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『がん補完代替医療ガイドライン』にヨガ項目が加わる予定

ヨガが、がん患者の副作用軽減に効果あり

監修●岡 孝和 九州大学大学院医学研究院心身医学准教授
取材・文●伊波達也
(2016年4月)

「副作用のない生活を送る手段としてヨガを活用して欲しい」と
語る岡 孝和さん

がん治療を行っていく過程で、倦怠感や疲労感を訴える人は多い。また、精神的にも不安定となり、抑うつ状態に陥っている人も中にはいるだろう。そういった人に対して有効ではないかと、今注目されているのがヨガだ。エビデンス(科学的根拠)が徐々に確立されつつあり、2016年度には日本緩和医療学会の『がん補完代替医療ガイドライン』に新たな項目として加えられる予定だという。

ガイドラインにヨガ項目が加わる

統合医療の中には、西洋医学以前の伝統医療も多く、臨床現場ではしばしばそのエビデンス(科学的根拠)について議論になるが、徐々に臨床結果を確立している治療法もある。

今回紹介するヨガも、昨今注目されている分野の1つだ。

ヨガの効用については、現在までに約300以上のランダム化(無作為化)比較試験(RCT)が実施されているなど、様々な研究結果によるエビデンスが国際的に報告されており、2016年度には日本緩和医療学会の『がん補完代替医療ガイドライン』に、新たな項目として加えられる予定だ。

「ガイドラインに掲載されるというのは、ヨガについてある一定のエビデンスがあるということを学会が認めるということですから、その意義は大きいと考えます」

そう話すのは、九州大学大学院医学研究院心身医学准教授の岡孝和さんだ。

岡さんは、臨床において慢性疲労症候群ほか、心療内科領域の心身疾患に対してヨガを取り入れている。さらに、様々な疾患に対するヨガの効果について研究を実施し、その確立にも尽力している。

「ヨガには様々な種類が存在しますが、医療で主に用いられるヨガは、一般的ヨガ(呼吸、ポーズ、瞑想)、ハタヨガ、アイアンガーヨガといった種類のヨガが多いです。基本的には、❶運動(ポーズ)、❷呼吸法、❸瞑想の3つの要素を取り入れていることが多く、これらを含んだ30分~1時間ほどのプログラムを、例えば週に1回など、患者さんに練習してもらい、どういった効果があったのかを調べている研究が多いです」

ヨガによる抗ストレス作用

最近では、こうしたヨガを行うことによる効果も明らかになっているという。

「ヨガを行うことで、ストレス反応を抑制し、いくら病院で調べてもわからないような不定愁訴、いわゆる『身体化症状』を軽減することがわかってきています」

日常生活での様々な不調によって、不安、抑うつ、落胆や怒りなどの不快な感情(陰性感情)、疲労感などが起こると、交感神経活動やストレスホルモンであるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌が高まり、迷走神経の活動や心拍変動が低下する。その結果、低レベルの炎症が続き、痛みなども生じてくる。しかし、ヨガを練習することによって、γ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)という抗ストレス作用を発揮する物質が脳内に増え、また交感神経活動やコルチゾール値が低下、迷走神経の活動が高まり、炎症や痛みを抑える働きが増すことがわかっているという(図1)。

図1 ストレス状態に対するヨガの効果

がん患者に対するヨガ効果

そして、がん患者に対するヨガの効果についてもエビデンスが徐々に出始めている。中でもその研究のほとんどが乳がん。予後に関しての効果は明らかになってはいないが、ヨガが様々な自覚症状を軽減することが、国際的な数々の論文で報告されてきている。

●疼痛(乳がん患者の関節痛)

これまでの研究から、乳がんでホルモン療法を受けている患者に対して、ヨガが関節痛に有効だったとの報告があるという。

「乳がんのホルモン療法では副作用として関節痛が起こることがありますが、それに対して、ヨガが有効だったとの研究報告があります。関節の痛みがヨガによって和らぎ、楽になるということです」

乳がんのホルモン療法では、他にも副作用として更年期障害様のホットフラッシュ(顔面紅潮)が起こることがあるが、これについてもヨガで改善したという報告もある。

●疲労、倦怠感

倦怠感については、ヨガ介入期間前後で倦怠感の変化を調べた10論文のうち、ヨガによって倦怠感が著明に改善したとする研究が4件ある。そのほとんどが、乳がん患者を対象としたものだったという。

「乳がん患者に限定してヨガの倦怠感を調べた6論文では、ヨガ群はコントロール群に比べて有意に倦怠感を改善することを見出しています」

●睡眠障害

睡眠障害についての研究報告もある。睡眠潜時(寝つき)、睡眠時間、睡眠の質が改善したと報告しており、睡眠薬の使用量を減らすことができたという報告もある。

「まだ色々と議論はありますが、ヨガががん患者の睡眠障害についても改善させる可能性はあると考えています」

●不安、抑うつ

不安、抑うつについては、これまでの研究からがん治療中に起こる不安、抑うつを改善させる可能性を示した。ただし、軽度から中等度のうつ状態の人に対しては有効だが、さらに進んだうつ病に対しての有効性については不明だという。

●QOL(生活の質)

QOLについても、これまでの研究からヨガはがん患者(乳がん患者がほとんど)のQOLを改善したと報告されている。

「乳がん患者さんにとって、ヨガが様々な自覚症状を軽減することがわかってきましたが、それと同時にヨガに取り組むことによる社会参加によって、自信を取り戻すといった意義もあると考えています」

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