森川那智子（もりかわ　なちこ）
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』（大和書房）
『リラックスヨガ』（成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

カエルのポーズで丹田を鍛える

カエルのポーズ① 脚を腰幅に開いてしゃがむ（かかとは上がる）。両手は、足先から20センチくらい前方に、指を開いて床につく。

日本でカエルは、「若返る」「お金が返る」「家族が無事に帰る」などの言葉に重ねて、縁起物としても重宝されてきました。

その一方でカエルはぬるぬるして気持ち悪く、醜いものの象徴でもあるようです。

先日、友人とグリム童話の話になりました。魔女の力で醜いヒキガエルに変身させられていた王子様が、お姫様の力で魔法が解けたというお話をご存知ですか。

「なんで魔法が解けたか覚えている？」と友人は聞きます。

私はなんとなく、お姫様がカエルの外見の醜さなど気にせず、親しく優しく接したことで、魔法が解けたというふうに思っていました。

「眠れる森の美女」で王子様のキスで魔法が解けて、長い眠りから覚めたというエピソードとごっちゃになっていたのかもしれません。

② 正面からみたところ。両ひざの間に両ひじを入れ、腿の内側で上腕を挟むようにする。

ところがまったく違っていました。

昔々かわいいお姫様がお城の庭で金色の毬で遊んでいたところ、毬を池に落としてしまいました。お姫さまが泣いていると、池の中から大きなヒキガエルが顔を出し「もし私とお友達になって、一緒の食卓で一緒のご飯を食べ、一緒の寝床で一緒に眠る約束をしてくれるのなら、毬を拾ってきてあげましょう」と言うのでした。

お姫様は毬をとってきてほしい一心で承諾しますが、毬を取り戻したとたん、ヒキガエルとの約束は忘れたふり。そのままお城に帰ってしまいます。

ところがヒキガエルはずっとお姫様のあとについていきます。お姫様はもちろん無視し続けますが、不審に思った父王が訳を尋ねます。

カエルとのこれまでのいきさつを知ると、父王は「たとえ相手がカエルでも、約束したことは守らないといけない」と姫を諌めたのでした。

③ 自然呼吸でかかとを十分に上げ、ゆっくりと重心を前に移動し体重を手のひらにかけていく。

いやいやながらお姫様は醜いヒキガエルと一緒の食卓で一緒のご飯を食べ、一緒の寝床で一緒に眠ることになりました。

しかもあろうことか、この厚かましいヒキガエルはお姫様にキスをしようとします。

ここに至ってお姫様は逆上し、ヒキガエルをつかむや、ありったけの力で壁に投げつけたのです。

するとどうでしょう、壁に投げつけられた醜いヒキガエルは、一瞬にして王子様の姿に。魔法がとけたのです。

そうか、思い切り壁に投げつけたのか……なかなか含蓄ある話です。

父王の原則的厳格さ、これに対してお姫様の怒りのあまりの発作的な行動。そして後者が一挙に事態を変化させるのです。

実際の人間関係でもそういうことが結構あるなと、カウンセリングをしているとよくそう思います。

今回紹介する「カエルのポーズ」は、ちょっと難しいポーズになります。しかし、完成ポーズにほんの数秒でもとどまれれば大丈夫ですので、チャレンジしてみてください。

気持ちを集中すると、ふわっと足腰が浮きます。このとき働いているのが丹田です。丹田とは東洋的身体法のキーワードで、臍から8～10センチ下の体の芯に近い部位にあります。丹田を鍛えると、集中力が増し元気が湧いてくるといわれています。

カエルのポーズ

④ 足を持ち上げ、内腿で腕をぐーっとはさみこむ。自然呼吸で10～20秒キープする。

①　両脚を腰幅に開いてしゃがみます（かかとは上がる）。両手は、足先から20センチくらい前方に、指を開いて手のひらをしっかり床につきましょう。両ひざを少し開き、その間に両ひじを入れ、腿の内側で上腕を挟むようにします。

②　自然呼吸でかかとを十分に上げ、ゆっくりと重心を前に移動します。体重を手のひらにかけていきましょう。

③　ふわっと足が床から浮きます。そうしたら内腿で腕をぐーっとはさみこむようにしましょう。

同時に床から浮いた足先を意識して上に引き上げようとすると、腹深部の筋肉が締まり、この姿勢が安定します。

自然呼吸で10～20秒キープします。ゆっくり戻し、正座でくつろぎましょう。これを2セット行います。