森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(61)「完全なくつろぎのポーズでの腹式呼吸」
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
ゆっくりお腹で呼吸
ぽっこりお腹解消に大変有効だということで、最近ドローイングという方法が話題になっています。
簡単に説明すると、お腹を思いきりへこませた状態を30秒間キープするというもの。ただしその間、息を止めないでこの姿勢でできる呼吸を続けます。
これを1日に何回か、できるときに、できるだけ行うことで、深層の腹筋が鍛えられ、しかも代謝もアップするといわれています。
闘病中や、椅子に座って過ごすことが多い現代の生活では、腹筋は低下していきます。立つ、歩くと比べ、椅子に座る姿勢では格段に腹筋が使われず、胃腸の働きが低下し、腰痛のリスクも高まります。
その結果、脊柱をささえる体幹の深い筋肉が衰え、ぽっこりお腹になり、便秘や下痢にもなりやすいというのですが……。
ドローイング自体はヨガと共通するものがあります。繰り返し触れてきましたが、ヨガのポーズ法では呼吸とともに動作して、ポーズを完成させたら、一定時間(10呼吸するくらいの時間)その体勢でできる自然な呼吸(楽な呼吸)をしながらキープします。
そしてポーズをほどいたら、くつろいだ姿勢で呼吸を整えます。そのプロセスで、呼吸の仕方は自然と変化しています。
呼吸法では、安定した姿勢を保ちながら、呼吸を意識的に行い、自律神経に働きかけていきます。
今回紹介するのは腹式呼吸(横隔膜呼吸)です。
まず十分に吐くことで、深く穏やかな吸う息につなげていきます。ところが、お腹の筋肉をゆるめて、お腹を膨らませながら吸うということに抵抗感を感じる人が増えているような気がします。
腹筋の力を抜き、お腹を膨らませるということが、恒常的な「お腹ぽっこり」になりはしないかと不安がるのです。大丈夫、そんなことにはなりません。自律神経の副交感神経を優位な状態に導き出す呼吸ですから。
最近の研究では、1日数回、腹式呼吸をすることで、精神安定作用をもつホルモン物質セロトニンの分泌量が増えることもわかってきました。
あまり難しく考えないで、ゆっくり呼吸をマスターしていくつもりで行ってください。
くつろいだ姿勢でのくつろいだ呼吸は、自然と腹式呼吸になっています。その腹式呼吸を意識的に行うことで、リラクゼーション反応を引き起こすことができます。
夜、就寝時に行えば、眠りが深くやすらかになります。どれも手を腰に当てると、腹部の動きがよくわかるので、腹部の動きを感じ取りながら行えます。
慣れたら両腕は、好きな位置でゆるやかに伸ばしてください。
完全なくつろぎのポーズでの腹式呼吸
完全なくつろぎのポーズをとり、両膝を立てます。片膝だけでもいいし、両足をのばしたままでもいいのですが、体感しやすいので両膝を立て、両手を腰に置きましょう。
① 呼気
軽く息を吸って、まずゆっくりと吐く、吐く、長くゆっくり吐きます。このとき背中~腰部~仙骨をぴったりと床につけ、肛門を閉じます。尾てい骨を少し浮かせ、尾骨は内側に巻くようにして腹筋を使いましょう。
② 吸気
次にお腹をふわーっと緩め、持ち上げるようにして吸います。このとき、床と腰の間を少し浮かせるようにすると、腹筋をゆるめコツがわかると思います。これを5回行いましょう。
腰が、腹筋がと意識すると緊張してきてしまう人も少なくありません。そういうときは、お腹にボールが入っていて、呼気(吐く息)とともにそのボールが小さくなり、吸気とともにボールが大きく膨らんでいくイメージで行うと力まずにできることが多いと思います。
座位で腹式呼吸
イスに腰掛けてもいいですし、尻を床につけた座り方でも大丈夫です。自分にあった楽な座り方をして、手を腰に当てましょう。仰臥姿勢とは少し体感が違って感じられますが、基本は同じです。
①呼気
軽く息を吸ってから、まずゆっくりと吐く、吐く、長くゆっくり吐きます。このとき背中を丸めたくなるかもしれませんが、ここでは座った姿勢ですっと伸ばした体幹を保ち、首や肩や胸を緊張させないで、お腹を背中のほうに引きつけていきます。
②吸気
次にお腹をふわーっとゆるめます。恥骨の上からお腹全体をゆるめて(腹筋の力を抜く)、呼気の最後にみぞおちまで引きあがっていた横隔膜が、お腹のほうにすとんと落ちるような感じです。
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