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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(64)「呼吸瞑想」

イラスト●星奈レイ
発行:2013年3月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

癒しの力――〝マインドフルネス”という意識状態

ウォームアップ親指と人差し指で両耳の耳殻をつかみ、親指で少し強めに耳殻の外側を10回もみしだく

2012年秋、マサチューセッツ大学医学大学院教授で、同大マインドフルネスセンターの創設所長ジョン・カバットジン博士が来日しました。博士は世界中のストレスの軽減を必要としている人々に、〝マインドフルネス〟という新しいキーワードを提示しました。

20年前にその訳書(現在は『マインドフルネスストレス低減法』と改題)を読んだときのことは、今でも鮮明に覚えています。当時、わたしは女性たちのストレス症状の緩和を目的としたヨガの個人療法を行っていました。

私自身そうでしたが、ヨガのポーズをていねいに20分以上続けていくと、ほとんどの人が、うっすらと自己肯定感が湧きおこってくるのを体験します。この「うっすら」というのが実はミソなのです。かんばって成果を追及しようとすると、成果は遠のいてしまいます。

カバットジン博士はこうした受動的注意集中の意識状態を「マインドフルネス」と呼び、シンプルだけど繊細な観察から得た洞察を様々なケースにそって語りかけます。

マインドフルネスとは要約すると「今ここ」で体験していることにマインドフルになっている意識状態のことです。やっていると、うっすらと意識状態に変化が現れます。

片鼻呼吸① 自分にとって楽な座り方で座り、右手(利き手)の中指を眉間に当て、人差し指は中指にそわし、薬指で左鼻をそっと閉じ、右鼻だけで呼吸。2~4呼吸

カバットジン博士のマインドフルネスストレス低減法は、もとは仏教の呼吸瞑想をもとにしたものだそうです。日本の言葉では、なかなかぴったりくる言葉がありません。その点、「マインド」は、今では日常よく使われる言葉です。フルネスは充足とか充満という意味があり「マインドフルネス」も、なんとなく意味が伝わってきます。

そのマインドフルネスをベースにした8週間のプログラムのために、マサチューセッツ大学医学部の中で35年実施してきました。

当初は医学的治療の困難な慢性疼痛の対処法として活用され、エビデンス(科学的根拠)を蓄積し、しだいに心身症や高血圧、過食などの食の問題行動や不安障害、パニック障害にも適応範囲を広げ、近年ではうつの対処法として、大きな注目を集めるにいたっています。

「マインドフルネス」という意識状態にあるとき、脳内の生化学的な変化について数多くの研究も進められています。

② 親指で右鼻をそっと閉じ、左鼻だけで呼吸。2~4呼吸。①②を交互に続け2~4セット

来日中のカバットジン博士のワークショップに参加してみて、一番印象的だったのは参加者たちの多様な顔ぶれでした。がんターミナルケア病棟の医師をはじめ、メンタルヘルスの臨床医や心理士たち、ヨガ指導家たち、仏教界からの参加もあり、懐の深い活気に満ちたワークでした。

今回紹介するのは、呼吸のためのウォームアップと片鼻呼吸、それに続くゆったりとした呼吸瞑想です。

ある動作によってどんな感覚が起きてくるのか、その感覚に注意を向けながら、テイスティングするような心持ちで行います。「なんだかよくわからない」、「あまり感じない」であっても、それも今という瞬間に体験していることの一部ですから、良いとか悪いではなく、そのまま受けとめてください。

ウォームアップ

外耳をマッサージすると鼻の通りも良くなってきます。

① 手で耳をつかみ親指で耳殻の外側を上から下までマッサージします。次いで耳をしっかり持ち、息を吐きながら、耳を大きく広げるイメージで静かにひっぱります。

呼吸瞑想両手をひざに伸ばし、目は半眼で、10分以上ゆったり呼吸する

片鼻呼吸

自分にとって楽な座り方で座り、脊柱をスーッと立てます。椅子に腰掛けた姿勢でももちろんOKです。肩や首から余分な力をぬいてリラックスしましょう。

右手(利き手)の中指を眉間に当て、人差し指は中指にそわしています。薬指と親指を使って、左右の鼻孔を閉じます。

ステップ1

① 薬指で左鼻をそっと閉じ、右鼻だけで呼吸します。2~4呼吸しましょう。

② 次に親指で右鼻をそっと閉じ、左鼻だけで呼吸します。2~4呼吸しましょう。

ステップ2

① 薬指で左鼻をそっと閉じ、右鼻からゆっくり息を吐いて、おだやかに吸います。

② 親指で右鼻を軽く閉じ、左鼻からゆっくり吐きます。吐いたら、吐いた左鼻から息を吸います。①②を交互に続け2~4セット行います。

呼吸瞑想

③ 両手をひざに伸ばし、ただゆったり呼吸します。10分以上、ただ楽な姿勢で座り、ただゆったり呼吸します。目は半眼で行います。

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