1. ホーム > 
  2. 暮らし > 
  3. 運動 > 
  4. ヨガ
 

森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(65)「完全なくつろぎのポーズ」

イラスト●星奈レイ
発行:2013年4月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

内側の目で自分の体をスキャン

完全なくつろぎのポーズ布団の中で行ってもOKです。ゆったり仰向けになりましょう。アゴが浮いてしまうようなら、頭の下にクッションを入れて、頭や肩を安定させます。両足は腰幅よりやや広めに開き、両腕はわきをゆるめてゆるやかに伸ばします。手のひらを上に向けましょう

わたしたちは目を閉じていても、自分の体の位置関係を知覚することができます。

立っていても座っていても、たとえば自分の右手の中指が今どこにどのようにあるのか見なくてもわかるし、その指を動かすこともできます。手指だけでなく、肘や肩も、背中や腰も、膝や足首も、目を開かなくても、その部分がどこにどうあるか、いまどんな感じなのか、注意を向ければ感じることができます。

ところで足指も同じように感受性があるかというと、当然ですが手指との違いは歴然としています。手と足のこうした違いを使ったゲームがあって、子どもとやると大ウケすること間違いないし、大人同士でやってもなんだか不思議とリラックスしてきます。

ペアになって、一人には目を閉じてもらい、もう一人が「右手の人差し指を動かして」と指示を出すと、手指は指示通りに動かせます。今度はどれか1本の指にそっと触れて、「今のはどの指?」ときくと、ほぼ正解が返ってきます。

ところが足になると、「右足の中指を動かしてみて」簡単にはできません。そもそも足の中指だけを独立して動かすことが至難の業です。

また5本の足指のどれかに触れて、「今のはどの指」と聞くと、親指と小指以外はなかなか当てられません。目で見れば簡単なのに、触れただけではどの指かわからない、その齟齬がなんともおかしいのですね。

でもよくわからなくとも、足指1本1本に順番に注意を向けてみるというのは、これまでと違った自分の体の体験の仕方となります。足指だけでなく、足から順番に頭の天辺まで、自分の体の部分部分に注意を向けて、今そこがどう感じているか、その感覚を味わっていく、これが今回のテーマです。

「完全なくつろぎのポーズ」のやり方と基本は同じです。すなわち何もしないでただ仰向けになって、からだのすみずみまで、自分の体が今感じてるままに感じていくというエクササイズです。

そうしてまるでスキャンするように、ゆっくりと自分の体の足の先から頭のてっぺんまで、注意集中する場所を移動させていきます。

最初は、自分の今している呼吸に注意を向けます。呼吸とともに胸やお腹がゆっくりと上下するのを感じてください。吸う息で体全体がいくらか膨らみ、吐く息とともに体全体がいくらか縮むイメージです。

そして左足の親指に注意を向け、そこに2呼吸とどまります。次に人差し指に2呼吸、中指、薬指、小指まで各2呼吸ずつで移動したら、足裏に注意を向け2呼吸、足の甲、足のかかとときます。次にくるぶしから膝、その表側(すね)、ふくらはぎ、内側、外側と2呼吸ずつ、膝関節そのものにも2呼吸。そしてももからももの付け根までをゆっくりスキャンしていきます。

それも腿の表側、裏側、内側と外側というふうに、ていねいにそれそれ2呼吸とどまり、今そこがどんなふうに感じているか感じているままに受け取ります。特に何も感じない、「ふつう」であっても、それも今体験していることの一部です。

右足についても同じようにスキャンしていきます。

それから仙骨と骨盤全体に注意を向け、次いで骨盤の内側。腰、背中、おなか、胸、そして両手。左右の手指、手のひら、手の甲、手首、肘、腕、肩、それぞれ2呼吸ずつとどまります。そして首とのど。続いて頭部をスキャンします。後頭部(マットに接している部分)、顔面、それもあご、口の中、口元、唇、鼻と鼻の奥、頬、耳と耳の奥、目と目の奥、眉間、額、そして頭のてっぺんとそれぞれ2呼吸ずつ。

場所によっては、だるさを感じたり、痛みを感じたり、何か違和感を感じるところがあるかもしれません。そういうとき、私たちはほとんど自動的に「嫌だなあ」とか「どうして?」とか「解消したい」など一瞬のうちに考えるものです。そしていつの間にか、その場所の体の感覚から離れて、心はあらぬかなたへとさまよっていきます。「やっぱり健康診断を受けようかな」「来週は忙しいぞ」「あの件はどうなった?」などなど。いわゆる雑念にふけってしまうのです。

でも誤解しないでください。「雑念は禁止」と言ってるのではありません。いつの間にか体の感覚から注意がそれていることに気づいたら、その都度、心をそらした思考に気づいて、また元の場所の感覚に戻ります。

たいていの人は途中で眠くなることでしょう。そうでなければすっかり別のこと考えているか。だから、集中がうまくできなかったからといってがっかりしたりあきらめたりしないでください。

そしてもう一度、今している呼吸に注意を向けます。

ウィークディでは就寝時に左右の足だけやってもいいし、日によってパーツに分けて実習してください。ボディスキャンを実習していると、自分の体をいとおしむ気持ちがふっとわいてきます。とくに何にもしてないのに、今ここにあるこの自分の体って偉いなあ、体があるってすごいなあ、ありがとうと感じる瞬間が訪れる――それって、やっぱりすごいことですよね。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート3月 掲載記事更新!