平滑筋肉腫の肺転移。手術しなくていい?

回答者:川井 章
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科医長
発行:2012年12月
更新:2014年1月

  

2012_12_18_01

肺転移がある平滑筋肉腫を患っています。現在、アドリアシンとイホマイドを使った化学療法を行っていますが、腫瘍が小さくなったため、原発巣と肺の腫瘍を摘出する手術を提案されています。がんの治療で転移がある場合、通常手術はしないと耳にします。本当にこのような治療法で良いのでしょうか?

(北海道 男性 48歳)

A 切除が可能かの適切な判断を

肉腫は、肺に転移することが多い腫瘍です。転移を生じた場合でも、転移巣が切除可能な状態(病変が数個以下で切除可能な部位に発生)であれば、転移巣を切除することで治療成績が向上することが示されています。

ただ、肺に多数の転移がみられ、すべての病変を切除できないような状況であれば、無理な手術は行わず、化学療法を考慮するほうが良いと思います。

今回のご相談者の場合、化学療法がよく効き、転移があっても肉眼的に手術で取りきれる状況にまでなったのだと思いますので、原発巣も転移巣も手術で切除することを積極的に考慮してもいいと思います。

肉腫が転移しておらず、原発巣のみにとどまっている場合と比較すれば治療成績は劣りますが、原発巣と転移巣を肉眼的に取りきった方の中には、その後長期間、病気の再発なくお元気な方もたくさんいますので、諦めずに治療を行われることをお勧めします。

また、現在、化学療法を行っていて、治療効果がみられているようですので、アドリアシンとイホマイドを用いた現在の化学療法を手術の前後に5~6クール行われるのが良いでしょう。

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