マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第51回 帰ってきた人混み<合掌のポーズ>
ゴールデンウィークが明けたころから、山手線の乗客が急速に増えてきました。
2020年、2021年と、多くの大学や専門学校ではリモート授業が採用されましたが、今年度は対面授業が本格的に再開されているようです。
企業でも、政府が一時期推奨していた在宅率70%を緩和してきています。
とうぜん通勤通学する人の数が急速に増加、バスも電車も混み合うはずです。
どうやら久しぶりの通勤通学者が結構おられるようで、やたら人とぶつかる。というかこちらも、今まで通りに動いているつもりが、いつの間にか空いている電車に身体が慣れてしまっていました。
人混みのなかでどうふるまうかの〝カン〟のようなものが、まだ戻らない。
久しぶりの人ごみにみんなまだ慣れないのです。電車内でも人の流れを邪魔するかのよう仁王立ちしていたり、ドア横にへばりついたままスマホしてたり。いきなり立ち止まって後ろの人を慌てさせたり……、わたしも時々やらかします。
夕方7時前後だったか、前の7人掛けシートの全員がマスクをし、スマホを操作している。後世、この光景を写真で見て、2022年初夏はこんな時代だったね、と述懐する日が来るのだろうかと思ったら、見慣れた光景の〝異様さ〟にあらためて気づかされます。
新たな展開のマスク日常?
ところで先日、車内でマスクをしながらメイクしている女性を見て、おお久しぶりの〝車内メイク女子〟となつかしいような。しかし、マスクしながらのメイクは新たな展開です。
その女性はアイメイクを入念かつ手早く済ませると、マスクの紐を片耳から外し、チークを頬に、そしてリップも。片手に鏡、もう片手でリップペンシルを持ち、ささと塗り終わると、外していたマスクの紐をふたたび耳に掛けたのでした。かかった時間はひと駅分でした。
次の週、40代くらいの会社員風の男性が、大きなサンドウィッチを食していました。こちらもマスクの紐を片耳から外し、大きくサンドイッチをほおばり、さっとマスクを戻して咀嚼。終わると、またマスクを外して大きくパクリ。2駅で完食して、そのまま電車を降りていきました。
マスクをしていても(マスクはしてますという建前で)、いろいろなことができるというお手本のような光景でした。マスクを外すのは一瞬なので、人から顔を見られてないという安心感もあるのでしょうか。
わたしたちは、すっかりマスク生活に慣れてしまっています。
「屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう」と、厚生労働省の熱中症およびコロナ対策ガイドが出ていますが、マスクなしで道を歩いている人は1~2割。
う~ん、慣れというのは恐ろしいものです。
意外と立つ姿勢を保持するのは難しい
さて今月は、〝立つ〟ということにマインドフルになってみましょう。
これも慣れということに関係が深い。コロナで外出を控えていたシルバー世代が、外を歩くとちょっとした段差でこけそうになり、外出が億劫になったとよく聞きます。
でも焦らずに少しずつ外歩きする距離を増やしていくと、バランス力がついてきます。外出が苦にならなくなる。はじめは少し億劫だけで、やっているうちに慣れてくると経験でわかると、最初の少し億劫を耐えられるようになります。耐えるといったって、ものの5分くらいで今行っている運動に体が慣れてくるのです。
乳がんサバイバーはただ立つというだけでも、自分の身体がまっすぐ立っているのかどうか確信が持てないという人が少なくありません。全摘出の人も乳房再建の人も、左右のバランスが以前とは違って感じられます。
でも実は、乳がん未経験の人にとっても立つというシンプルな姿勢を保持するのは難しい。自分の身体の癖を矯正しようだなんて考えは捨ててください。ただ立つことを味わいながら、足の裏からしっかり地につき、木のようにすーっと立ちます。
<合掌のポーズ>
鏡の前で行うと目からの情報にも助けられ、まっすぐ立っている感覚を得られやすいのですが、ゆっくりと瞼を閉じて姿勢を保とうとすると、ゆらゆらしてくるのがわかります。ゆらゆらするのを感じながら、ゆらゆらしつつ立つコツがつかめてきます。ゆらゆらがぐらぐらとなったら、うっすら目を開け、半眼でやってみましょう。
足の裏の感覚に注意をむけて、土踏まずのアーチをしっかり感じるために、左右のそれぞれ5本の指を浮かせるようにします。すると足裏のアーチがくっきりと感じ取れます。そのアーチを保持したまま足指を下ろします。
踝(くるぶし)を感じて。膝を感じて。股関節を感じて。そのまま上にすーっと伸びて、頭のてっぺんを感じて。頭のてっぺんで、その上にある空気を押し上げる感じ。穏やかに5呼吸。
<木のポーズ>
①両足をそろえ、足指は正面に向けます
②目は遠くの1点を柔らかく見ます。目の高さくらいの1点
③自分の利き足(ボールをける足)の反対側が軸足です。
右利きの人は左軸足の場合が多いのですが、よくわからなければどちらの足を軸足としても大丈夫。やりやすい側から始めましょう
④近くに壁があったら、壁の横に立って、軽く壁に手をついて行うのもいいでしょう。利き足を手に持ち、踵を腿の付け根に引き上げます。腿の内側でも、腿の外側でもOK。壁が近くにあったら、足の位置は指先を軽く床につけたままのところから始めましょう。それから床から少し離していく。これならゆらりと来たらつま先を床につけられる安心感があります
⑤胸の前で合掌。自然呼吸で8~10呼吸
⑥左右を交代して同様に
がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp
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