1. ホーム > 
  2. 暮らし > 
  3. 運動 > 
  4. ヨガ
 

マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第48回 今できることを全部やる<カラスのポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2022年5月
更新:2022年5月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

古くからの友人の話です。一昨年の秋、乳がんが見つかりました。早期を過ぎていたようで、抗がん薬治療で腫瘍を小さくしたうえで手術。そのあと術後化学療法を受けるという1年以上にわたるがん治療に、休職してのぞみました。そうした長いがん治療を終えたその日にいただいたメールが印象的でした。

「今日、最後の抗がん剤でした。今日で治療終了です。
今できることはすべてやりました。
再発の心配はありますが、長生きできるかもしれませんし、
これからさらに明るく元気に生活したい」

何度もメールを読み返しました。

「今できることはすべてやりました」、と言い切ったところに覚悟を感じました。ふつうそんなにはやれないし言い切れません。でも「万策尽きた」というような気持ちになったとき、「今できることすべて」をリストアップしてみると、頭のなかを風が通っていくような気がします。実際にできるのはそのなかのほんの一部、1つでも2つでもいいのです。できることがあるということに気づき、実際にやりとげる。それが今できることのすべてです。

「今できることをやる」

これは私たちが生きている日々の営みのなかで、誰にとっても、もっともベースに置きたい、拠りどころとすべきところではないでしょうか。それなのにこの基本の基を、気づくと忘れていることが多々あります。

どうしたらいいか迷ったり、もっとうまくやれないかと焦ったり、無力感に陥ったりするとき、この基本の言葉を思い出すと――勇気が湧いてきます。

先のことはわからない

先日、乳がんの手術後3カ月の女性から問合せをいただきました。

「ヨガやってみたいなぁ。自分にやれるだろうか。がん以外にも事情があるけど、大丈夫かな。ヨガの後のおしゃべり会に興味ある。みんなどうやって自分を支えているのか、話を聞きたい」

そんな主旨でした。

「関心があったら一度覗いてみたらいいし、ほかにも患者さんの会はあるので、探してみたらいいでしょう」と、私は対応しました。

筆者が主宰するヨガスタジオでは、がんサバイバーのための「リボンヨガ」を開催していますが(コロナ禍のまん延防止策にそって中断、ようやく再開)、それも選択肢の1つ。ほかにも選択肢はいくつもありますから、明るく楽しくリサーチしてほしい。今度は間違いのない選択をしたいと思いすぎると息苦しくなります。

「もしあのとき……」

気持ちはわかります。あのときすぐ検査に行っていたらと、がんサバイバーにとっては思い当たることがきっとあるでしょう。

こんな仕事の仕方していたらぜったい身体を壊す、このままではがんになっちゃう、このままではと思いながら、それでも無理を続けてしまったというケースもありました。

忙しさに気を取られて、ちょっとした違和感をそのままにしてしまったとか、毎年受けていた健診を1回受けなかったとか。コロナ禍で、見逃されてしまった早期発見のがんも少なくないようです。

だから、今度は間違いのなく効率よくチョイスしたいという気持ちはわかるけど……。

マインドフルネスヨガは、今やれることの1つです。

ちゃんとやろうとか思わないでほしい。どんなときも呼吸はしているから、今している自分の呼吸にただ注意を向けてみる。とりあえず3呼吸だけ、吐く息、吸う息に注意を向けると、自然と丁寧な呼吸になる。

丁寧に呼吸をしよう、しなくては、とたくらむのではなくて。

これには微妙だけれど、大きな違いがあります。

<カラスのポーズ>

さて、前回紹介した<壁を使った開脚のポーズ>の反対ポーズを紹介します。

結構きついのですが、足首の柔軟性を高め、ふくらはぎをストレッチしますが、脛や太ももの筋肉が使われます。スポーツをやっている人のほうがこのポーズが苦手です。

①両足を揃えて、つま先を前方に向けて立ちます。足の裏で床を感じ、3呼吸してからはじめます
②息を吸いながら、両腕を前方に上げます
③吐く息で両膝を曲げながら、身体を前屈させていきます
④足の両脇の床に、人差し指、中指、薬指をつき、腰を落とし、顔は正面を向くようにします。この姿勢がきつすぎると感じたら、両腕は前方に伸ばします。この姿勢でできる楽な呼吸をしながら4~8呼吸キープ
⑤いったん膝をじんわりと伸ばし、立位での前屈ポーズを入れて、再び④に戻し、4~8呼吸
⑥ゆっくり下から順番に起こしていきます。まず膝を伸ばし、腰を伸ばし、背中を伸ばし、最後に首を起こして、①に戻します

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!