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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第58回 日の出1時間前の起床はきつい!<太陽礼拝のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2023年3月
更新:2023年3月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

1年のうち最も夜が長いのが冬至。それを過ぎれば日1日と日照時間が延びていき、やがて昼と夜の時間が等分の春分に至ります。

その過程で、日の出は少しずつ早くなり、日の入りも同じように少しずつ遅くなって、1日の日照時間は延びていくものだと、なんとなくそう思いこんでいました。

ところが、「日の出時刻と日の入り時刻が均等にずれていくわけじゃないの、ご存知でしたか?」とNさん。

えっ、そうなの? 調べてみると、東京では冬至の日からずーっと1月末まで、日の出時刻はほとんど変わりません。

一方、日の入り時刻は1日1分ずつくらいのペースで遅くなっていきます。少しずつに日が暮れるのが遅くなったと思っても、その時期、日の出はほとんど変わらないのです。日の出が早くなっていくのは2月の半ばから。

「娘のお弁当をつくるのは朝6時から。1月はまだ真っ暗なのが、2月半ばから少しずつ早くなって、キッチンの窓から夜明け前の一番青く澄んだ空に立ち会えます。3月になるともう6時には夜はすっかり明けてます」

こんなふうに季節の移り変わりを繊細に味わえるようになるまで、紆余曲折がありました。

娘の成長とともに、自分も成長させたい

小学5年になる前の春休みから週3回塾に通い、休みの時期は特別講座も受けて頑張ってきた娘が第一志望の私立中学に入学できて、母親として嬉しいし誇らしいし、安堵したNさん。

「今度はわたしが頑張る番よね」と。

公立と違い私立には給食がありません。正社員として働きながらも、娘の弁当は自分が作ると決めていました。

それでも、中学高校の6年間の弁当作りを考えると軽くめまいを覚えます。

「6年間もほんとうにできるのだろうか……」

Nさんは不安になります。

6年間も続けられるかという不安、いつかキャパオーバーで頓挫するのではという不安。

先のことを考えると多少不安になるのがホモサピエンス

だれでも先のことを考えて不安になるのはある意味、自然なことです。でもその不安が高じて日常を脅かしかねないほどの生々しさをともなうときは、実は今現在、キャパオーバーになっていることが多いのです。

どうやったら、少しでも「やらなくちゃ」という自分へのプレッシャーをやわらげられるか。そして、実際の「やりすぎ」を減らせるか。

本人が「やりすぎ」を自覚してないことが多いので、そこに気づくことからはじめます。

それから、先の先まで考えない。考えるとしたら、今日と、明日くらいまで。

Nさんの場合、疲れたら早く寝る。

「お弁当作りだけはわたしが」という気持ちを大切にするために、そのほかではできるだけ手を抜く。小さな楽しいことを丁寧に味わう。

4月からはじまった弁当作りも、春が過ぎ、夏が来て秋も終わり冬。まだ暗いうちに起床し、洗濯機を回しながらお弁当作りを開始。寒くて苦手と思っていた冬がそれほど苦にならなくなってきた。

夜明けが近づくにつれ、濃紺から群青色、そして青く白くと刻々と変化していく。

空の色に、お弁当作りの手を止めて、しばし見とれてしまうこともあると言います。

「はじめは抵抗感があったけど、冷凍食品もばんばん使ってます。それに、たとえお弁当が間に合わなくても、学校の売店でパンが買えるので、娘はそっちになっても嬉しそうなんですよ」

気が向いたら太陽礼拝のポーズをやってみる。全身で「オハヨー」の体勢を整えます。

<太陽礼拝のポーズ>

腕に負荷をかけないバージョンの、「太陽拝のポーズ」を紹介します。

腋の下のリンパ節を郭清した乳がんサバイバーは、手や腕に負荷をかけすぎると浮腫が生じる、と警戒します。

バッグを長時間持つなどと比べ、ヨガを行っている短時間で浮腫が起こるリスクは限りなくゼロに近いのですが、警戒しながら行うのはストレスですから、このバージョンをおすすめします。

両腕が均等に上がらなくても気にしない。左右それぞれの今日できる最高をめざします。

①床に立ち、両脚をそろえ、足先は前方に向け、胸の前で合掌します。
 足で大地をしっかり踏みしめ、頭のてっぺんには太陽のエネルギーが降り注いでいます
②息を吐いてから、ゆっくり吸いながら両腕を上方に上げます。ここからは呼吸は止めずに自然に任せて行っていきます。
 両手の指先のさらにその上の空気を押して、次に目線を上に、さらに少し仰ぎ見るように胸を開きます。のびやかに太陽への感謝の気持ちを表します
③今度は身体を二つ折りにします。膝を軽く緩めると腰にも膝に負担が少なくなります。両手のひらまで足わきの床につけて、大地にあいさつの気持ちを表します
④右足を後ろにすーっと引き、膝をそっとつけ、手は指の腹だけ床につけて、胸、頸、顔を起こし、目は斜め上方に。右の鼠蹊部が十分に伸ばされます
⑤右足を左足横に戻し、今度は左足を④と同じように行います
⑥左足をもとに戻し、両手が床から離れてもいいので膝裏を十分に伸ばします
⑦軽く膝を曲げて上体を起こし
⑧膝を伸ばし、腕を上方に伸ばし
⑨目を上方に、太陽を仰ぎ見る気持ちを表します
⑩両腕を静かに下ろしてきて、スタートの姿勢(胸の前で合掌)に戻し、呼吸を整えます。2セット

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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