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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(46)「胎児のポーズ」

イラスト●星奈レイ
発行:2011年9月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

いったん全力で小さくなる

胎児のポーズ① 仰向けになり、両膝を立てる。左膝を引き寄せ、両手で抱える。

「成田から海外へ向かう便は文字通り満席でした。とにかく無事、娘の結婚式に間に合ったからよかったのですが」とIさん。

お嬢さんが海外に嫁ぐことになり、その結婚式が東日本大震災の翌週だったのです。

式も滞りなく終わり、当然のように日本に帰るつもりでいたら、婿さんやその家族、親戚一同から「今、日本に帰るなんて何を考えているのですか、住む家は用意するから」と本気で引きとめられたそうです。

② 大きく息を吸い、ゆっくり吐きながら膝と額を近づけていく。そのまま静かに呼吸10カウント。反対の右膝も同様に。

「あの当時、海外メディアは少し偏っているんじゃないかと思っていました」とIさんはいいます。

わたしも少なからず、そう思っていました。というか、日本以外のどこかに避難する選択肢を、本気では吟味していませんでした。

しかしながら事故から3カ月近くたち、津波のあったその日の夜にはメルトダウンが始まっていたと知らされると、なんというか言葉を失います。

③ 両脚両膝をそろえ、引き寄せ、両手で抱える。

しかもその数日後に、実はメルトスルーも起きていたと公表されたのですから――。

福島第一原発は、未だに収束のめどが立たない危機状態が続いています。そして現場では日夜奮闘している人たちがいます。

東京は地震や津波の被害もほとんどなく、放射能リスクといっても、30キロ圏内の人たちに比べるべくもありません。

④ 大きく息を吸い、ゆっくり吐きながら膝と額を近づけていく。そのまま静かに呼吸10カウント。

それに筆者は歳も相当に食っています。2人に1人ががんになるという時代に、その確率がわずかに上昇したからといって何なのでしょうと、なんとなくたかをくくり安全神話にもたれて生きてきました。

「わたしの周りでは娘さんが結婚後も近くに住むという人が多くて、何でうちだけと思ったけれど、今となってはね。娘と次の世代を放射能リスクから回避させることができて、よかったと安堵している」とIさんは話してくれました。

⑤ ③に戻して、両手両足を伸ばし、「完全なくつろぎのポーズ」でくつろぐ。

4月から被災地支援のチャリティヨガを始めました。5月には午前のクラスに生後5カ月半になる女の赤ちゃんとそのママや9カ月になる男の赤ちゃんとそのママが参加してくれるようになりました。インストラクターのボランティアも、2歳になる男の子を持つママです。

私もそのクラスにいち参加者として混ぜてもらったことがあります。ヨガをやっているときというのは、気持ちがやわらかく素になっています。だからか、赤ちゃんの生まれたてのピカピカ感の可愛らしさがぐんぐん響いてきてしまったのです。

本当にまだ生まれて1年もたっていないだなんて、いったいこの子たちはどこからやって来たのか不思議になるくらいのあどけなさです。月並みですけれど、幼い子どもたちの未来を祈るような気持ちになりました。

さて今回紹介する「胎児のポーズ」は、体を小さく丸く縮めるポーズです。別名「ガス抜きのポーズ」とも呼ばれ、腹部の血行を良くし、お腹の張った感じ(膨満感)を解消します。そして、ポーズをほどいて「完全なくつろぎのポーズ」で十分な弛緩を実現します。

ストローとそれを覆っている薄手の紙袋を、ストローに添ってギューッと細かく皺を寄せていき、20センチくらいの丈から4~5センチくらいに縮め、1滴水を垂らすとまるで虫か何かのようにむずむずと動いて伸びていきますよね。

「胎児のポーズ」を終えて、ゆるゆると手足を伸ばし、全身を弛緩させていくときのイメージがそれです。全身を緩めるために、いったん全力で可能なかぎり体を小さく丸めるのです。するとその反動で、じわじわゆるゆると体が緩んでくるのです。

胎児のポーズ

① 仰向けになり、両膝を立てます。左膝を引き寄せ、両手で抱えましょう。

② 大きく息を吸い、ゆっくり吐きながら膝と額を近づけていきます。そのまま静かに呼吸を10カウント行いましょう。さらに右膝で同様に行います。

③ 両脚両膝をそろえて引き寄せ、両手で抱えます。

④ 大きく息を吸い、ゆっくり吐きながら膝と額を近づけていきます。そのまま静かに呼吸を10カウントします。③に戻して、両手両足を伸ばしましょう。

⑤ 「完全なくつろぎのポーズ」でくつろぎます。両足は肩幅よりやや広めに開き、両腕はわきを緩め、ゆるやかに投げ出します。あご、口元、頬、目のまわりも緩めましょう。

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