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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第11回 〝いい人〟をやってしまいそう <腹式呼吸のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2019年4月
更新:2019年4月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

「(がんの)医療に後悔はつきものなのです。その後悔をできるだけ少なくする努力を」と言う言葉を聞いたとき、なるほどと思いました。米国有数のがん専門病院の腫瘍専門医で、自身2度、がんを経験している上野直人さんの言葉です。

『一流患者と三流患者 医者から最高の医療を引き出す心得』の著者であり、最近ではNHKBSプレミアム「がんを生きる新常識2」で取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。

どんなケースでも医療にはいくつか選択肢があり、それぞれにリスクがあり、どれを選んでも後悔はあるものという事実を改めて認識しました。

どこかに、絶対後悔しないドンピシャな大正解があるような気がしていたことに気づかされたのです。

親しい友人の上顎洞がん

50年来の親しい友人であり、そのチャーミングな人柄と創作活動の質量の凄さにいつも驚嘆させられてきた作家・橋本治さんが、がん闘病の末、1月29日に亡くなりました。

昨年(2018年)6月、ステージ4の上顎洞(じょうがくどう)上皮がんがみつかりました。持病のため抗がん薬は使えないので、手術が可能であるなら早く手術したほうがいいと、左目の下から顔の4分の1を切除。そのあとに腹の肉を取って形成するという16時間に及ぶ大手術でした。そのあと放射線治療を行い、10月に退院。しかし1カ月も経たないうちに再発が認められ、再入院となりました。

その持病というのが、8年前に患った顕微鏡的多発血管炎という自己免疫系の難病で、3カ月ほど入院していました。そのとき、地の利で選んだT医大病院に、たまたまその難病の専門医がいたので、そこでずっと治療を受けてきました。その血管炎のせいで、抗がん薬を使ったらたちまち腎不全に陥るということでした。

この最初の診断と治療方針を橋本さんは1人で聞いています。

生検の結果「がんです」と告知され、治療方針と手術のあらましを図解入りで説明を聞き、最後に手術の所用時間を聞くまで、「あ、そうですか」しか言わなかったそうです。

「何か疑問や質問はありませんか?」という主治医の質問に対し、「なってみないことにはわからないので」と答え、「それは見上げたお心がけです」と言われたと聞いています。

そもそも疑問・質問の前に、事前にリサーチする時間的余裕はほとんどなかったと思います。

新聞連載の最終回の原稿を渡しての入院です。前後して続々と著書が出版され、難病後、一時自重していた仕事量が完璧に復活していました。だから命にかかわるような事態になっても、仕事面で迷惑が出ないようにとの算段を優先していたのです。

もともと人に助けを求める習慣を持たない人です。身近な家族である妹にも、なるべく負担をかけたくないという考えで、手術にも「大変だからつき添わなくていいと言おうと思って」と言うくらいでした。

周りも出過ぎたことはしない、というか出過ぎたことをしそうな人は、そもそも近づけないというスタンスです。でも、断られてもいいからもう1歩出るべきだった、という悔いを私は感じ続けています。

患者力を高める重要性

前述の本の中でも、医師との率直なコミュニケーションを持ち、治療に患者自身が主体的に参加することなど、患者力(ペイシェント・エンパワメント)を高めることの重要性が説かれています。具体的な方策として、医師の検査結果および治療方針の説明を受けるときも、1人では行かないこともその1つとして勧められています。

個人的には、この一番最初のシーンに、「誰かに同席してもらう」ことが重要ではないかと思います。言い換えれば、日本人の2人に1人ががんになる時代というなら、ふだんから誰に声をかけるか、家族でもいいし、友人でもいいと思いますが、そういう視点を持つべきだと思いました。

そういうことを頼むのは案外むずかしいことなので、ふだんから弱みを見せたり、ものを頼んだりできる関係を意識的に試みる必要があるかもしれません。

その他にも、自分の考えをちゃんと主張できるかというと、美容院でさえ自分の髪を「こうして」とか、ざっと説明するところまでは出来ても、「そうじゃない」と異議申し立てはなかなか言えなくて、「ま、いいか。1カ月すれば髪の毛は伸びる」と自分をなだめて終わります。

本当にちょっとしたことでも異議申し立てをするのは、その習慣があまりない人にとっては難しい。自分の命がかかっているような場面でも、「わがままな人」「切れやすい人」になりたくない、そう思われたくない、とブレーキがかかりそうです。これらにかかるストレスをいくらかでも和らげることも考えなくては。(もちろん橋本さんは十二分に頑張っておられました。合掌)

という意味もあり、「腹式呼吸を教わっていてよかった」と橋本さんが言った腹式呼吸を今回は紹介します。

<腹式呼吸のポーズ>

腹式呼吸は座った姿勢でも立った姿勢でもできます。歩いていても静止していてもできます。この腹式呼吸のポーズというのは、腹式呼吸のコツを習得するのに最適な姿勢ですから、これでコツをつかんで他の姿勢に応用していきましょう。

腹式呼吸のポーズ1

①仰向けになり、両膝を立てる。膝、足は腰幅程度に開く。

②両手をお腹に当てよう。腹部へその下に柔らかく弾力のあるボールがあるとイメージする。普通に息を吐き、さらに腰部をしっかりマットにつける、腹筋を使ってお腹を沈めるようにして息を出し切る。両手の下でお腹がへこんで行くのを感じよう。

腹式呼吸のポーズ2

③お腹を持ち上げるようにして、静かに息を入れていく。目いっぱい息を吸おうと思わなくてよい。両手の下でお腹にあるボールがゆっくり膨らんでいくイメージで。腰部はリラックス。再び②に戻り③へ、を5回。2セット

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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