マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第25回 「自粛ストレス」の緩め方を考えてみよう <項をほぐすポーズ>
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、自粛や休業の要請に応じていない人や店舗があるとして、警察や行政に通報したりSNSで指摘したりする行為が、インターネット上で〝自粛警察〟や〝自粛ポリス〟などと呼ばれ、議論となっています。
「自粛要請」という言葉の持つあいまいさや危うさを感じ取っていた人たちには、「やっぱり出たか!」とコロナ以上の怖さを感じる人も少なくないでしょう。
こうした自粛警察と呼ばれる行為をした人たちをNHKが取材しているのですが(5月9日)、その中に、コンビニエンスストアでマスクをせずに電話をする男性を見かけて、地元の自治体に通報したという高齢者施設に勤務する30代の男性の話がとても印象的でした。
その男性は、「施設で暮らす高齢者に感染を広げまいと細心の注意を払うなか、対策を取っていないように見える人が本当に許せなかった」と語り、「自粛警察と呼ばれる行為に全面的に賛成はできないが、対策を取らない人が自由に行動し、注意して生活する人ばかりが疲れてしまっている。事態をよくするには、こうするしかなかった」とインタビューに答えていました。
この男性はほんとうに疲れているのだろうなと思いました。高齢者施設での介護の仕事はリモートワークによって代替することができません。重症化リスクの高い高齢者と日々、濃厚接触しています。1人でも感染者が出たら立ち行かなくなると危機感を募らせながら仕事していることでしょう。
疲れを気づきにくくする強いストレス
こんなふうに強いストレスにさらされ続けていると、自分の疲労についてリアルに感じ取れなくなることがあります。それでもやらなくてはならないと責任感が強く意識されて、自分がどれほど疲れているのか内部の感覚に気づきにくくなるということが起こりえます。強い怒りを覚えると、怒りの対象に焦点が向いてしまい、内部の感覚からますます遠ざかることもあります。
こんなに疲れるまで「自粛」するのは、やっぱりやりすぎだと思う。もし自分のストレス反応パターンに気づけたら、自分をねぎらう気持ちを持ってほしいと願ってしまいます。
フランス文学者で武術家でもある内田樹氏は自身のツイッターで、他人に向けて「自粛」を求めることについて強い違和感を覚えるとし、「『自粛』は自己決定することです。他人に向かって『自粛しろ』と命じる権利も罰する権利も誰にもありません」と訴えました。
その通りだと思いました。私たち1人ひとりがどう自己決定していくのか、自分事としてこれからの成り行きに目がはなせません。
よく眠り、よく食べ、免疫力を高め、面白がる
がんサバイバーも重症化リスクはそれなりにありますが、1人ひとり今できることをしてます。よく眠り、美味しくものを食べ、免疫力を高めることをやっていくしかありません。それから少し面白がる気持ちと。これはだれにとっても有効な方法です。
例えば、わたしは国会中継で、閣僚の中でだれがアベノマスクをしているのか目を凝らしています。なんと主だった閣僚はだれも、安倍首相以外はアベノマスクしてないんだなあ、これが。う~ん、ふ~ん、あれこれ想像してニヤッとしてます。
さて前回に続き、免疫力を高めるヨガを紹介します。
<項(うなじ)をほぐすポーズ>です。前回は<喉(のど)を開くポーズ>を紹介しましたが、その反対ポーズで、項と後頭部との境目をほぐします。スマホを30~40分やっただけで、頸の付け根から肩にかけて前傾した首を支える僧帽筋(そうぼうきん)は緊張し続けます。肩こりを自覚するのはまず首の付け根です。目の疲れ、頭のすっきりしない感じというのは主に後頭部から首にかけての緊張が原因です。
スマホを見ていて、前方に視線を転ずるとき、首は前傾したまま顔面を上げるので顎(あご)が上がり、小さく〝ろくろ首〟化するわけです。後頭部と頭頸部とのつなぎ目が収縮します。
今回は動画を用意したので、説明もヨガの繊細さを味わえるように、少し分け入っての説明になります。
<項をほぐすポーズ>
①仰向けになり、膝(ひざ)は腰幅にして膝を立てる。踵(かかと)が膝の下に来るように、つまりヒップに引き寄せません。背中全体をゆったり床やマットに広げる。両腕は楽な位置に伸ばします。ここで<完全なくつろぎのポーズ>のように、脇を緩めて緩やかに伸ばします。
②軽く息を吸って、ゆっくり吐きながらヒップを持ち上げます。肩関節の中心、股関節の中心、膝関節の中心を結ぶ線が斜めに一直線になるイメージで。お尻を持ち上げすぎても、お尻を落とすのでもなく、です。
このポーズはヒップから腿(もも)の裏側の筋肉を使うので、それらの引き締め効果に焦点を当てる行うやり方もあります。
しかし今回は顎を喉のほうに引き付け、後頭部から頸部にかけての緊張を緩めることを目的にします。そこに注意を向けて行います。ちょっと体をごく軽く揺さぶると、うま~く体重が首肩に乗ってきます。そして後頭部から項にかけて、じわっと伸ばされほぐされてきます。
そのまま静かに呼吸。肛門を閉じ、お腹も軽く引き締め、この姿勢でできる楽な呼吸を6呼吸前後続け、今度は非常にゆっくり背骨の上のほうからゆっくりゆっくり床に下ろしていきます。
③スタートの姿勢に戻ったら、お腹を意識した呼吸で、息を整えます。吐くとき、最初ふつうに吐いて、後半腹筋も使って、お腹をへこませるように、内側に引き付けるようにして吐き、吸うときお腹を持ち上げるようにします。お腹が温かくなってきます。2セット。
がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp
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