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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第37回 自律訓練法とボディスキャン瞑想法→今度はイスに腰かけてやってみよう <椅子に腰かけてのボディスキャン>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2021年6月
更新:2021年7月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

「自律訓練法」という言葉を聞いたことありますか?

10年ほど前まで、主に心療内科などで治療の一環として、自律訓練法が多くのドクターや心理士によって取り入れられていました。

自律訓練法は、1930年代にドイツの精神科医シュルツによって考案され、体系化され、多くの研究者や臨床家によって科学的にその効果が実証されてきた、リラクセーション技法の1つです。

医療分野に限らず、教育、スポーツ、産業への活用、ストレス緩和による健康法としても広く紹介されてきました。現在も不安や緊張の対処法として広く取り入れられていますが、最近は、どうやら「マインドフルネス」のほうが主流になっているようです。

自律訓練法の習得には、はじめは専門家の指導に基づいて段階的に行っていきます。本を読みながら独習できる人もいます。慣れてくれば、自宅やオフィスや電車の中などでもリラクセーション反応を自分自身に誘導できるようになり、慢性的なストレス過多や、不安や緊張が緩和され、自律神経系の働きを調整していく効用が認められます。

乳がん治療の後遺症か、腕や指に症状が

サト子さんも20代の後半に対人関係に悩み、心療内科にかかったことがありました。そこで自律訓練法を薦められて、熱心に練習して、「人前で緊張することはあっても、あまり引きずらなくなった」そうです。今でも、ときどき必要を感じたときには自分なりに行っているそうです。

40代後半になって、乳がんが見つかり手術。経過は順調でしたが、夫の転勤に従って転居。主治医のところで、定期的に受診することがかなわなくなりました。2人の子どもの子育てに追われ、紹介状を書いてもらう機会も逸してしまい、「行かなくちゃ」と思いつつ、先延ばしする日々を過ごしていました。

そんな折、夫の会社の家族健診をきっかけに、もう片方の乳房にもがんがみつかりました。

手術して、その後の経過も悪くありません。しかし、術後の放射線治療のせいかどうか、上腕がしびれる、腕や指に力が入らないなどの症状が出てきました。

マインドフルネスを薦められて

最初の乳がん後からヨガをはじめ、すごく気持ちが良くて、その後も続けてきましたが、だるさや脱力でできないポーズがいくつか出てきて、それでかえって落ち込むようになって、「マインドフルネス」がいいと聞いて始めたそうです。

わたしのところにはパーソナル・セッションを行っているということで来られました。

「それまで感じていた素朴な疑問がいろいろあって」、でも今さら誰に聞けばいいかわからなかったといいます。

「マインドフル瞑想をやってみましたが、私的には自律訓練法と似ているというか、ほとんど同じじゃないかと思うんですが……。それって、もしかすると間違ってやってるのでしょうか」とおっしゃる。

これまでに何回か同じような質問を受けたので、今回は自律訓練法とマインドフルネスについて話します。

マインドフルネスと自律訓練法の共通点は、自分自身の身体の様子に注意を向けるという点です。ですから自律訓練法を習得している方にとっては、マインドフルネのボディスキャン瞑想にはほとんど違和感がなく実習できると思います。

あえて言うなら、身体への注意集中の順序が少し違います。マインドフルネスでは足先から頭まで順番にまるでスキャンしていくように注意集中していきますが、自律訓練法では手と足からはじめます。腕や手は注意を向けやすいので(利き腕はことに)、集中しやすいという利点があります。

「うまくやる」を少し休憩

今回は、椅子に腰かけた姿勢で行なうボディスキャンを紹介します。

自律訓練法の手法を少し取り入れて、手足から注意を向けていくやり方です。

前月紹介した仰向けで行うボディスキャンか、今回の椅子に腰かけた姿勢でのボディスキャン、どちらでも。1日1~2回やってみてください。

わたしたちは何かをするとき、その意味を考えたり、効率的にうまくやっているのかどうか気になります。そしていろいろ考えて、かえってとらわれ、不自由になります。

しばらくの時間、自動思考を休めて、「ただ、自分の身体に注意を向けるというだけの時間を持つ」だけです。

<椅子に腰かけてのボディスキャン>

①椅子に腰かけます。椅子の背もたれから背中を離して、脊柱を力みなくすーっと立てます。背もたれに背を持たせかけた座り方でももちろんOKです。その場合は深く腰掛けて、頭部までの高い背もたれがあると楽です。

両手は腿に置き、足の裏は床につけます。ビデオでは素足で行っていますが、靴を履いたままでもOK、靴の裏を床につけます

②今している自分の呼吸に注意を向けます
③つぎに自分の肩に注意を向けます。「両肩に注意を向けます」とナレーションしていますが、利き腕側の肩、反対側の肩と順番に行うほうが注意集中しやすければそうしましょう。関節やその周りの靭帯や筋肉などの組織まで丁寧に注意を向けます
④つぎに腕をゆっくり手のほうに注意を移動してきます。肩、肘、手首、手が緩まっているイメージです。ここではゆったりという言葉のイメージを使っていますが、軽く受け流すように聞いていてください。「ゆったりとはこの感じでいいのだろうかろうか」と考えていることに気づいたら、(気づきが大切!)、気づいたときに呼吸とともに腕の様子に注意を戻します
⑤肩や腕や手の筋肉の緊張が緩んでくると、温かさが感じられてきます。でも、温かさを感じようと努力しないでください。何も感じなければ、今は何も感じないな、とただ受けとめます。こういう態度を受動的注意集中といいます
⑥腿に手が置かれているので、手のひらが温かくなると腿に温かさが伝わってきます。その様子に注意を向けます。膝、足首、足、足先まで内側の様子に注意を向けていきます
⑦へその周辺に注意を向けます
⑧額に注意を向けます
⑨そしてゆっくり目を開きます

1日1~2回、椅子に腰かけたボディスキャンを実習しましょう。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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