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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第61回 異物感に気づいたら<中腰で行うねじりのポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2023年6月
更新:2023年6月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

友人はごく早期の、ステージ1にも満たない乳がんを自分で見つけました。

母が30代で乳がんを患い、一度は寛解したものの、数年後に再発、そして転移。長期間の闘病をみてきました。

彼女は自分にできることとして、毎週1回、ていねいに自分の乳房をチェックすることをルーチンにしました。

「あれっ?」にこだわる

あるとき、いつもの手順で触れていくと、手指にごくかすかに硬いものがふれます。米粒よりも小さな粒状のもの。うっかりすると見逃してしまいそうな小さな固い粒。診てもらったところ、小さすぎて乳がんという結論は出ませんでした。そして3カ月後にまた来るように言われました。

ところが3カ月後も結論は出ません。彼女は別の医療機関を訪ね、そこでは乳がんの疑いが濃いと言われて、治療が開始されました。ごく早期の乳がんでした。もう30年も前の話です。

ちょっとした違和感や異物感ですから、日々の忙しさに紛れてしまいがちですが、気づいたとき、気になったときに、とりあえず医療機関を訪ねる。その最初の一歩を踏み出せるかどうか。

「こんなになるまで気がつかなかった」と悔やむ人もいますが、忙しいと外部に感覚は向かいます。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、どれも自分を取り巻く外側の環境の情報をキャッチするためのものです。

夜になっても、今度は気分転換のためにスマホを手放さない。寝るときもスマホを見ていて、結局、寝落ちするという過ごし方は、内部感覚と向き合うことが極端に少なくなります。

「あれっ?」「まずいかも」と感じたら、それは自分の内部からの重要なサインかもしれません。

余分な力を抜くと内部感覚に注意が向けやすくなる

乳がんの発見契機は、乳がん学会の報告によると55%が自己発見。今でも乳がんは、健診より自分で見つけることが多いということです。

マインドフルネス・ヨガが提案する自分とのつき合いい方は、人生のさまざまな局面での自己決定権を高めることにつながります。

どんなポーズが有効かというより、どんなポーズでもいいのです。

どんなポーズでも、
①呼吸とともにゆっくり意識的に動作し、
②余分な力を抜いて、動作とともに引き起こされる内部感覚(使われている筋肉が収縮する感覚や温かい感覚など)に注意を向け、
③一定の時間(通常は4~8呼吸)、出来上がったポーズを保ち、
④ポーズをほどいたら、らくな姿勢でリラックスし、ポーズの余韻を味わう。

ヨガポーズは見た目にインパクトがあるものが印象に残るので、「余分な力を抜いて」とか「内部感覚に注意を向ける」などはスルーされがちです。

たいていの場合、頑張って余分な力が加わっていても、そのことに気づきません。

余分な力というのは首肩に入りやすいので、首肩から余分な力を抜こうとするだけでリラックスしてポーズを行なえます。

そうですね、逆にいったん首肩にぐっと力を入れて、ふっと抜くと、余分な力が抜けます。そうすると内部感覚に注意を向けやすくなります。

<中腰で行うねじりのポーズ>

この数カ月、体幹をねじるポーズを紹介してきました。

今月は立位で行うねじり系のポーズから、<中腰で行うねじりのポーズ>を紹介します。お尻を後方に引いてスクワットの中腰姿勢で体幹をねじります。

大腿部の筋肉群も使われるので、腿がキツいと感じるかもしれません。

①両足を腰幅またはそれより狭めて立ち、胸の前で合掌します。背筋を伸ばし、両指をしっかり開き、左右の掌を互いに押し合うように合掌をします。呼吸を整えます
②息を吐きながら腰を後方に引くように中腰になります。膝がつま先より前に出ないように留意します
③上体を左にねじり、右ひじが左ひざの外側にくるようにします
④右ひじで左ひざを押すようにして(ひじとひざは拮抗してます)、合掌をしっかり保ち、体幹をゆっくり左にねじる。頸部も左へねじり、目線も左方向へ。そのまま楽な呼吸で4~8呼吸保持
⑤順序を逆にたどり①に戻し、呼吸を整えます。今度は同様にして上体を右にねじり、左ひじで右ひざを外側から押すようにして4~8呼吸保ちます。2セット。2セット目は左右連続してやってみましょう。

腰幅ないし肩幅に立って、ゆっくり体幹を左右にねじっていくのでも、ヨガの4原則に沿って行えばマインドフルネス・ヨガです。ラジオ体操に挿入されているねじり動作も同様です。

「内側からの声に耳を澄ますエクササイズ」ととらえてやってみましょう。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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