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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第43回 マスクはうっとうしい派、それとも安心感を感じる派? <木のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2021年12月
更新:2021年12月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

緊急事態宣言が解除されて、電車は急速に混んできました。しかしながら、電車の中でマスクをしていない人は限りなくゼロ。それくらい徹底してマスク着用が日常化しています。

先日、ゴミを捨てに共同住宅内のエレベータに乗ったときのことです。乗り合わせた年配の男性が、身を捩るよう後ずさりするのを見て、はっと気づきました。わたし、マスク、忘れてる! それくらいまだまだマスクは手放せない日々です。

マスクが欠かせない日常生活にすっかり慣れたけれど

マスクはうっとうしい、できるだけ外したいと思う人がいる一方で、顔の半分以上が隠れるので、匿名ならぬ匿顔になり、マスクをしているほうが気持ちが楽という人も増えてきているそうです。

ある女性誌が行った緊急アンケートでは、マスクはうっとうしいので外したいと思う人と、マスクしているほうが楽と感じる人の割合は2:1だそうです。

わたしたちの心も、うっとうしいから外したいという気持ちと、安心感を感じている気持ちとの両方があります。

口元には年齢が出やすいので、マスクしていたほうがたいていの場合、若干若く見えます。しかもマスクしていたほうが美人に見えるという説もあります。マスクで隠れている部分は、見る側が勝手に自分好みに想像して見るためだそうです。人間は見たいように見るというのですね。

だからマスク外した顔にがっかりしたとか……そんなのお互い様です。

夏と比べると、冬はマスクによる不快度は減少します。マスクすることで寒さや乾燥もやわらぎます。もともとインフルエンザ予防に、花粉症対策にと、マスクすることに抵抗をあまり感じない日本人です。

マスクしていることにすっかり慣れたので、マスクを外す日常がちょっと怖いという人もいます。こんなにコロナ感染者が減った今でもマスクを取らないのだとしたら、この先ずっと日本人はマスクし続けるのでないかと、少し心配になります。

マスクを長時間した後は、ほっぺたがつぶされて下方にたるみます。顔下半分を意識しなくなるせいか、口角を上げる機会も減って、老け顔になったと嘆く人も少なくありません。2012年2月号「顔ヨガで5歳若くなる」をぜひ、見直してみてください。

顔は究極の個人情報

顔は、考えてみれば究極の個人情報です。

そういえば今年3月、スイスでは公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する法案が、国民投票で可決されました。イスラム文化に対する嫌悪を助長させるのではないか、あるいは女性の装いを国家が規制してよいのか、など根強い反対もありましたが、テロ対策ということで、僅差で可決されたそうです。

身体を完全に覆い、目元もメッシュでカバーされているブルカ、目元だけ細く開けて、頭部全体を覆うニカブなどは、戒律の厳しいイスラムの国の女性が着用しています。写真などで見たことがあると思いますが、見た目は衝撃的です。女性はそういう格好をしないと外を歩けないのだとしたら女性の人権を損なっていることになりますが、まとっている当人にとっては、マスク以上に究極の個人情報である顔や体形を隠しておけるという開放感を味わっているかもしれません。

10年以上前になりますが、戒律の厳しい中東諸国に旅行した若い女性のエピソードです。

旅行者は、肌を露出したり身体の線が顕わになる服は避けて、スカーフなどで顔回りを覆うだけでよいのですが、自分の容姿が人にどう見られるのか、とても苦にしてひきこもっていたその女性は、そうした自意識から解放されて、不思議な安心感を得た旅だったと報告してくれました。

また、抗がん薬の副作用で頭髪を失ったがんサバイバーも、流行の前髪厚めウィッグをして、伊達メガネにマスクという匿顔になると、ためらいなくどこにでもずんずん行けるという人もいることでしょう。究極の個人情報である自分の顔を不自然でなく伏せている体験は、ひょっとして今だからこその解放感かもしれません。

そして今の日本は、していたかったらずっとマスクしていても不審に思われません。

もしマスク不要という風潮がでてきたとしても、それぞれが少しずつ、自分の歩調で脱マスクできるといいなあと思います。というか切に願います。

だからこそプライベートではマスクを外して、ほんの何分かでいい。ゆったり呼吸し、静かに集中する時間を持つことが、自分を取り戻すことになります。それにおすすめのポーズがあります。

<木のポーズ>

今回はバランス力を高める<木のポーズ>を紹介します。

平衡感覚というのは気がつかないうちに低下しています。

うまくできないポーズをあえて行うのは億劫感を伴うかもしれません。それでますますバランス系のポーズに苦手意識を持つようになります。

安全なやり方で、順序を踏んでやっていけば、驚くほどバランス力は回復しますから、ぜひ挑戦してほしい。要するに片足でしっかり立つポーズです。

バランスを崩したときのために、安全に上手にバランスを崩す方法を心得ておきたい。

準備:まず両足でしっかり床に立ちます。両足は腰幅に開き、足の5本の指とかかとで床を掴むようにします。その瞬間、土踏まずが、くっと引き上げられます。リラックスして、また床を掴みます。3回。

①両足を揃えます。両足を揃えるとは、うちくるぶしを揃えることです。外反母趾気味やO脚傾向がある場合は、つま先を少し開くと安定します。
②ボールを蹴るシーンを想像して。どちらの足で蹴るのを想像しましたか? 右足という場合、あなたの利き足は右、軸足は左です。左足で立つほうが安定感があるので、そこからはじめます。
反対に利き足が左の人は、軸足の右足からはじめます。要するにやりやすいほうの足からはじめます。あんまり左右の差はないという人はどちらからでも。
③右足を左足の内側で、かかとをあげ、指先で立ちます。これだけでもいいのですが、大丈夫そうだったら、足の位置を上げます。写真などでは左脚の付け根に右足のかかとが来るような写真がよくありますが、そうしなければ効果がないのではありません。バランス力が有り余っていると退屈して集中が散漫になりますから、少し難易度を高くする必要があります。
つまり膝のところで十分です。もっと低い位置でもOK。これだったらバランスを崩しそうになったら、すぐ足指を床につければいいのです。
④顔もへそも正面に向け、目は少し遠くをソフトに見て、胸の前で合掌。この姿勢で安定したら、ゆっくり息を吐きます。
⑤静かに吸いながらゆっくり上方に合掌した手を上げていきます。そのまま4~8呼吸。
ゆっくり①の姿勢に戻し、呼吸を整えます。
左右を反対にして同様に行います。2セット。

バランス力が高く、退屈を感じるくらい安定している人は、目を静かに半眼、さらにはそっと瞼を下ろします。ぐらっと来たら、いったん解いて最初から行います。リラックスして、ほほ笑みかけるように前方1点を見て行います。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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