FP黒田尚子の知ットク!がんマネー処世術 12

ライフプラン

イラスト/コヤマ ノリエ
発行:2014年2月
更新:2014年5月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

治療とその後の生活のために、「お金を賢くやりくりするためにはどうすればいいか」というテーマで連載を続けてきましたが、最終回の今回は、万が一のことを考えながら毎日を悔いなく生きる方法について提案します。次回から始まる新連載では、このテーマを具体的に掘り下げる予定です。

私拙著『がんとお金の本』(ビーケーシー)を上梓したのは、2011 年8 月のこと。がん告知から1 年半が経った頃でした。ただ実際は執筆期間がありますので、告知を受けた1 年後。つまりがん再発防止の治療中に原稿を書いていたわけです。ですから「いかにがんという病気はお金がかかるのか」「治療費を何とか節約できないか」「がん患者やご家族が使える制度はないか」ということを常に念頭に置きながら、原稿を書き進めました。

ところが本を出してみると、がん患者から予想外の反響だったのは、本の中の「がんとライフプラン」というコンテンツでした。ここでは、〝残された人々が困らないためにやっておきたいこと〟というサブタイトル通り、お金の身辺整理や、住宅ローンや借金が残っていた場合の対処法、がん患者の子どもの教育資金の考え方、相続・遺言、葬儀やお墓のことなど。まさにがん患者がイザというときのために考えておきたい情報が満載です。

このコンテンツが有難かったと言うがん友からは、「自分に万が一、何かあったときのことを、ちゃんとやっておきたいけど、どうしてよいか分からない。家族にも『縁起でもない!』って思われるだけだから」という感想が多く寄せられました。

■がん患者の悩みや負担

また、全国7,885 名のがん患者のアンケート調査では、がんと診断されてから現在に至るまでの悩みや負担の上位ベスト3 に、「将来に対する不安」や「死を意識している」という点がランクインしています(図表参照)。

もちろん、万が一のことを考えておくべきなのは、がん患者だけではありません。最近は「エンディングノート」や「終活」といった自分の人生の残りを、前向きに積極的に考えたという人が増えてきました。どのような病期(ステージ)であれ、自分の余命を意識しないがん患者はいないでしょう。私自身、それだけに限られた人生を悔いのないよう、自分らしく生き抜きたいとも強く感じます。

そのためには、今何をしておくべきかをきちんと考え、準備しておくことは、自分にとっても、家族にとっても大切なことなのではないでしょうか? そして、健康体よりもさまざまなリスクを抱える可能性の高いがん患者だからこそ、ライフプランをしっかり考えておく意味があるはずです。

そこで、次回から1 年間にわたって、今をよりよく生きるため、エンディングプランも含めたがん患者とそのご家族のライフプランについて考えていきたいと思います。

今月のひと言
「ライフプラン」とは、将来どうしたいかといった生涯生活設計のこと。
そしてこれらの将来の夢や希望を叶えるためにはお金が必要。
だからそのお金を試算し、計画的に準備するのがFPなのです

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