上皮内がんでBCG治療。排尿痛が続く
膀胱がん(上皮内がん)で、BCG治療を6回行ったところです。最終治療から約2週間経ちましたが、未だに排尿時に膀胱が痛くなることが多いです。主治医からはBCGの副作用だろうと言われましたが、こんなに長く続くものなのでしょうか。近く、維持療法として再度BCG治療を開始する予定ですが、BCG治療の副作用が心配です。
(67歳 男性 千葉県)
A まずは様子をみることが一般的

腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
BCGは、ウシの結核菌を弱毒化したワクチンであり、免疫反応を介してがん細胞を駆除する治療法です。炎症を引き起こすので、膀胱炎症状は必ずと言っていいほど出ます。たいていBCGを注入した翌日や翌々日には症状が落ち着くことが多いですが、炎症の程度は人ぞれぞれで、回を重ねるごとに段々と副作用が遷延(せんえん)する場合もあります。
ただ、炎症の原因が、強い免疫反応によって生じているのであれば、時間の経過とともに徐々に改善されることが予想されます。ご相談者はBCGによる導入治療後まだ2週間なので、このまま様子をみることが一般的だと考えます。
膀胱炎症状の原因としては、他にも細菌感染の併発や、上皮内がんの進展の可能性も考えられるので、尿検査や必要に応じて尿細胞診や膀胱鏡、画像検査を行うことになります。
もし、BCGの副作用で膀胱炎症状が続き、日常生活に支障を来すようであれば、膀胱炎症状を抑えるための対症療法を行うことになります。炎症症状を我慢して維持療法を行うと、場合によってはさらに症状が悪化して、萎縮膀胱となることも考えられるので、維持療法を中止することも検討します。もちろん、維持療法を行うことによって、がんの再発や進展リスクを抑えるというエビデンス(科学的根拠)はありますが、副作用が表に出過ぎてしまってつらい思いをするのであれば、維持療法を行わないほうが良いという判断も出てくるかと思います。症状については素直に担当医に伝えて頂き、十分に相談しながら今後の治療法について決めていく必要があります。