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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第56回 腸の働きをととのえる<ウディヤーナ・バンダ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2023年1月
更新:2023年2月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

年末年始の休みは、どうしても生活のリズムが乱れがち。それに運動不足もともなって、姿勢が悪くなるし、腸の働きは不調気味だし、体重増加が気になる、少し憂鬱な季節ともなります。

「閉じる」と「締める」

ヨガには、「閉じる」「締める」を取り上げるエクササイズがあります。

例えば、肛門を閉じる「ムーラ・バンダ」は、骨盤底の筋肉を「静かに閉じる」ことを意識します。これは、ギューっと力を入れて肛門を締めるというのとは違います。左右の座骨、恥骨、尾骨を結ぶ骨盤底の筋肉を静かに閉じて、内側に引き上げる意識のことです。

ヨガのさまざまなアサナ(ポーズ)を行う際に、肛門を静かに閉じることを意識するとしないとでは、驚くほど使われる筋肉も血流も効果も違います。

だからポーズのインストラクションをするとき、必ずと言っていいほど、「肛門を軽く閉じて」と付け加えるようにしています。オーバーストレッチを防ぎ、安全安心に行うことができ、また効果が格段に深くなります。

さて今回取り上げるのは、腹を「引き締め・引き上げる」を意識する「ウディヤーナ・バンダ」です。

仰向けになり、膝を立てた姿勢で行います。

このやり方は故ペール・ウィンター師の著書を読み直して参考にしました。

<ウディヤーナ・バンダ>

①仰向けになり、両膝を立てます。両膝、両足は腰巾かそれよりやや広めに開きます。これは腰部に負担がかかりにくい仰臥姿勢をとるためで、両膝は開いても閉じてもOKです
②腕を上方に伸ばして、大きく伸びをします。頸肩や背中、腰がリラックスします
③伸びをした後、両腕はわきを緩め、らくに投げ出します。
 今回は自分の手をへそより少し上、肋骨が左右に開いているところに当てて、腹部が引きあがり、背中に引き寄せられる過程を感じられるようにします
④ふつうに穏やかな呼吸を数回行います。吐くときは腹を床に沈めるように、吸うときは腹を持ち上げるようにして呼吸します。アゴは軽く引いて、肛門も軽く閉じるように意識しています
⑤次の吐く息で腹をへこませ、引き上げるように意識して
⑥同時に肋骨の下部を両脇に(横に)広げ、次いで胸の中部、上部まで広げると、 吐く息でほぼ空っぽになった肺が減圧されて、横隔膜がぺコンと上方に持ち上がり、お椀の内側のようにドーム型になります。 
 この感触を手で触れて確かめられます。内部感覚としては横隔膜下の内臓が背中(椎骨)に吸い寄せられる感じがします
⑦数秒たったら、ゆっくり腹を戻し、それから息を吸います。
 慌てて吸うと喉が痛くなることも
⑧呼吸を整えて、もう一度。
 3回行ったら「完全なくつろぎのポーズ」で休息します

こう書くと、留意することが多くて難しそうですが、らくに考えて、気楽にトライしてみてください。胃腸の働きが整ってきます。

横隔膜直下にある肝臓や脾臓の働きも整えられますが、これはなかなか体感できません。一番わかるのは大腸の働きが整えられることです。便秘気味の人にとっても、下痢しやすい人にとっても、効果が実感できますが、効果というのは結果的に訪れるもの。これでいいのか、間違ったやり方をしてないか不安になったら、パスしてください。

気が向いたときに、気楽にずぼらにやっていくのがコツですね。

横隔膜はどこにある?

横隔膜という言葉は、かなりなじみのある言葉ではないでしょうか?

呼吸運動は横隔膜を動かすのだと教わります。

横隔膜は、胸腔と腹腔の間を区切る膜状の筋肉でできています。シリコン製のドームのような形をして、呼吸とともに伸びたり縮んだりしています。

呼気では伸びて(弛緩して)肺を押し上げます。吸気では縮んで(収縮して)、下に下がり、肺を減圧させて空気を肺にとりこみます。

呼吸には肋間筋や腹筋もかかわっていて、腹で呼吸するという言い方もします。そのため横隔膜は実際より下、へそのあたりにあると勘違いしている人もいます。

横隔膜は腹筋のように体感することはできません。

横隔膜は腰椎の1~3番、胸骨の下部、肋骨の下辺につながっています。これらは外から手で触れて、このあたりと見当をつけることができます。

そして、ウディヤーナ・バンダのエクササイズによって横隔膜の働きをとらえることができます。

たいていは男性指導者が上半身裸で立って、腹部がドーム状に引きあがっているのを見せる実技をします。ここでは仰向けで、腰幅に膝を立てた姿勢で行い、らくに体得できて、胸部と腹部の間にある横隔膜の動きが自分の手で触れてわかることに重点を置いています。

ペコンと腹部が引き上げられ、お椀の内側のように胸腔に引き上がり、腹部にある内臓が脊椎のほうに引き寄せられるような体感が得られるのです。

手で触れて、この過程を確かめることができます。

息を吐きはじめから、息を止めて引き上げ、胸腔を拡げてさらに引き上げ、緩めて戻して、息を吸う準備が整うまで10秒前後かかります。

止める息を加減して、優しく行っていきましょう。テンポよく息を吐き、止める息を3~4秒と短めにして、ゆっくり戻してから吸い始めるのがコツです。

バンダの後に腹を緩めて息を吸い、普通の呼吸に戻すと腹が暖かくゆったりしてきます。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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