1. ホーム > 
  2. 暮らし > 
  3. 運動 > 
  4. ヨガ
 

マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第12回 「自分のがんについて、話すべき?」 <赤ちゃんのポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2019年5月
更新:2019年5月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

今年に入って、有名人が自分のがんについて公表し、話題になっています。自身のツイッターを通して、あるいはブログを通して、自分のがんについて自分の言葉で語り始めています。

調べてみたら、今年の1~2月だけでも、プロ野選手原口文仁さんの大腸がん(1/24)、俳優村上弘明さんの大腸がん(1/30)、女優八千草薫さんの膵がんと肝がん(2/9)、歌手野口五郎さんの食道がん(2/11)、タレント堀ちえみさんの舌がん(2/22)など(カッコ内は公表した日付け)。中でも競泳の池江璃花子さんが白血病であることを自ら2月12日に公表した際は、多くに人々に衝撃が走りました。

池江選手は2016年、高校1年生でリオ五輪に臨み、7種目に出場しました。2017年には日本選手権で史上初の5冠を達成し、2018年にはアジア大会で日本人初の6冠を達成し、個人団体を合わせて23種目の日本新記録を持っているそうです(2018年8月現在)。

競技会に出場するごとに日本記録を更新し、その力強さ、のびやかさ、みずみずしい美しさが相まって、天から2物も3物も与えられていると驚嘆するばかりでした。

それだけに東京五輪まであと1年半というこの時期に、本人の無念を思うと言葉を失います。だからこそ「水泳なんていい、とにかく長生きして」という彼女の祖母の言葉が胸に響きます。そう、生き延びることが先決です。

このように有名人の公表が続くと、自分ががんについて周囲に黙っていることを、なんとなく後ろめたく感じるがんサバイバーも少なくないかもしれません。有名人の公表は、「だからそっとしておいて」の意思表示でもあるのです。病気は最もプライベートなことだから、周囲にオープンにする必要はないと思います。

それに、「あの自然食品が効く」とか「この本読んで」など、〝余計なお世話〟を焼いてくる〝善意の人〟は結構います。がんというとやっぱり普通ではいられなくなるのかもしれませんが、こういう余計なお世話を焼きそうな友人には話さないというのも選択だと思います。

マインドフルネス・ヨガは、いくつになっても始められる「ルーチン」

アスリートたちは目の前にある課題に取り組むことに習熟している人たちです。

今この瞬間になすべきことに、生き延びるのに必要なことに意識を集中して、リラックスしてただ実行する。心は熱く、身体はしなやかに、頭は醒めています。この状態はマインドフルネスと呼ばれる心身の状態と同じです。

アスリートは自分の「ルーチン」を通して、このマインドフルネス状態に心身をスイッチできるよう訓練しています。そしてマインドフルネス・ヨガは、いくつになっても始められる「ルーチン」となりえるのです。

ポーズをいくつもやる必要はありません。まず呼吸と身体にただ注意を向けるのです。

私自身は、「今している呼吸に、ただ注意を向ける」ことがルーチンの最初です。

そして今この瞬間に、半ば無意識的にとっている姿勢に注意を向けます。それが「正しい姿勢でなくても」注意を向けます。

例えば、この原稿を書いている今という瞬間、右の座骨に重心がかかっていて、左肩がいくらか上がってことに気づきます。呼吸は少し浅くなっています。

「あ、そうか」と気づき、「そうなんだな、と気づくこと」を面白がっています。そのプロセスを通して、身体も気持ちも整えられてきます。今行っていること、「この原稿を書くこと」に注意を向け、ただ実行に移しています。

さて、今回は片足ずつ行う<赤ちゃんのポーズ>を紹介します。

このポーズは、自分の腰部(ウエスト後ろ)のカーブと、マットあるいは床との関係に注意を向けながら行うことで、さまざまな気づきがもたらされます。

脊柱は緩やかにして絶妙なS字曲線で身体を支えているわけですが、今している姿勢によってそのS字曲線は3次元的に変化します。椅子に腰かけている姿勢は、腰部に負担がかかっているので、30分以上続けないように言われています。

仰向けになると、また腰部のカーブは変化します。仰向け姿勢でも両脚を閉じると腰部の反りが深まります。腰痛持ちには禁忌ポーズになりますが、実際にやってみて、どういう負担がかかるか観察してみます。

両膝を立てると腰が楽になります。腰部の反りが解消されるからです。

<赤ちゃんのポーズ>

片足ずつ行う赤ちゃんのポーズを紹介します。腰部がじんわり伸ばされていくことに注意を向けて行います。

赤ちゃんのポーズ1

①仰向けになり、両膝を立てる。右膝を胸のほうに引き寄せ、両手をかける。

赤ちゃんのポーズ2

②息を吐きながら膝を胸のほうに引き寄せる。お腹を少しへこませるくらい充分に息を吐く。息を吸うときは、お腹を少し持ち上げるようにする。太ももは胸のほうに惹きつけられているので、お腹を持ち上げようとすると太ももとぶつかります。そうすることで腸を刺激しています。お腹がギュルギュルと動きだしたり、ガスを出したくなります。

ゆっくり4~8呼吸。左右の足を交代して同様に

終わったら、前回行った腹式呼吸につなげると、とてもリラックスします。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!