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肝っ玉弁護士がんのトラブル解決します 30
リンパ浮腫に効果のないものを売りつけられた。返金してもらえるか?
多彩な弁護士活動の中でも家族、相続などの問題を得意とする。2003年より「女性と仕事の未来館」館長。2児の母。2005年男女共同参画社会作り功労者内閣総理大臣表彰を受賞。『子宮癌のおかげです』(工作舎)など著書多数。
渥美雅子法律事務所 TEL:043-224-2624
乳がんになり、乳房切除手術後、リンパ浮腫を発症しました。そんな折、ある業者からリンパ浮腫に効くといわれ、20万円ほどの機器を購入。その後、30万円するマットレスも勧められ、買ってしまいました。しばらく使っているのですが、リンパ浮腫は一向に良くなりません。効き目のない物を、売りつけられた気がしてなりません。返品して、お金を返してもらえるでしょうか?
(70代 女性)
まずは、消費生活センターか、国民生活センターへ相談してみる
乳がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術と共にリンパ節郭清をした場合、その範囲が大きいほど、しばしば手足にリンパ浮腫が発症すると聞いています。
リンパ浮腫の患者に対しては、2008年4月から診療報酬が改定され、弾性着衣等が保険で入手できるようになりました。けれど、それだけでは無論不十分です。そうした状況を背景に、市場にはさまざまな薬品や機器が出回っています。
あなたが20万円で購入された機器というのは、電位治療器でしょうか。これは、現在国内で30社以上の会社がいろいろなタイプの製品を作り、売り出しているようです。基本は患部に高周波・超高圧の電位負荷をかけ、それによって患部と外界との電圧差を作り出して治療効果をあげようとするもののようです。ただ、まだ研究段階のようで、リンパ浮腫の改善に効能があるかどうかはっきりしていないと言ってよいでしょう。
また、30万円するマットレスも購入された由、これも何らかの薬効があると思って求められたのでしょう。しかし、結局何の変化も起こらなかったとおっしゃる方が沢山いらっしゃいます。
医療機器であれば、承認あるいは認証が必要ですし、薬事法上うたえる効能効果も定められています。それを超えて効能効果をうたえば薬事法に抵触することになり不法行為になります。また、不実の告知といって、事実と異なることを告げられたということで契約の取消しをすることができます。
一方、販売の仕方が訪問販売、通信販売、電話勧誘販売等で、事実と異なることを告げられた場合も、特定商取引法違反で契約の取消しができます。契約が取消 しになれば、購入した物品を返品し、代金の返還を求めることができます。ただ、もしもトラブルになるようであれば、近くの消費生活センターか、国民生活セ ンターへご相談なさったらいいと思います。
国民生活センターのホームページには、60歳代の女性が「がんが治る」という宣伝を信じて電位治療器を購入したものの、体調が悪化してしまったので解約を 求めたところ、逆に販売業者から「業務妨害で訴える」と脅されてしまったというケースが載っています。このケースでは、国民生活センターが間に入って円満 に解決した(商品を返品し、既払い金も全額返還した)ということですから、参考になさって下さい。
また医療機器については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医療機器相談窓口(03-3506-9436、月~金9:00~17:00)に電話相談なされば、関連情報を教えてもらえます。