森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(60)「片鼻呼吸」
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
呼吸は吐く息から
ヨガでは、どのポーズにも呼吸法の要素が含まれています。呼吸とともに動作し、ポーズを完成させたところで、その体勢でできる自然な呼吸をしながら一定時間キープし、意識を集中します。呼吸に関係する筋肉群もしなやかになり、呼吸器も発達してきます。
ポーズ法を行えば呼吸法も行っていることになりますが、「普段使い」ということを考えると、場所や時間を問わない呼吸法は広がりがあります。あまり構えずに、ただ呼吸をていねいに行うことなら、体の自由がきかないときも、またそういう人に付き添うときにも、不安と緊張をゆるめることができます。
呼吸という字を見ると、「呼」が前で「吸」が後。つまり吐く息がまずあって、吸う息はそのあとに続きます。赤ちゃんもこの世に生れて、はじめての肺呼吸をオンギャアと発声すること(呼気)ではじめます。
ところがなぜか「吸って吐くのが深呼吸」と思っている人が多いのです。最近、再注目されているラジオ体操でも「はい、大きく吸って、吐いて」と言っています。
ところでロンドン五輪のTV中継をみていて気づいたのですが、女子体操競技の平均台や床運動で、フィニッシュに向かう前、選手たちの顔が正面からアップで 映ります。選手たちは動きを止め、口もとをすぼめ、息を吐いて集中を高めているのですね。吐く息で集中力を高める呼吸トレーニングを取り入れているようで す。
緊張や不安が高じたとき、深呼吸すると落ち着くとよくいわれますが、実際に、あるレベル以上、不安や緊張が高まると、息を吸おうと思っても 息がうまく吸えません。うまく吸えなくても、そのあとの吐く息をゆっくり長めに行えばいいだけのことなのですが、吸うほうに意識がいってしまう。息を吸おう吸おうと思って、吸う息にポイントを置いた覚醒型の呼吸に意図せずになってしまい、逆効果です。
剣道をやっている人から聞いた話です。
「打ちこまれるのは息を吸ったときです」
「吸うときはスキができるのですか?」
「それもありますが、攻撃は息を吐きながらになりますから、その前に必ず息を吸うわけです。それが相手に伝わるから、吸った瞬間に打ち込まれます」
だから相手に悟られないように呼吸するのが上段者の心得だそうですが、なるほど。息づかいで、心の動きも察知されてしまうのですね。
ところでよく訊かれるのが、吐くのは鼻からですか、それとも口からですか、という質問です。原則は鼻から吸って鼻から吐きます。
けれども鼻から穏やかに吐くのは練習が少し必要です。というかリラックスした状態では自然にそうなっているのですが、意識的に行うにはトレーニングが少しだけ必要になります。
口もとをすぼめて息を吐くやり方だと比較的すんなりとそれができるのです。
「自分にも穏やかにゆっくりと息を吐くことができる」ことを体験するために、口から吐くことからやってみましょう。
今回紹介する「ストローを使っての呼吸」は、口から穏やかにゆっくり吐くエクササイズです。くれぐれもがんばりすぎないことです。目いっぱいの50%くらいにとどめます。
「片鼻で呼吸する」は、家庭や病院などで、ベッドやイスに腰を下ろしてリフレッシュすることを想定しています。一日の生活の中で、午前中は10時半、午後は4時半などと時間を決めて行うと、本当の意味で「ブレイク」になり、ストレス緩和につながります。
ストローを使っての呼吸
口をすぼめて、ゆっくり一定のスピードで息を吐きます。ぶくぶくではなくて、ぷくぷくと静かめに行いましょう。吸うときはもちろん鼻からです。これを5回繰り返します。
片鼻で呼吸する
ヨガに片鼻呼吸と呼ばれる呼吸法がありますが、これはその原型です。ここでは右手の人差指と親指を使っています。もちろん親指と中指、親指と薬指でもOKです。
① 椅子に腰かけてもいいですし、床にバスタオルを敷いて楽な安定した座り方をし、体幹をすーっと立てます。目は半眼か閉じましょう。
② 親指で片鼻を閉じ、左の鼻だけを使って呼吸します。3~5回繰り返します。
③ 人差し指で左鼻を軽く押さえ、右鼻だけで呼吸します。3~5回繰り返します。
④ 両手をひざに伸ばし、両鼻を使ってゆったりと呼吸します。これを5回繰り返したら、②に戻ります。
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