再発した場合、どんな抗がん剤を使用したらよいか
胆石を持っていて、内視鏡治療で摘出しました。このとき、偶然、胆のうがんが見つかりました。比較的早期とのことで、胆のうと胆管、肝臓の一部を切除しました。手術はうまくいきましたが、再発が気になります。再発した場合、どんな抗がん剤を使用したらよいのでしょうか。できるだけ副作用が少なくて、治療効果のある化学療法を選びたいと思います。進行中の臨床試験についても教えてください。
(秋田県 女性 60歳)
A 結論は出ていないが、ジェムザールが期待されている
胆のうがんが再発してしまった場合、どの抗がん剤を使用したらよいのかについては、まだ結論は出ていません。ただ、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)という抗がん剤が最も期待されており、日常診療でも多く用いられています。国内で行った治験(薬の臨床試験)でも良好な結果であったため、保険承認が得られています。
国内で保険承認が得られていて、期待もされている他の候補としてはTS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)という内服の抗がん剤が挙げられます。いずれの治療法も比較的副作用が少なく、外来通院で治療が可能と言われております。ただ、いずれの治療薬でも稀ではあるものの、強い副作用が見られる方もいますから定期的なチェックは必ず受ける必要があります。ジェムザールなら投与する度に体調のチェックをします。TS-1は飲み薬ですが、1~2週間に1度は、チェックをしたほうがよいと思います。
現在、ジェムザール単剤による治療法と、ジェムザールとシスプラチン(商品名はブリプラチン、ランダ、シスプラチンなど)の併用療法のどちらがよりよい治療法であるかを比較する臨床試験(第3相)が欧州を中心に行われております。この臨床試験は、胆道がんを対象にしています。胆道がんとは、胆のうがんのみならず、胆管がんや、ファーター乳頭部がんも含めた胆汁の流れ道にある臓器から発生するがんの総称です。臨床試験としては、今までで最も規模の大きなものです。胆道がんの抗がん剤治療の方針が変わる可能性もあり、その結果が待たれています。日本は、その研究には参加しておりませんが、国内でも類似の臨床試験や、まったく別の種類の臨床試験が行われています。たとえば、JCOG(日本臨床腫瘍グループの略語)では、最近、胆道がんを対象に、TS-1単剤と、ジェムザールとTS-1の併用療法を比較した臨床試験(第2相)を始めました。臨床試験は、その時々によって患者さんの登録を受け付けていたり、受け付けていなかったりします。詳しくは、現在進行中の国内の臨床試験を登録している、*UMIN臨床試験登録システムというインターネット上のサイトを参照してください。