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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(63)「アンテナのポーズ」

イラスト●星奈レイ
発行:2013年2月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

冬でもからだぽかぽか

アンテナのポーズ①  胸の前で合掌。息を十分に吐く

冬は冬眠していたいとずっと思ってきました。

寒い冬、まだ暗いうちに電気をつけて、朝の支度をはじめることを、床の中で想像するだけで気力がなえてきます。もうちょっとだけ寝ていても大丈夫という根拠のない理由が、3つも4つもあっという間に浮かぶのでした。

結果、10分か20分後に再び「起きなくては……やだなあ」がはじまります。今度は遅刻の言いわけも耳元で囁きはじめ、遅刻の誘惑と格闘しながら、ぐずぐずようやく起きあがるのでした。

しかし、或る時期からすっきり目が覚めるようになったのは本当に不思議です。

「起きなくては……やだなあ」と考えはじめる前に取りあえず体を起こす。急いでてきぱき行動するのが苦手なので、時間に余裕を持たせて、朝を慌ただしくなく過ごすようにしてからです。そのため、より早く起きることにしたら、変わりました。

② 正座でもよい。息を吸いながら両手をぐーんと上方に伸ばす

考えだす前に取りあえず体を起こして、少しだけヨガ。

体を動かすことで、血行が良くなり自然と目が覚めてきます。これはうつのリハビリや予防に有効な認知行動療法に通じます。

朝「気が重い」、朝「起きられない」という症状に、朝「考えない」というトレーニングをするのです。考えはじめると、気が重くなるような考えが自動的にわいてきて、ますます気が重くなり、起きにくくなりますから。

今回紹介する「アンテナのポーズ」はベッドから上半身だけ起こして行うこともOKです。それから火呼吸。これで体はあたたまり、頭はすっきりしてきます。

朝行うヨガは1セットでもいいのです。ベッドの上でとりあえずやってみて、ベットから離れて、もう1セットやりたかったらやってみましょう。

ところで、もともと朝からテンションが高く、休むことなく夜遅くまで動き回っている人にも、ちょっとした朝ヨガをおすすめしたいのです。

③ 息を吐きながら両腕を大きく開き、上方を見上げながら胸を開く。そのまま4~8呼吸。②①と戻し、呼吸を整える。2セット

というのも、中村勘三郎の訃報を聞いたからです。

浅草の平成中村座の舞台には忘れがたいものがありました。チケットが取れなくてオークションで落札し観に行ったほどです。

最後に舞台の奥を割って大川を見せるという劇的な演出に感動しました。そもそも浅草寺境内に芝居小屋を作ってしまうという心意気がすごい。もう大入りで受けに受けていました。

けれどもセリフを語るその声が割れているのが気になりました。「本調子じゃないんだな」「疲れているのだろうな」と感じた観客も少なくなかったはず。

才能豊かで八面六臂に活動し続ける人は、自分のことをよくコマにたとえ、休みなく動き続けることを宿命のようにとらえています。止まったら倒れてしまうのだと。

本当にそうなのでしょうか。

もし、もう少しテンポを落したほうがいいと、本人がその必要をうっすらでも感じたら、じっとしていられないというのも、起きられないというのと同じで、一種の〝筋力不足〟なので、気合いで何とかするのではなく、考える前に〝緩める時間〟をつくるのがいいのです。

朝ヨガをやって1日を少しゆっくりとスタートさせてみませんか。

アンテナのポーズ

火呼吸低めの椅子にすわり、両足を交差させる。瞬間的に力強くお腹を引き締める1秒強。次にぱっと力を抜く。肩や胸は動かさないで連続して10回。呼吸を整えて2~4セット

① 安座もしくは正座の状態で、胸の前で合掌します。このとき息を十分に吐きましょう。

② 息を吸いながら両手をぐーんと上方に伸ばします。

③ 息を吐きながら両腕を大きく開き、上方を見上げながら気持ちよく胸を開きましょう。そのまま4~8呼吸します。②①と戻し、安座もしくは正座で呼吸を整えます。これを2セット行いましょう

火呼吸

呼吸法や瞑想法をおこなうときは安定した楽な座り方が必須です。今回は低めの椅子にすわり、両足を交差させた座り方を紹介します。楽な座り方というのは両方の座骨がしっかり座面についていることが感じられ、骨盤が安定していてお腹をぐっと引き締めるときに、股関節やひざの違和感に煩わされないという状態です。

行い方

瞬間的に力強くお腹を引き締めます(1秒強)。次にぱっと力を抜きましょう。再びぐっと引き締めたら、ぱっと力を抜きます。肩や胸は動かさないで連続して10回行いましょう。

呼吸を整えて次のセットに移ります。これを2~4セット行いましょう。

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