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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第28回 溢れる新語、新カタカナ語 <ひねりのポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2020年9月
更新:2020年9月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

ついこの間まで、見たことも聞いたこともない言葉が日常生活になだれ込んできて、いつのまにやら自分で使ったりしています。 1年前だったら、PCR検査って何それ? だったことでしょう。それなのに今では、PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いまで知っています。

エクモ(人工心肺装置)とかサイトカインストーム(免疫暴走)とか実行再生産指数とか、これまでは一部の医療関係者か、当事者とその家族しか知らなかったような専門用語も日常に飛び込んできます。どれも自分が受けたこともない検査や医療ですが、なぜか知っちゃってるのですよ。

COVID-19のパンデミックでより溢れるカタカナ

「過労死する前に、PCR検査陽性になって、1週間くらい寝ていたい!」

新型コロナ感染拡大防止対策で、やることが急増して疲労困憊しているエッセンシャルワーカー(これも新カタカナ語でした! 日常生活を営む上でリモートでは達成できない医療や介護、保育、公共交通機関、スーパーなどの従業員たちのこと)の間で受けてるジョークの1つだそう。本当にそうだ。

それにしても、つい私も使ってしまうけれども、新カタカナ語の氾濫はひどい。

「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」は、「集団感染」「感染爆発」「都市封鎖」よりわかりやすくなるのだろうか。と言ってもこれらの言葉だって漢字という外来語を使った造語ですけど。

互いがとるべき物理的な距離という意味で使われている「ソーシャルディスタンス」、本当は「ソーシャルディスタンシング」だとか。「3密回避」のほうがずっとわかりやすい。

そうは言っても翻訳は難しい

最悪なのはカタカナ造語です。

「Go Toトラベル」は、「Go Toトラブル」になってしまいましたし、「政府が『ワーケーション』とか言いだしたときは、リモコンをTV画面に投げつけてやろうかと思ったわよ」と友人。まったくです。「東京アラート」も嫌ですね。

何かコトが起きると、その都度ヘンなカタカナ語を次々つくり出して消費していく。このやり方は、古い日本旅館そのまま。廊下はくねくねと曲がり、その先は建て増し継ぎ足しで迷子になりそうです。どの言葉もそのとき限りで、根を持たない。

米国の心理療法家スティーブン・レベンクロンの著作4冊をこれまで翻訳しましたが、小説のときはそれほど感じなかったのですが、「自傷癖」について論評『CUTTNG』(集英社文庫)を翻訳していて痛感したのは、そのことでした。

例えば、「Attachment」をどう訳すか。10年ほど前では、一般的には「愛着」と訳されていました。幼少期に母親あるいは母親に代わる養育者とのあいだに形成される緊密な関係性のことで、それがうまく形成されないと、生涯にわたって人間関係や社会的適応性に影響を及ぼすという発達理論のキー概念です。

最近では「アタッチメント」と、カタカナで訳出されています。英語圏の人にとってAttachmentは、差込口にプラグがぴったり結合されるなどといったことも想起させる言葉なのだろうなと、愛着とか絆では情緒的すぎてちょっと違うと悩みました。

自分のからだの感覚に寄り添っていくことがヨガの本位

根のない言葉をつなげて、根なし草のような生活を紡いでいるような痛みを感じました。もちろんそのような言葉によって明快になり、理解が深まる事象があるからこそ、翻訳書を読み、学び、微々たるものだけど自分でも翻訳もしていたのですが、ふとしたときに、根なし草の心細さや痛みを感じるわけです。

かつて夏目漱石は、日本の文明開化について「上滑り」と言い切りました。西洋が数百年かけて進めてきたことを数十年で一気にやろうとしている。それでも戻るわけにはいかない、「上滑りに滑っていかざるを得ない」と、その痛みをについて語っています。百年前の言葉とは思えません。

同時に漱石は「自己本位」ということを提唱します。

話がとんでもなく飛躍しているように見えるかもしれません。

でも、自分のからだの感覚に寄り添っていくことが、「自己本位」のベースになるのではないか、それがヨガの本位ではないか、と確信しています。

一緒に仕事をしている心理士の先生が、控室の白板に毎週、アマビエのイラストを描いてくれます。あんまり可愛くて素敵なので、その中の1枚を厳選して紹介します。アマビエの流行も、土着的なものを私たちが求めているせいかもしれません。

今回紹介する<ひねりのポーズ>、自身の体の感覚に注意を向けて、気持ちを寄り添わせて、体を癒していくポーズです。

<ひねりのポーズ>

体幹をツィストするポーズです。背中や腰に心地よい刺激があります。というか、心地よい刺激を探り当てていくポーズです。自分の体とも、コミュニケーション力が高まっていきます。

①仰向けになり、背中をゆったりマットにつけ、両脚を揃えます。息を吐いて、

②吸いながら、右膝(ひざ)を曲げ、腿(もも)を胸のほうに引き上げる

③左手を右膝頭に添えて、息を吐きながら、左床方向に引き寄せ、体幹をツイストさせます。同時に、顔をゆっくり右に向け、右手を見ます。右肩、右肩甲骨はマットから浮かせないように、むしろマットに沈めるような気持ちで

モデルは柔軟性が高いので、右肩を浮かすことなく、右膝が床につきますが、普通は膝が床につくと、肩は浮きます。膝は床から浮いてもよいので、右膝と右肩が反対方向にバランスよくストレッチされることで、体幹がツイストされます

④楽な呼吸をしながら、今度は右膝の高さを塩梅していきます。腿を高く胸に引き寄せるようにすると、両肩甲骨(けんこうこつ)の間あたりが刺激されます。膝の位置を下げて腿が床と直角ぐらいになると、ウエストや、腰がツイストされる。今日の「気持ちいい」を探り当てていきます

⑤右腕は、その人・その時によって、肩より高い位置に置くと気持ちいいとか、肩がきついから腕を下げたほうがいいとか違ってきます。左右でも違います。「こうかな、ああかな」と、のどかに探っていけばいいのです。4~8呼吸。左右を反対にして同様に

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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