわかっていても、やる気が起きないものです。そんなときは、「本当はやったほうがいいのに」、「やらなくちゃ」、「こんなにやる気が出ないなんておかしい」、などと考えないほうがいい。

やる気が出ないときは、無理してやらなくていい。

少しやる気が出てきたときに、少しやればいい。

マインドフルネスは、今という瞬間に自分が体験していることに気づくこと。

ちょっとした不調を感じたその瞬間、自分の中でどんな考えが起き、それに伴ってどんな感情が湧いてくるのか、ただ意識を向けて気づくこと。

マインドフルネス・ワークは〝心の筋トレ〟

「ちょっとした体調の変化」、それって「どんな感じなのか」、それは「体のどの部分に感じているのか」。例えば「ふくらはぎの外側、上から3分の1位のところ」(実は今、私はそこに不快を感じています)とか。さらに、それは「冷えた感じ」か、「熱い感じ」なのか、「チクチクした痛み」か、「だるさ」なのか。よくわからなかったら、よくわからないままにしておきます。

ヨガの熟練者なら、「今どんなポーズを体は求めているのか」「どう体を動かすと楽になりそうか」、そんなふうに体と対話することが多い。もっと素朴に不調な部分を、撫でたり摩ったり揉んだりもする。そうしながら、「最近ときどき同じような不調を感じることがある」とか、それは「いつ頃からだったか」とか、「原因は何だろう」と考えている。

でも、今、試しているのは、「今、この瞬間に不調部分をどう感じているか」です。不調部分に注意を向けて、そこと共に呼吸する。特定の不調部位と呼吸を同調させます。

ところが、私たちはいつの間にか考えるともなくいろいろ考えていたりします。そのことに気づいたら、「今、こんなふうに考えている」ということを意識に留めて、「今、そこはどんな感じなのか」に注意を戻します。

こうしたマインドフルネス・ワークは、慣れてないと退屈な作業と感じるかもしれません。ヨガでは、そのポーズに伴う身体部位が刺激されますから、特定の部位に注意を集中して、あたかもそこに呼吸器があるかのように呼吸と同調させます。

それと比べると、何もしないで、ただ今この瞬間に体験していることに注意深くなるというマインドフルネス・ワークを〝心の筋トレ〟と呼んだりします。筋トレによって筋肉のポテンシャルを高めて行くのと同じように、心のポテンシャルを高めて行くワークなのです。

体調の変化から起こる心の動き

普通は、何か不調があれば原因を考え、それにふさわしい対処方法を考え、その不調を取り除こうとします。がんサバイバーにとってのそれは、病院に連絡して予約を取り、自分のスケジュールを調整することだったりします。お金の心配だってあります。と同時に、病院に行くほどの不調だろうかと自問自答。今ではネットで検索すれば実に多くの情報に触れることができます。とりあえず「ネットで調べないと」と思ったり。

ちょっとした体調の変化でも、一瞬のうちに実にいろいろな考えが同時多発的に湧き起こります。それだけではありません。最初にがんがわかったときのことが思い出されていたり、主治医との会話をシュミレーションしたり、「なんだかもう面倒くさいなあ」と思っても当然ではないでしょうか。

「ああ、ヤだなあ、何にもしたくない」、でも「何かしたほうがいいよ」ともう1人の自分がささやく、家の中で引きこもっているとロクなことは考えないから。でも、「なんだか気力がでない」「何にもしたくない」「したいけどしたくない」、こんなふうに心の中で綱引きが何度か起きているのに気づいたら自分と闘うのを一旦停止して、まず、今感じている不調に耳を傾けます。

じっとしていられない気持ちになっているかもしれません。

「ヤだなあ、ほんとにヤだ」と、独白(モノローグ)しているとき、「と今、思っている(考えている)」のひと言をプラスしてみる。

ひと言プラスして、そのまま保留にして、ところで、「今、体の感じはどうなのか」耳を澄ませる。いわゆる「ポーズ」など一見してそれらしいことは何もしなくても、実はヨガしています。先月号で紹介した<ボディ・スキャン>もそうです。

その続きをやってみましょう。今回は、前回と同様に、椅子に腰かけた姿勢のほか、仰臥姿勢での行い方も紹介します。

<ボディ・スキャン椅子姿勢>

椅子に深く腰掛けます。ソファよりも硬めの椅子のほうが、体軸を意識したとき、頭のてっぺんまで楽に伸ばすことができます。両手は腿の上に、手のひらが上でも下でもいいので緩やかに伸ばします。目は半眼か閉じます。

踵(かかと)が浮いていたら、足の裏が床に着くように、座布団かバスタオルを下に敷くとよいでしょう。足も膝も腰幅に開いています。

ボディ・スキャン椅子姿勢1

<ボディ・スキャン仰臥姿勢>

仰向けになり、両足は腰幅より少し広めに開き、両手は脇を緩めて、両手を投げ出してもいいし、お腹に当てていてもいいのです。

ボディ・スキャン仰臥姿勢1

ボディ・スキャン仰臥姿勢2

ヨガで行う完全弛緩のポーズです。肩から頭の下にバスマットか座布団を敷くと、首と頭が安定します。呼吸もコントロールしようとしないで、体に任せます。自分の呼吸を続けます。

今回は足からボディ・スキャンしていきます。

足:左右の両足の指先、両足の裏、踵、足の甲と、順番に注意を向けて、今この瞬間、どんなふうに感じているのか、感じるままに感じて行きます。左右の足をスキャンするように観察して行きます。何も感じなくても、それは今この瞬間の体験です。それでいいのです。

下腿:足首から膝までをゆっくりスキャンするように注意を向け、今体験していることを味わうように進みます。どこか違和感があったら、それがどういう違和感なのか、熱を帯びた感じか冷えを感じるのか、チクチクなのかだるい感じか吟味していきます。

ワイン好きがワインを口に含んだとき、その匂いをゆっくり味わい、口の中で転がして苔の味や土の味を味わい、温められるにしたがって変化するプロセスを吟味し、最後に喉の奥に移動させて、ワインをくまなく味わおうとするが如く、自分の下腿部を味わいます。

大腿:左右の膝から腿の付け根までスキャンするように注意集中のスポットライトを移動させていく。呼吸と同調させながら。

骨盤:骨盤には重要な臓器が収められています。呼吸と共に、今この瞬間感じていることを感じているままに丁寧に受け取って行きます。途中で全然関係ないことを考えていたり、そこから自動運転に身をまかせているかのように、思いや思考の流れにただまかせていることがあります。そのことに気づいたら、再び、今この瞬間、その部分はどんな感じなのか注意を向けます。重要なのはどんなに気がかりなことを感じていても、次に移るときはそれらを一旦脇に置いていきます。

へその周り:骨盤より上、胸郭より下の部分に注意を向けて行きます。

背中と胸:背中と胸郭に守られている部分に注意を向けて行きます。心臓に注意を向けるのは不安が伴うという人も少なくありません。そういうときも「そうなんだな」と気づいて、でも追求しないでいましょう。

上半身(肩甲骨、肩、腕、手、首、頭部)は、先月号で紹介した行い方で、ボディ・スキャンを実践した人は、それに倣ってください。

各部位2~4呼吸くらい。慣れてきたら、いくつかの部位を流れるように、しかし丁寧さを忘れないで、あたかもスキャンするように体を感じ取って行ってください。疲れているときは眠たくなります。とくに仰臥姿勢で行っていると、骨盤のあたりになるとほとんどの人が眠っています。目が覚めて、まだ時間があったら、続きを行ってください。

 

●こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
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