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FP黒田尚子の知ットク!がんマネー処世術 8
ジェネリック医薬品
治療費を節約する方法として挙げられるのが、「ジェネリック医薬品(以下ジェネリック)」です。ジェネリックのメリット・デメリットはありますが、今回は、ジェネリックが「どれくらい安くなるのか?」に注目してクローズアップしてみました。
最近、よく耳にするようになった「ジェネリック」。いわゆる「後発医薬品」といわれるもので、先発医薬品の特許が切れたあとにほぼ同じ成分で作られるお薬のこと。欧米では、商品名でなく有効成分の名前(generic name)で薬を処方することが多く、「ジェネリック医薬品」と
呼ばれます。私たち患者にとっての最大のメリットはその安さ。先発医薬品と同等の薬を使いながら、薬にかかる自己負担額を減らすことができます。
それでは、ジェネリックはどれくらい安いでしょうか?
一般的には、先発医薬品よりも3 ~ 5 割程度安くなるものが多いよう。中には9 割も安くなるものがあるというから驚きですね。また、1 つの先発医薬品に対して、複数のジェネリックがあることもあり、どれを選ぶかで金額が異なります。ジェネリックにした場合、どれくらい薬剤費を抑えられるのかを知りたい人は、「日本ジェネリック製薬協会」のサイトから、ジェネリックの検索や差額計算が簡単にできますし、「日本ジェネリック医薬品学会」でも同様です。後者のサイト内「かんじゃさんの薬箱」では、ジェネリックを積極的に取り入れている医療機関を検索することも可能です。近所にあるかチェックしてみては。
さらに、使い勝手の点からお勧めなのが「ジェネリックいくら?―カンタン医療費節約―」という無料アプリ。薬名を何文字か入力すれば、候補となる薬剤の名称がたくさん出てくるので、お薬の名前がウロ覚えの人も検索しやすくなっています。
それでは、実際にどれくらいオトクかを計算してみましょう。例えば、乳がんのホルモン療法によく用いられるホルモン薬に「ノルバデックス」があります。ノルバデックス錠20mg を毎日1 錠ずつ服用するとして、30 日分の薬価は1 万239 円。これをジェネリックの中で最も安いものに代用すると、30 日分の薬価は2004 円。約5 分の1 です。その差は30 日分で8235 円(なお、窓口負担額は自己負担割合によって異なる)。いかがでしょうか?乳がんのホルモン療法は2~ 5 年行うのが一般的。中にはそれ以上の期間にわたって継続する患者さんもいらっしゃいます。
もちろん、実際の処方は、主治医や薬剤師にきちんと相談することが大前提ですが、治療が中長期にわたりやすいがん治療費の家計への影響が一番わかっているのはご本人。そのためにも、患者自身がジェネリックに対する正しい知識や情報をしっかり身につけるのが何より肝心だということですね。