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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第47回 心ざわざわする季節に<壁を使った開脚のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2022年4月
更新:2022年4月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

新宿にあるM信託銀行内でのこと。

カウンター越しに行員と話をしていると、1つ置いた右隣で、突然女が片言の日本語で喚きだしたのでした。店内は空いていました。

その場にいた行員も、待っている4、5人の客も、思わず動きを止めるようなハチャメチャで喚き散らすような物言いでした。

わたしはそのまま用件を続行し、なるべく係わりにならないように待合室のシートの1つに腰かけ、正面の大きなTVの画面を見ていました。

TVのワイドショーは、ロシア軍がウクライナ首都キエフを包囲しかけていると報じ、ウクライナからポーランドに流入した難民家族の映像を流しています。

大声を発しているのは、小柄な東アジア系の50~60歳の女性。一段と声を荒げ少し離れたところに立つ40歳前後の日本人の女性を指さし、にらみつけ、「わたしは自分の番になったからカウンターに来たよ。あんた、腕を掴んだ、髪を引っ張った」

ヒートアップし、すごい剣幕で、罵声を発し続けます。

待合室は彼女の声が響き渡るほかは、何事もないかのようにシーンとしていました。

「これはいじめよ。日本にも北からミサイルが飛んで来ればいいんだ!」

片言なので半分くらい聞き取れないのですが、そんなことを叫んでいます。

「あなたは悪くない」と声をかけた女性に感動

このタイミングですごいことを言うなぁと思っていたら、別の30~40歳くらいの女性が、そのいきり立っている女性に近づき、「私は全部見てました。あなたは何も悪くないですよ。わたしは知っていますよ」

そう言って、なおも興奮している女性の腕をそっとふれて、同じ言葉を繰り返しました。

「あなたは何も悪くない、私は見てたからわかりますよ」

そのとき、おもむろにトラブル対応係といった風情の男性銀行員が待合室に入ってきて、怒鳴られ白けた顔で窓際に立っていた女性を室外に誘導しました。

金切り声を上げて、叫び続けていた女性が少しずつ落ち着いてきました。

目線はTV に、耳は2人の会話に傾けると、「どこの国の方ですか?」
「台湾。南のほう、高雄、知ってますか」

そうか台湾の人だったのか。

ロシアのウクライナ進攻は、多くの日本人にとってもよそ事ではありませんでした。でも台中海峡の緊迫を考えると、我それ以上に、きっと固唾を呑むような思いで一連のニュースに接していたと想像されます。すごいストレスにさらされていたのだろうなと、ようやく、私の中では彼女の感情爆発の背景が理解できたように思いました。

そして片言の日本語でいきりたつ中年女性に近づき、「あなたは悪くない」と声をかけた女性との一連のやり取り、緊張と緩和の変化を見ていて、私はほんとうにこの時期にあって、〝いいもの〟を見せてもらったと少し感動しました。

パンデミックだけでも信じがたい光景を目の当たりにしてきて3年目、ロシアのウクライナ進攻という事態に、人々の心は波立っています。

トラウマ体験がよみがえったかのように、「77年前の3月10日、東京大空襲では一晩に10万人の民間人が焼き殺された」

当時10歳に満たない子供だった80代男性や女性のつぶやきが、ネットにアップされていました。

わたしたちが住む世界はこういう世界だったかと、足元が揺らぎます。

それだけに、銀行内のふたりのやり取りは印象的でした。

わたしは係わってはいけないと、TVに顔を向けたきりでいたのですが。

帰りの都営地下鉄の構内に「知らない人だけど知らないふりをしない」と謳うポスターが……。

日本人の顔が小さくなっている

今月は、日本人の体型がどえらく変化していることを取り上げるつもりでしたが、思いがけない前置きになってしまいました。

日本人の身長は男女とも明治以来ずっと、戦後は一段と高くなり、ただし平均身長はこの20年ばかり停滞しているのだそうですが(国民栄養調査)、顔はより小さく、脚は長く、全体に細身と変化してきました。

それと関係していると思われますが、股関節、膝や足首が硬くなっているように感じています。

「両脚をぱーっと180度に開いて、上体をぺたーっと前に倒せたら、気持ちいいでしょうねえ」

そんなことを言う人もいます。

自分は身体が硬いと思い込んでいる人は、開脚や前屈ができないから自分は身体が硬いと先入観を持っています。

たいていは小学校や中学校の体育の授業や部活での柔軟体操で、2人1組になって、補助し合う練習で懲りたという人も。

「痛っ、もうだめ、やめてぇ」
「いやいや、もうちょい」
「ひぇ~」

といった、お笑い罰ゲームと化したエクササイズが定番になってたりして。

床に腰を下ろして開脚すると、骨盤が後傾してしまうケースでは、このまま前屈すると背中を丸めるポーズになってしまいます。

そこで<壁を使った開脚するポーズ>をお勧めします。

風呂上がりに行う人がいますが、それはやめましょう。靭帯を痛めてしまうことがあります。そうなると元に戻るだけでも半年以上かかります。

それに開脚のポーズでは、両座骨の位置を意識し、骨盤内の血行を良くする効果を期待できます。

<壁を使った開脚のポーズ>

 

 

①行う前に足首を丁寧に10ずつ回します(必須)
②動画のようにして、壁に尻を近づけて、ごろりと床に仰向けになり、両脚を壁に伸ばします。なるべくお尻を壁に寄せて、壁に座っているかのように、骨盤の位置を意識します
③膝の向きに注意しながらゆっくり両脚を開きます。膝が内側に内旋したり外側に外旋したりしないように、膝は緩やかに伸ばしてゆっくりと自分の脚の重みを借りて開いていきます。
このとき、いつの間にか尻が壁から離れたり、恥骨が浮いたりしていませんか?
肛門を軽く閉じて、骨盤を床に平行になるように意識して、両座骨がぐっと閉じられるの感じられたらいいですね。ゆったり呼吸しながら30秒キープ
④静かに閉じてきたら、膝を曲げ両腕で抱えて30秒休みます

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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