マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第38回 やっぱり免疫力が大事といわれても <中腰のポーズ>
中国武漢で新型コロナウィルスの最初の感染拡大が2019年暮れに報じられてから約1年半、ようやく日本でも出口が見えてきたように思われます。
今のペースで加速しながらワクチン接種が進むと、年明け早々には集団免疫が獲得され、来春は普通に花見ができる生活に戻っている、というのは楽観的過ぎるでしょうか。
100年前、当時の世界人口の1/3にあたる約5億人が感染し、2,000万~4,000万人の死者を出したスペイン風邪も、1918年の始まりから丸2年でほぼ終息しています。
当時、日本の感染死者数は約40万~45万人。第1波、第2波、第3波と繰り返しながら全国津々浦々まで広がり、日本の総人口の約50%が感染し、その結果、集団免疫が獲得され終息したとされています。
日本における新型コロナ抗体保有率について2度目の調査結果が、今年(2021年)3月厚労省から発表されました。いずれの自治体も1%に満たず、集団免疫獲得には程遠い状況と判明しました。したがって集団免疫を獲得するにはワクチン接種によるしかないわけです。もちろんワクチンに対するリスク感覚も人によって大きく異なります。1人ひとりが、感染リスクとワクチンリスクとを秤にかけて選択すればいいだけです。
「世界の住みやすい都市」の第2位は大阪
ところでイギリスのエコノミスト誌が毎年発表している「世界の住みやすい都市ランキング」によれば、2021年度版で大阪が世界2位、東京が5位になったというのですから、なんというか、たまげます。来年、再来年がどうなっているのかな。
それにしても感染拡大の途上にあっては、驚くような意見がSNSやTVのワイドショーなどをにぎわせます。
発端は感染者が入院先から無断外出して、温泉施設を利用したなどの事例でした。
「感染者が歩き回っている」という目に見えない脅威が強調されると、事態をコントロールするために、個人の行動を規制する法的な措置が必要ではないかといった〝空気〟が蔓延してきます。
忖度や空気に流され、行き着いた戦時の恐ろしさを克明の論評した山本七平の著作『私の中の日本軍』(1975年)をはじめて読んだときの衝撃は今も鮮明に記憶しています。その衝撃は「今と少しも変わらない!」というものでした。あれから46年の歳月を経た今は、もっとでしょう。
蔓延防止の名目のもと、ハンセン氏病では感染者の強制収容がなされ、著しい人権侵害が行われてきたというのは、そんなに遠くない歴史なのに……。その深い反省があったはずなのに、「やすやすと忘れてしまうのか」と激怒したことも急速に忘れつつありました。
本当に怖いのはこれからなのかもしれません。日本精神医学学会雑誌の2021年第5号の巻頭言「新型コロナウィルス感染症パンデミックの中での感染症法改正—謙抑性とはなにか—」を読みながら、その思いを深くしました。
熱中症も心配な季節が来ました!
コロナ禍での自粛生活で、「フレイル」予防の必要性がさらに増しています。
フレイルとは筋力の低下、動作の俊敏性低下、転倒リスク増加などの身体的問題、うつなど精神・心理的問題や独居などの社会的問題が複合的に作用して、要介護の一歩手前までに衰弱化した状態のことです。長引く自粛生活でこのフレイルの人たちが増えているというのです。
そこまでいかなくてもどうやって体調を整えるのか、ヨガも瞑想もマインドフルネスも継続が必要です。ヨガを始めたころ、「いつまで続ければいいのか」と当時の先生に聞きました。すると、「いつまで水や食事は必要ですか?」と聞き返されました。
心身に必要なことは、何時から何時までと期間限定ではないのです。逆に言えば衰えを感じても、少しずつでも実行すれば、必ず回復します。
エクササイズが苦手という人は、少し負荷がかかってきついのが、わずか10~30秒という時間のなかでどう変化していくのを知りません。
足腰の筋肉群を衰えさせないため、どれか1つをといわれたらこの「中腰ポーズ」をすすめます。今使われていく体の内部感覚に注意を向けながら、行います。1日1回2セット、やってみてください。
何か始めるときは、週に1日は休みにします。休むことで、「また始める」の練習にもなります。
<中腰のポーズ>
「中腰のポーズ」の外せないポイントがあります。それが膝の位置です。「あれ、案外楽だな」という感想はこのポイントを外していることが多いので、心して(マインドフルに)行いましょう。
①つま先を正面に向けて、両足を腰幅に開いて立ちます
②息を吸いながら両腕を前方に上げます。目に見えないふかふかのクッションの上にふんわりと両腕をのっけた感じ。そうイメージすることで肩や腕に余分な力を入れないようにします
③息を吐きながら中腰になっていきます。このとき、膝の向きは正面。そして膝が足先より前に行かないように留意します。このとき、上体を少し前傾させると比較的楽にできます
④ここから前傾している脊柱をできるだけ起こしてきます。まるで見えない空気の椅子に腰かけているかのように骨盤を立てる(肛門を下に向ける)。すると腰部が反り過ぎてしまうことがあります。編腹筋を使ってお腹を締め、腰部の反り過ぎを加減します。脊柱を自然なS字曲線に近付けていく方向で、背中を起こしてくると、膝がつま先より前に出ています。膝を後方に引くと、後ろに後ずさりしそうなぎりぎりのところを探り当てて(なれるとできます!)、30秒自然呼吸で保ちます
⑤両腕を下ろし、呼吸を整え(だいたい3呼吸すると呼吸は整う)。もう1セット
番外)壁を使った行い方でコツがわかったという人もいるので紹介します。
①壁を背にして、25~30センチ離れて中腰になります。大腿部の筋肉強化によく行われた「空気椅子」と似ていますが、それほど深く腰を下げなくて大丈夫。両腕を前に伸ばす
②この姿勢から上体を前傾させて、上体を壁から離し、最後に尻を壁から離します
③膝がつま先より手前にあることを確認しながら、徐々に上体を起こそうとしつつ、そのまま30秒キープ。2セット
がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp
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