膀胱がん、キイトルーダの効果がなくパドセブを勧められているが
膀胱がんで3度手術を行い、2022年10月から免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダを半年投与しました。しかし、キイトルーダの効果はほとんどなく、主治医から次の治療としてパドセブを勧められています。これはどんな薬で副作用はどうなのでしょうか。またこの薬の効果がなくなった場合、次の治療法はあるのでしょうか。
(65歳 男性 神奈川県)
A パドセブは50%弱の高い奏効率
がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
本邦では、進行膀胱がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)は、抗がん薬治療中または治療後に進行した場合の2次治療薬として保険適用となっています。パドセブ(一般名エンホルツマブペドチン)は、キイトルーダの効果がみられない場合の3次治療薬として、または前治療で抗がん薬治療と免疫チェックポイント阻害薬を使用した後の進行症例に対して適応のある薬剤です。
パドセブは抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる新しいタイプの薬剤で、膀胱がん細胞が発現するnectin-4というタンパク質に対する抗体に抗がん薬を結合することで、nectin-4を発現する細胞において選択的に抗がん作用が発揮されるように設計されています。
進行膀胱がんに対するパドセブの治験では、3次治療であるにもかかわらず50%弱という高い奏効率が報告されています。抗がん薬にみられる血球減少や貧血の副作用の他、特徴的な副作用として皮膚障害や末梢神経障害、高血糖などがあります。パドセブが無効となった場合、現時点で有効性が確立された4次治療薬はありません。遺伝子パネル検査の結果で有効性が期待される薬剤がある場合、多くは保険適応外ですが使用可能です。遺伝子パネル検査の実施は認可された施設に限定されますが、保険診療が適用されます。