森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(24) やさしいコブラのポーズ
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
腎臓の働きを高めよう
読みかけの新聞や本をトイレに持ちこむという人は少なくないと思いますが、我が家には 「トイレの常備本」というのがあります。便座に腰を下すやおもむろに手に取り、適当なページを開き、用が済めばそのままトイレに置いていきます。
どんな本でもトイレに置けばいいかというと、さにあらず。
これでなかなか本選びも悩みます。この数年は、山田風太郎著『人間臨終図巻』全3巻がもっぱらこの任を引き受けてくれています。知る人ぞ知る稀代の名著です。
15歳の八百屋お七から始まり 121歳の泉重千代まで、年齢順に約800人。古今東西の著名人の臨終が列伝風に取り上げられています。
どの巻のどのページを開いても、すでに1度や2度は読んでいます。それを再々読、再々々読しているわけです。というか読んだはしから、右から左と忘れてしまいますので、いつまでも新鮮なのです。
栄耀栄華を極めた藤原道長が、最後には背中に乳房ほどの大きさのおできができて、それが原因で61歳で亡くなったとか。
近松門左衛門が67歳で 『心中天網島』、68歳『女殺油地獄』、69歳で『心中宵庚申』などの傑作を書きました。しかしそれからわずか2年後、71歳で亡くなる少し前に書いた最 後の文章には「……口にまかせて筆を走らせ一生を囀り散らし、今わの際に言うべく思うべき真の一生事は一字半言もなき当惑」という痛切な言葉を残している とか。
維新の立役者の1人勝海舟は明治32年まで生き、最後の言葉は「これでおしまい」だったなど、私はこの本で知りました。
ときには続きが読みたくてトイレに長々と立てこもったり、ついにはトイレから持ち出すことも多々ありますが、しばらくすると定位置のトイレに戻ります。
忌野清志郎のことも、もしまだ山田風太郎が生きていたら、その最期をどんなふうに書いただろうと思うことしきりです(ああ、清志郎が逝っちゃた……冥福を祈る)。
というのも『人間臨終図巻』のなかでも、累々たるがん死の系譜というのがあって、まことにある時代、がんは死病であるだけでなく、生々しい痛みとの壮絶な戦いであったことが記録されています。
緩和ケアは、ごく最近になって可能になりました。すこし前までは、痛みの中に放置されるばかりか、自分ががんであることも知らされなかったのですよね。
今だって、いくら「2人に1人はがんになる」時代だといわれても、自分だけはかからないと思っている人が大半です。
でも今は、たとえがんになっても自分で自分の生き方を選択できる時代です。声帯を失って延命を選ぶか、リスクは高くなっても声を残すか、選択することができます。それに痛みにのたうつことは避けられそうです。
少しずつ「がんとつき合う」という発想が身近になってきました。
今回取り上げるのは、腎機能を高めるといわれている「やさしいコブラのポーズ」です。背中から腰にかけての下背部がひんやり感じたら、試してみてください。ぽわっとあたたかくなってきます。
やさしいコブラのポーズ
① うつ伏せになり、両手は肩幅で前方に伸ばします。両脚は揃えて後方に伸ばし、うつ伏せ姿勢を整えましょう。
② 肩の下に手をつきます。
③ 息を吐いて、肛門を閉じ、腹部を引き締めます。
息を少しずつ吸いながら、下背部を床のほうに下げ(ここがポイント)、胸を起こし、あごを上げ、目は上方に向けます。
そのままそっと自然呼吸でゆっくり10カウントしましょう。
④ 静かに②に戻し、さらに肘を開いたら、額の下に両手を重ねます。
かかとを開いてリラックスして休息します。休息時の呼吸でも下背部を意識し、吐く息で静めるように、吸う息で心持ち持ち上げるように呼吸すると一層効果的です。
これを2セット行いましょう。
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