早期の管状腺がん。切除だけでよいか
最近、胆嚢ポリープが見つかり、腹腔鏡手術を受けて胆嚢を切除しました。病理検査で、がん細胞があることがわかりました。がんは、胆嚢の粘膜にとどまっていて、管状腺がんと呼ばれる種類とのことです。治療はこれで終わったと考えてよいのでしょうか。今後の対応についてもアドバイスしてください。
(滋賀県 女性 54歳)
A 切除できれば、追加で治療する必要はない
胆嚢がんは、切除した組織を顕微鏡で詳しく調べる病理検査によって、腺がん、腺扁平上皮がん、扁平上皮がん、小細胞がん、腺内分泌細胞がんなどの組織型に分類されます。腺がんは、胆嚢がんの9割以上を占め、さらに乳頭腺がん、管状腺がん、充実腺がん、粘液がん、印環細胞がんに分類されます。腺がんの中でも、管状腺がんの割合が最も高いので、平たく言うと「通常型の胆嚢がん」だったことになります。
一般的に、術前から胆嚢がんが強く疑われている場合は、腹腔鏡手術は勧められていませんが、胆嚢がんを術前に疑っていなかったけれども、腹腔鏡手術をしてみて、初めて胆嚢がんと判明する場合があります。がんが胆嚢の粘膜にとどまっていた早期の段階で、切除術で取り切れたと判断されたときは、基本的にはがんは治ったと考えてよいといわれています。
再発のリスクは低いので、追加で治療をする必要はありません。基本的には、術後の傷の具合などを時々見てもらうか、症状があるときに相談する、という対応でよいと思われます。
ただし、腹腔鏡手術では、術中に胆嚢損傷に伴う胆汁漏出が起こることがあります。その場合、まれではありますが、腹膜への再発例が報告されているので、再発の有無を画像などでチェックしていく必要があります。