膀胱腫瘍切除を4回受けているが
2018年11月に血尿が出たため受診し、翌月膀胱がんと診断されました。これまで経尿道的膀胱腫瘍切除を4回受けています。2019年にはBCG注入療法を2サイクル(計16回)受け、現在は頻尿のためベシケアを内服していますが、ひと晩で4~5回はトイレに行きます。コントロールする方法はないのでしょうか。現在、排尿痛や尿のにごりはありません。また、腫瘍切除を4回受けていますが、問題はないのでしょうか。
(78歳 男性 埼玉県)
A 手術回数に上限はありませんが
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
膀胱の筋肉に及ばない筋層非浸潤性膀胱がんの基本的治療方針は、経尿道的膀胱腫瘍切除(TURBT)で完全切除した後、BCGを含む膀胱内注入療法で再発を予防することです。それでも再発を繰り返す場合は、膀胱全摘除を考慮することになります。
相談者は、これまで4度の経尿道的膀胱腫瘍切除と合計16回のBCG注入療法を受けています。手術で削られた膀胱壁は傷が癒える過程で炎症・瘢痕(はんこん)繊維化を起こす結果、膀胱の伸縮性が悪くなり膀胱機能が低下します。
手術による膀胱容量減少の程度は、切除した範囲や深さに関連します。膀胱がんの患者さんの中には10数回の経尿道的腫瘍切除を経験した方も少なからずおられ、手術回数に上限はありませんが、回数を重ねると膀胱容量は減少する傾向はあります。
また、BCGは膀胱に免疫反応を誘導することで、がん細胞を駆逐する治療です。膀胱に炎症が起きる結果、瘢痕繊維化による萎縮膀胱の副作用も報告されています。瘢痕繊維化によって小さくなった膀胱は、時間経過とともにやわらかさを取り戻すことが期待できます。
一方で、加齢に伴い夜間の尿量は増える(夜間多尿)傾向にあるので、相談者の夜間の尿回数が多いことには、その要素も加わっている可能性もあると思います。排尿日誌(1日の排尿時間と1回の排尿量を記録)をつけて、主治医に相談してみて下さい。夜間多尿であれば、生活習慣を変えることで改善する可能性があります。