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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第68回 これこそ「温故知新」といえるのかも<片ラクダのポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2024年1月
更新:2024年1月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

多くの乳がんサバイバーにとって、遺伝子(DNA)検査は選択肢の1つです。

乳がんの7~10%は遺伝性で、DNA検査によって自分の乳がんが遺伝性のものかどうか明らかになります。その検査結果しだいで治療が変わってくることもあります。乳がん患者さんにとってDNA検査は、健康保険でカバーされていて、ある意味、身近なテーマです。

絶滅したネアンデルタール人のゲノムを完全解読

ところで、古代DNA解析というものをご存じでしょうか。

私もごく最近知って、そういえば近頃話題になっていることだと気づきました。

2022年ノーベル生理学・医学賞を授与された古遺伝学の創始者の1人、スバンテ・ペーボ博士は、それまで不可能だった少量の古代の骨からでもゲノム解析できる革新的な解析手法を編み出しました。その研究は「絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見」とつながり、その功績が認められました。

ペーボ博士はスウェーデン生まれ、ドイツの研究機関「マックスプランク進化人類研究所」所長であると同時に、OIST沖縄科学技術大学院大学客員教授でもあり、日本との関係も浅くありません。

ペーボ博士は貴重な人骨を得るために各国の大使館や研究機関、遺伝子解析やコンピュータの世界的研究者と提携し、壮大な研究を推し進める「総監督」としても手腕を発揮します。

その第1の功績はネアンデルタール人の全ゲノムの解析に成功したこと。その結果、現存するホモサピエンスの遺伝子のうち1~4%はネアンデルタール人に由来するとわかりました。これは私たち祖先がある時季、ネアンデルタール人と生活し、交配もしていたということです。

もう1つはその存在を知られていなかった、すでに絶滅した別の人類「デニソワ人」の発見です。

古代DNA解析を通してわかってきた縄文人

20~30万年前にアフリカで誕生した人類は、6~7万年前にアフリカを出ました。ヨーロッパ方面へと向かったグループや、ユーラシア大陸を北まわりで移動したグループもいましたが、最初の日本人のルーツになったのは東南アジアへと向かった南まわりのグループでした。南まわりのなかで北上したグループが、おおよそ3万年前に日本列島にたどり着いたそうです。

「縄文人」は今からおよそ1万6,000年前から3,000年前の「縄文時代」に日本列島に住んでいた人々で、いわば〝最初の日本人〟。アフリカから大陸を経てやってきた古いDNAの形質が残っているのだそうです。

青森県の三内丸山遺跡や、火焔土器、土偶などで知られていますが、実は、人類学的には「縄文人」はきわめて謎の多い人々で、一体どこから日本列島にやってきたのか、どんな人々だったのか、専門家の間でも長らく意見が分かれていました。古代DNA解析を通して次第にわかってきたのは、全国各地の縄文人が同じようにアフリカからの古いDNAの形質を持っていることで、海に囲まれた日本の各地に移動していったようです。

縄文時代といえば約1万年も平和な時代が続いたということに驚きと敬意を抱きます。江戸時代の約250年、内戦のない時代が続いたことに驚きと敬意を感じてきましたが、縄文はそれが1万年ですから。

学校の教科書で習った縄文人と弥生人の比較では、弥生人は渡来の稲作などの技術を持っていて、より文明化されているように漠然と思っていました。縄文土器のように縁がギザギザで火炎のようになっている土器で飲食するより、弥生土器のほうが使いやすそうだし、洗練されているように思っていました。

その縄文人と弥生人のDNA解析を通してわかってきたのは、弥生人は縄文人由来のDNAを持っていることです。縄文人と弥生人は同時代に生活し、交流があったということです。

そして古墳時代になると、現代の私たちに近いDNA情報を持つようになります。つまり縄文人、弥生人由来のDNA情報に加え、東アジア、北アジアに由来する多様な遺伝子の流入があり、現代の私たちにつながっていきます。

究極の個別化商品⁈

以前、スキンケアのメーカーで研究職をしている女性が、あと10年もたたずにDNA由来のスキンケアが主流になると、やや興奮気味に話していました。なるほどね、自分のDNA情報によって適応する化粧品など変わるのです。

古代DNAの話で壮大なスケールだなと感嘆していたら、Amazonで自分のルーツを遺伝子によって調べることができるという商品案内がいくつも紹介されていました。だいたい2万円前後です。「あなたの縄文人度がわかります」みたいなうたい文句もありました。

DNA解析を受けたことがある人の話を聞くと、自分のルーツは主にどこに由来するのか、自分と同じタイプのDNA情報を持つ人は日本に何%くらいいるのかなどのデータが得られるのだそうです。

遥かなるグレートジャーニーの先端(末端?)に私たちは今生きています。2024年の夏が2023年の夏より穏やかになりそうだという要因はなに1つありません。地球規模で見れば、気候変動や戦争などで大規模な難民の流出が予想されます。グレートジャーニーの再来ととらえる人もいます。壮大な変化を予感する人たちもいます。

左右片方ずつの<片ラクダのポーズ>

実は、身近なことと壮大なものとは決して相反するものではない、とヨガをしているとそんなことをよく感じます。年の初めは大きく伸びをするように身体を動かして、免疫力を高めようと提案したい。乳がんサバイバーは伸びを丁寧に行うと、その瞬間も気持ちいいし、そのあとも体がらくになるという感想をもらいます。

胸が気持ちよく開かれる<ラクダのポーズ>、これから2回にわたり紹介していきます。1月は左右片側ずつの<片ラクダのポーズ>です。

<片ラクダのポーズ>

 

①正座の姿勢から腰を浮かし膝立ちになります。両膝を腰巾~肩幅に開き、かかとをしっかり立てます。固い床にじかに膝立ちをすると膝が痛いので、マットやバスタオルを敷いた上で膝立ちになります
②右手で右かかとをつかむ。左手は左ももの上におきます
③肛門を軽く閉じお腹を軽く締めて、胸を引き上げ、顎を上げて、眼は上方を。それと連動して、左手はゆっくり前から上方に伸ばし、上へ上へ十分に伸ばす。2~4呼吸
④ゆっくり滑らかに①にもどす。今度は左右反対にして同様に
⑤腰を下ろし正座に戻って、ゆっくり上体を前に倒して腰部を丸めて休む。
2セット

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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