がん治療中に役立つ商品
座っても痛くない! パッド内蔵ショーツ「おしりの幸せ」
がん治療で痩せてお尻の肉がなくなり、椅子に座る際「痛い」と感じている人はいませんか? そんな人に役立つパッド内蔵のショーツが、このほど販売されました。「どこに座っても痛くない」ことから、外出するのが億劫でなくなったという声も聞かれています。
座ってもお尻が痛くないショーツ
「がん治療で痩せてしまって、座るときにお尻が痛い」―――。そんな患者の悩みに応えた商品が、今注目を集めている。それが、パッドを内蔵したショーツ「おしりの幸せ」。開発し特許を取得したのは、東京都江戸川区でエステサロンを経営している川畑貴子さん。製造販売は下着メーカーのマルキ(東京都江東区)が行っている。
川畑さんがショーツを開発しようと思ったきっかけは、エステサロンに来るお客さんの声だった。
「痩せている料亭の女将さんで、『正座すると、かかとが坐骨や尾てい骨に当たって痛い。ただ仕事柄、座布団を敷けないので、何とかならないか』という声でした。他にも痩せているお客さんで『座るとお尻が痛いんだよね』と言う人が結構いらっしゃって、必要性を感じて作り始めました」
2006年に開発を開始、繰り返し改良を重ね、約10年の歳月を経て16年9月より本格的な販売を開始した。販売開始直後に商品が新聞に掲載されると、購入希望者が殺到。多くが、がんなどの病気を持っている人だった。
「『すぐに送って下さい』という人、『痩せてしまって椅子に座るとお尻が痛くて、家から出るのが億劫になってしまった』という人など、がんなどの病気を持つ方からの反響が多くありました」(マルキ・商品部企画課の佐竹久代さん)
パッドがお尻の左右に内蔵
「おしりの幸せ」は、ショーツのお尻側に左右ポケットがついており、そこに取り外し可能なパッドが内蔵。さらにポケットは中央でつながっており、いわば女性用のブラジャーのようになっている(写真1)。こうすることで、中に入っているパッドが落ちず、また痛いところに合わせて、自分でパッドを上下に動かして調節することも可能だ。
中に入れるパッドも工夫を凝らした。特殊な不織布を使用し、中央を厚くし(厚さ3cmほど)、端にいくにつれ徐々に薄くなるようにグラデーションをつけて加工している。「おしりの幸せ」は、1枚履きとして、またはパンツの上に履くこともできる。
外出が億劫でなくなった
よりがん患者の要望に沿った商品にしたいと、川畑さんは10月より、がん経験者を対象にモニタリングを開始している。モニターの1人、食道がんで手術をした男性Aさん(68歳)からは、「固い椅子に座っても痛くない」「お尻にパッドがついているので暖かい」と好評だ(写真2、3)。
「Aさんは、がんの手術を受けて体重が30kgほど減少してしまったそうです(術前60kg、術後30kg)。術後、体力をつけようと散歩に行くけれども、疲れてしまって数分ごとに外のベンチに座ってしまう。ただ、お尻の肉もないので、ベンチに座ることが痛くてつらく、痛いと思うとそれだけで外に出るのも嫌になってしまっていたそうです」
Aさんは、「おしりの幸せ」を履くことで、どこに座っても痛くないし、外出が億劫でなくなったという。身体面だけでなく、こうした気持ちの面でもプラスに働いてくれる点は、患者や家族にとっても嬉しい。
今後は、患者の声を反映して、さらにパッドを大きくしたり、今までなかった男性用のものを試作したりと、新たな商品開発にも取り組んでいく予定だ。
現在、「おしりの幸せ」はショート丈とハーフ丈の2種類。
サイズは、S、M、L、LL。送料込みで3,999円(税込)。
購入はインターネットのみ(楽天サイト)。
問合せは株式会社マルキまで(TEL:03-3637-0211)。
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