骨肉腫で脚を切断しても、義足で歩けるか

回答者:川井 章
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科外来医長
発行:2010年9月
更新:2013年10月

  

17歳の娘のことでご相談します。娘は骨肉腫と診断され、現在、抗がん剤治療を受けています。全身の倦怠感、吐き気、脱毛などの副作用にも、わが子ながら、よく耐えていると思います。幸い抗がん剤治療は効いていると主治医に言われていますが、腫瘍が比較的、広範囲に及んでいるため、この後、右足を膝下から切断する手術が予定されています。質問は右足を切断した後のことについてです。義足を装着する予定ですが、練習を積むと、自分の足に近い状態で動けるようになるものでしょうか。娘はテニスやバドミントンなど、スポーツが大好きです。スポーツもできるでしょうか。

(兵庫県 47歳 女性)

A 慣れると、上手に歩けるように。スポーツすることも可能

医療技術が進歩したため、骨肉腫になっても、患部である手や足を残す手術(患肢温存手術)を行うことができる患者さんが増えています。しかしその一方で、今でも10~20パーセントの患者さんは初診時にすでに病気が広がっていたりして、脚を切断せざるを得ない状況で受診されます。

もちろん、多くの患者さんが脚を残すことを希望されますが、現在の医療レベルでは、むしろ脚を切断したほうが、日常生活でできることが広がる場合もあります。そのため、あえて最初から切断手術を選択される患者さんも、まれではありますが、いらっしゃいます。まずはそうした現状があることをお伝えします。

下肢を膝下から切断した場合、義足を装着し、リハビリテーションを行うことで、杖を使わずに歩くことは可能ですし、慣れてくると、周りの人からは、義足であることがほとんどわからないレベルまで上手に、自然に歩くことができるようになります。

日常生活に用いる一般的な義足は、金属の棒を中心に据えて、周りはウレタンで覆われています。この義足は骨格義足と呼ばれ、触った感触は人の体に近いという特長があります。

一方、走る、跳ぶなどの動作や、スポーツをするために、骨格義足とは別に、スポーツ専用の義足が開発されています。

この義足はバネのような形をしているなど、見た目はあまりよくありませんが、運動するには適していて、日常生活と使い分けるとよいと思います。義肢装具士さんやリハビリテーションの医師とよく相談して、自分の希望する生活や活動にあった義足を作ってもらうのがよいでしょう。

近年はパラリンピックに代表されるように、障害者の方のスポーツも盛んになっています。まず病気をしっかり治して、それからは、スポーツなどにも積極的に挑戦して、活動的な生活を楽しんでほしいと思います。

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