森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(58)「塔のポーズ」
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
いつまでも元気に歩こう
先日、板橋区の女性健康支援センターが主催するがん患者さんのためのヨガ講座「ゆるヨガのススメ」に講師として呼んでいただきました。
同区では乳がんの患者さんによる自主グループに80名以上が登録し、活動しているのだそうです。子宮がんや直腸がんの患者さんの自主グループも結成されていると聞きました。
「定員、どれくらいにしましょうか?」
「ヨガを実際に行うのですから、20~25人がちょうどいい規模じゃないかな」
「それくらいですとすぐに定員いっぱいになってしまうので、もう少し増やせませんか?」
担当者との間で、そんなやり取りがありました。
そして、定員を収容人数いっぱいまで増やしたのに、予約は数日で埋まり、当日は梅雨の晴れ間の、日ざしのきつい暑い日でしたが、予約した人たちのほぼ全員が参加されました。
年齢もがんの部位も術後からの期間もさまざまです。参加動機で目立ったのは、「家にこもりがちになるので、思い切って外に出て、体を動かしたかった」「ゆるヨガだったら自分にもできるかもしれないと思った」といったものでした。
地域にこういう会があるというのはいいものですね。患者会での出会いは、一生もののお付き合いになることも少なくないと聞きます。立ち入りすぎず、けれども遠慮し過ぎず、それぞれ自分のペースで人間関係を育てていく。それはゆるるんヨガのモットーと重なります。
自分の体を丁寧に扱い、無理しないで、自分の体の声を繊細に聞き取ってヨガを行っていくことが大切です。
今回紹介する「塔のポーズ」は骨盤周りの筋肉群と脚力の老化を防ぎます。日本人に多いO脚を改善し、加えて脚のむくみ・冷え・だるさを和らげる効果があります。
一般にO脚というのは両膝が離れていて、その湾曲した両脚部の形がアルファベットのOの字に似ていることだと思われていますが、両膝は離れていなくとも、膝頭の向きが内側にねじれていたり、内くるぶしが離れているのも実はO脚で、ふくらはぎがだるく疲れやすいのが特徴です。
本型より準備型が自分の脚と骨盤への理解が深まりますので、少し詳しく紹介していきます。なかでも準備型の③~④が重要です。両膝、両内くるぶしを閉じたら、あわせて肛門を綴じ、左右の坐骨の間隔を狭めます。おなかを引き締めて、骨盤を立て、腰の反りを浅くするようにします。ここではじめて「骨盤が閉じる」とはどういう体感なのか納得できます。そうしてゆっくりと④に移行するのがポイントです。
塔のポーズ・準備型
① 両腕を前に上げ、両手の指先が壁から10㎝強離れたところに、両足をそろえて立ちます。
② 自然呼吸でかかとをしっかり上げます。このときO脚傾向の人は、膝頭が内側に向き、両かかとが開いているはずです。両手の指先が壁に軽くふれるくらいで、くれぐれも壁に寄りかからないように行いましょう。
③ かかとを下げずに、両膝を前に曲げます。すると誰でも、両膝の内側をぴったりつけて、膝頭を正面に向けることができます。両かかとを寄せ、うちくるぶしを合わせるようにすると重心が安定し、足の親指で床をしっかり踏みしめられます。
④ 膝をぴったりあわせ、かかとを保ちながら、非常にゆっくりと膝を伸ばします。この③~④のプロセスが重要です。横からの姿勢は②と同じですが、ふくらはぎがしっかり引き締められるのがわかるはずです。
塔のポーズ・本型
① 両足をそろえ、胸の前で合掌します。息を吐き、肛門を閉じおなかを軽く締めましょう。
② 息を吸いながら合掌した両手を上方に、同時にかかとも上げて、そのまま自然呼吸で6~10呼吸保ちます。ふくらはぎ、ももの内側、ヒップが引き締まります。両手を上方にぐーっと伸ばされているのに合わせ、お腹も引き締きしめられぐーっと引き上げられます。ゆっくり①にもどし、両足を腰幅に開き、膝を緩めて、立位のままくつろぎます。これを2セット行います。
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