転移のある膀胱がん。GC療法を受けるべきか

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2021年8月
更新:2021年8月

  

膀胱がんが転移した場合、ジェムザールとシスプラチンの2種類の抗がん薬治療「GC療法」が勧められていますが、「1年以内に再び悪化することが多い、また手足が痺れるなどの強い副作用もある」と聞きました。このGC療法を受けるべきでしょうか。1年以内に悪化した場合、次にどのような治療があるのでしょうか。

(67歳 男性 埼玉県)

GC療法を受けることを勧めます

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

転移のある膀胱がんに対する標準治療は、シスプラチン(一般名)を含む抗がん薬治療です。ゲムシタビン(商品名ジェムザール)とシスプラチンによるGC療法は、有効性と副作用のバランスの点で優れており、複数ある抗がん薬の組み合わせの中で最も使用頻度が高い治療法です。主な副作用は骨髄抑制(白血球の減少など)や吐き気などの消化器症状で、その他の強い副作用に遭遇する頻度は高くありません。

GC療法は過半数の転移性膀胱がん症例に腫瘍縮小効果を示しますが、これだけで完治するケースは稀です。GC療法に続く次の治療として、以下の条件で免疫チェックポイント阻害薬を使用することが可能です。

GC療法が有効であった場合、維持療法として抗PD-L1阻害薬バベンチオ(一般名アベルマブ)が、GC療法が無効であった場合、次治療として抗PD-1阻害薬キイトルーダ(同ペムブロリズマブ)が適応となります。

免疫チェックポイント阻害薬の登場により、転移のある膀胱がん症例の治療成績は改善されつつあります。また、近い将来、免疫チェックポイント阻害薬とは異なる作用機序の治療薬が新たに使用可能となることが期待されています。

新規治療薬も免疫チェックポイント阻害薬と同様に、現在の標準治療であるシスプラチンを含む抗がん薬治療の先行実施が条件になると想定されます。その点からも、相談者にはGC療法をお受けになることを勧めます。

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