参加者の意思を尊重する院内サロン

互いの想いを受け止め、分かち合い「きずな」を深める空間

がん患者サロン「きずな」世話人 大西ふさ子
京都桂病院がん相談支援センター 入江篤志
発行:2013年5月
更新:2013年8月

  
がん患者サロン「きずな」世話人 大西ふさ子
京都桂病院がん相談支援センター 入江篤志

がん患者サロン「きずな」
京都市西京区山田平尾町17
社会福祉法人 京都社会事業財団京都桂病院 がん相談支援センター
TEL:075-391-5811(代)
月~金曜日:9~17時まで(祝祭日除く)
FAX:075-381-2811 HP: http://www.katsura.com/

患者さん、ご家族が自由にすごせる院内サロン

病院敷地内にある一軒家がサロン「きずな」

がん患者サロン「きずな」は、京都桂病院が2007年1月に地域がん診療連携拠点病院に指定されたのを受けて、2009年4月に開設されました。当院の正面入口から入って左手に建つ一軒家の1階、そこが「きずな」の活動場所です。第1・3火曜日の10~15時まで開催し、現在は10~12名の参加者にお越しいただいています。

開催時間内でしたら、いつでもどなたでも気軽に参加可能となっています。約束事として、販売や勧誘行為の禁止、知り得た情報の守秘義務を遵守していただくようにしています。

参加者は、患者さんのほか、ご家族やご遺族の方で、がんの種類は肺がん、大腸がん、乳がん、腎臓がん、リンパ腫などさまざまで、当院以外で治療されている方もご利用いただいております。

サロン「きずな」は会員制ではありません。参加費もありません。初めて来られた方には連絡先、がん種などを書いていただき記録しています。書きたくないといわれる方には、それでも構わないと考えています。

そして、まず世話人の大西(京都桂病院看護師)とがん相談支援センターの入江(京都桂病院がん相談員)が、ゆっくりとお話を聴かせていただいています。

大西は参加者の想いや気がかりなこと、不安なことなどの傾聴に徹して関わっています。お話を聴きながら、必要であれば入江と交代してお話を伺うこともあります。入江は、標準治療や使用される薬剤、化学療法・放射線治療などからおこる副作用対策、緩和ケア、セカンドオピニオンの説明など、がん治療に関する専門的な情報提供などをしています。

他のサロンとの交流、院内外との連携も

「きずな」の開設当初は、参加人数が2~3名でした。そのため、もっと私たちを知ってもらうためにはどうしたらよいか、参加者から意見を伺い、一緒に考えてみました。

そこで、活動時間の変更、積極的な広報活動、市民向けの講演会を年1回は開くこと、「きずな」のみんなで化学療法の副作用(脱毛)向けのタオル帽子を製作することなどを新たに試みることで、参加者は少しずつ増えていきました。

主な活動は、参加者との交流です。患者さんやご家族の心の悩みなどのお話を聴かせていただいております。以前、他のサロンで行われているような勉強会を「きずな」でもやろうと提案してみたところ、参加者からは「楽しい時間を過ごさせてもらえているから、他のサロンがしているようなことはいらない」との意見があり、勉強会は実施しておりません。

というのも、「きずな」では、参加される患者さんの意思を尊重することを大切にしているからです。参加者の中には、「とにかく今の想いを聴いてほしかった」といって話すだけ話して、「また、来ます」と帰られる方や、「食べてもらいたい」と朝早くから赤飯を炊いたり、お惣菜を作ってはみんなが食べている姿を見て喜ばれる方、趣味で作った写真やDVDを披露する方などもいます。

それぞれが得意とする分野で、自分ができることを一生懸命され、そのことを話題に話の輪が広がり、笑顔が広がります。タオル帽子の製作も、教えたり教わったりしながら、みんなで楽しみながらやっています。これは、「きずな」の特徴の1つといえるのではと思います。もちろん、活動内容は随時アンケートを行うことで参加者の要望にこたえるよう努めてもいます。

また、他のサロンとも積極的に交流をしています。大西や「きずな」参加者が他のサロンに参加しては、感じたことや雰囲気、企画などを「きずな」でどのように活かしていけばよいかを考え、また、知り得た他のサロンのことを「きずな」の皆さんに提供して、他のサロンへ参加を促す場合もあります。そうすることで、他のサロンに参加している方が「きずな」に来られ、「きずな」から他のサロンに参加され、サロン間の交流が行われています。

病院との連携は入江が窓口となり、病院管理部門や緩和ケアチーム、他のがん関連部門と連携し、必要に応じ対応しております。今後は院内医師の参加も検討中です。院外では、京都府内のがん関連会議、患者会や関連団体が集まる会合にも参加しています。ここでも病院と行政、患者団体との連携を行っております。

喜び合い、笑い合い「きずな」を深める

和気あいあいと話が弾むサロン

「きずな」に参加されている患者さんの声は、本当にさまざまです。ある方からは、「来てよかった。来る前は落ち込んで暗い気持ちだったけど、帰るときはなぜかルンルンで帰れる。とっても嬉しい……」と。

またある方は、「子どものこと、主人のこと、自分の病気のことで悩んで胸が痛かった。友人からこのサロンのことを聞いて、思い切って参加してみました。何回か参加して、なんだか胸のモヤモヤがすっきりとしました。きっと皆さんが私の想いを聴いてくださったからだと思う。今は元気になったから、私ができることを少しでもしたい。あのとき、私のつらい思いを聴いてくださった。だから今度は、私が少しでも聴かせていただきたいと思う……」。

それぞれの想いを持って参加されていますが、参加されている皆さんが、その想いを受け止め、素直に喜び笑って過ごされている、「きずな」はそんな空間であり場所だと思います。

患者さん同士が和気あいあいと話が弾むときは、大西も入江も黒子役に徹し見守ることを心がけています。「なにか助けが必要であれば、いつでもなんでもいってね」と手を差し伸べられる、参加者との距離を上手にとりながら、患者サロン「きずな」を進めていけたらとも思っています。どうぞ皆さん、ドアをたたいて一歩足を踏み入れたら、ウエルカムです。

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