胆嚢がんの術後化学療法は受けるべきか
病院の検査で、胆嚢がんと診断されました。胆嚢と肝臓の一部、リンパ節を一緒に切除する手術を予定しています。うかがいたいのは、術後の補助化学療法についてです。効果があるのなら受けるつもりですが、補助化学療法を受けたほうがよいのでしょうか。
(秋田県 女性 57歳)
A 化学療法は行わず、経過観察を
術後の補助化学療法の目的は、再発を防止すること、もしくは残念ながら再発してしまう場合でも、再発までの期間をできるだけ長くすることにあります。しかし、術後の患者さんに抗がん剤を投与する場合、(1)もともと再発する運命にはなかった人、(2)再発する運命であったが、抗がん剤が効いて再発しないですむ、もしくは再発までの期間を延ばせる人、(3)抗がん剤が効かずに再発する運命を変えることができない人、に分かれます。
再発をする人や抗がん剤が効果を示す人を、あらかじめ知ることができればよいのですが、現在、胆嚢がんでは、そのような情報を治療前から知る方法はありません。そのため、術後の補助化学療法を行う場合、現実的には術後の患者さんすべてに抗がん剤を投与することになります。その場合、(2)以外は、意味のない抗がん剤投与がなされることになってしまいます。
大腸がん、膵がんなど、術後の補助化学療法を行うほうがよいことが判明しているがん種もあるのですが、胆嚢がんに関しては、まだ結論が出ていません。抗がん剤には副作用がありますから、術後の補助化学療法を「行うべき」という科学的な根拠が示されていないうちは、抗がん剤投与は行わずに、厳重にフォローアップするのが適切な対応と言えます。
経過観察の方法については、明確な決まりはありませんが、3カ月から6カ月の間隔で、CTなどの画像検査と、CEAやCA19-9という血液検査でわかる腫瘍マーカーを測定する形でフォローアップしていくことが多いです。
最近、術後の補助化学療法について、国内外でいろいろな臨床試験が試みられています。その結果次第では、将来的には何らかの抗がん剤を用いて補助化学療法を行うべき、という結論が出てくるかもしれません。