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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(15) 手指を反らすヨガ

イラスト●星奈レイ
発行:2009年1月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

喉胸を開いて免疫力アップ

魚のポーズ① あおむけになり、両足両膝を揃えて両膝をたてる。

「もう時間がないとわたしだけが知っている。1番苦しかったのは、主人に、必ず治ると信じてもらうため、自分の気持ちを押し殺して楽天的にふるまっていたこと……かしら」

末期がんの夫を見送ったY子さんは、こう振り返ります。

「子どもたちにも、残された時間がわずかであることを一言も漏らしませんでした」

② 腰を軽く浮かし、手のひらを下にして両手をおしりの下にめいっぱい伸ばす。

あとから「なんで言ってくれなかったのと」大学生の娘や息子から責められたのだそうです。

「あのとき、ちゃんと告知していたら、最後の数カ月はずいぶん違っていたんじゃないか……主人は家族との時間をもっと優先させたんじゃないかと思ったりもしました。何しろ仕事人間でしたから、病室でも部下を集めて仕事の指示をしていました。でも、あれはあれでよかったんだと思います。主人も最後はがんだと知っていて、わたしの嘘に付き合ってくれてたんじゃないかなと思ったりしました」

③ スタートの姿勢。首が埋もれないように両肩を下げ脇を締め、肘はぴったり体側につけ足を伸ばす。

そして結果的には再入院から2カ月で他界。

それから1年がたち、気がつくとY子さんは「あれで本当によかったのかな……」と当時のことを考え込んでいます。

娘や息子にそんな胸中をもらすと、「お母さんは十分にやったよ、よくがんばったと思う」とはじめのうちは慰めてくれていたそうです。

④ 肘でぐうっと床を押し、その反作用の力を使い胸を上げ、首をのけぞらすようにして、頭頂部を床につける。目は頭頂部から30?40センチ先の床を見る。喉に意識を集中。ゆっくり10カウントをキープする。

しかし、何度目かには「いまさらどんなに考えても、もう過ぎてしまったことなんだからもう区切りをつけないと」とか「そろそろ自分の好きなことを見つけて、自分のためにお金と時間をつかいなよ」といわれます。

そんなことは言われなくともY子さん自身がよくわかっています。Y子さんも、好きだったフラワーアレンジメントを再開しようとか、学生時代やっていたゴルフをやってみようとか、いろいろ思ってはみても今はまだ気が向きません。

いつか時間が癒やしてくれるとわかっているけれど、ちょっとくらいグチを聞いてもらいたいというのは間違っているのでしょうか。

いえいえ、間違ってなんかいません。わたしたちは、言っても仕方がないことを語り受け止めてもらうことでしか癒やされないことがあります。

わたしのヨガ教室に月1回通ってちょうど1年のY子さん。お話を聞いている時間がセッションの8?9割になります。最後の5分か10分を、ヨガのポーズでリラックスしておかえりになります。

「急がなくっていいんですよね」 「早く元気にならなくてもいいんですよね」と言っていた彼女が、いつのまにか「このポーズはこのあたりが気持ちいい」など感想を述べるようになってきまし た。少しずつ気持ちがほぐれてきたんですね。気持ちがほぐれてくるのと、「気持ちいい」を感じるようになることはつながっているのです。

さて今回のヨガポーズは「魚のポーズ」です。

前回紹介した「鋤のポーズ」と組み合わせて行うとデコルテラインがきれいにととのってきます。

また空気が乾燥してきているこの季節、風邪の予防にも有効です。ただし、もう風邪をひいてしまって、せき込んでいたり鼻が詰まった状態ではあまりおすすめはできません。

鼻翼の両わき、少しくぼんだところを軽く押すか、押したままグラインドすると、鼻の通りがよくなってきます。それから、「鋤のポーズ」→「魚のポーズ」を1セットとして2セット行ってください。

魚のポーズ

①あおむけになって、両足両膝は揃え両膝をたてます。

②軽く腰を浮かし、両手の手のひらを下にして、おしりの下に伸ばします。手はなるべく足もとに近く、おしりの下といっても、半分以上太ももにかかるように伸ばします。

③両足を伸ばします。首が埋もれないように両肩を下げ、脇を締め、肘はぴったり体側についています。これがスタートの姿勢です。

④肘を使って(肘でぐうっと床を押し、その反作用の力を使って)、胸を上げ、首をのけぞらすようにします。そのとき頭のてっぺんを床につけ、目はしっかり見開きながら頭頂から30?40センチ先の床を見ます。

喉から胸にかけて、縦方向にも横方向にも十分に開くポーズです。意識は喉に集中します。ゆっくり10カウントをキープしましょう。

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